こんにちは。WMS:倉庫管理システム「SLIMS(スリムス)」を提供するセイノー情報サービスです。
LMS(統合物流管理システム)を導入し、物流におけるマネジメント業務を強化する企業が増えています。
LMSはどのようなシステムなのか、この記事でご紹介します。WMSとLMSの違いやそれぞれのメリットなども解説します。物流サービスの強化をお考えの方は、ぜひご覧ください。
目次
1. WMSとは
2. LMSとは
3. WMSを活用するメリット
4. LMSを活用するメリット
5. WMSとLMSの違い
7. まとめ
WMSとは
WMSはWarehouse Management Systemの略で、倉庫管理システムのことです。
入荷管理、出荷管理、在庫管理、進捗管理などの機能を備えています。
出荷管理
出荷管理は、ピッキングや梱包などの出荷作業がミスなく効率的に行われるようサポートする機能です。何を何個出荷するかに加えロット番号の指定など作業ルールが反映された出荷指示書が作成されるなど、誰でも作業できるよう工夫されています。
在庫管理
在庫管理は、倉庫で保管している在庫に関する情報を管理する機能です。荷姿ごとの数量や保管ロケーション、賞味期限、ロット番号などの情報を一元管理します。作業実績は在庫情報へリアルタイムに反映され、クロスドッキング(入荷即出荷)などスピード感のある物流サービスが実現します。
進捗管理
進捗管理は、入出荷など倉庫作業の進捗状況を可視化するための機能です。進捗状況が可視化されることで、作業遅延など問題の早期発見・早期対応が可能になります。また作業者のモチベーションや生産性への意識も向上します。
関連コラム:WMS(倉庫管理システム)とは
LMSとは
LMSはLogistics Management Systemの略で、統合物流管理システムのことです。
物流業務を支援するWMSやTMS(輸配送管理システム)と、商流を司る基幹・販売管理システムをつなぐ役割を担っています。
LMSの主な機能は、物流計画の作成、実績情報の管理、コスト・KPI管理の4つです。
以下にそれぞれの特徴を解説します。
物流計画
物流計画は、基幹システムなど上位のシステムから必要なデータを受け取って倉庫作業や輸配送など物流プロセスに関わる作業を計画する機能です。主なものを3つご紹介します。
・どの拠点から出荷するのか、いつ作業を行うかなどを計画
・最適な輸送方法を選択するための機能
・在庫の増減に合わせ、倉庫間の横持ちや工場からの補充を最適化するための計画 関連事例:
株式会社テクノアソシエ「WMS・LMSの活用で現物主義・標準化・可視化を実現」
物流実績管理は、計画に対する実績情報や進捗状況を管理する機能です。WMSやTMSなど複数の業務システムに累積する作業実績がLMSに集約されることで、より簡単に各拠点の状況を比較したり関連情報を参照したりできます。
コスト・KPI管理は、物流コストやKPIに関する数値の計算や管理が行える機能です。
LMSで単価マスタを持って保管料や作業料、運賃を計算します。 関連コラム:
物流コストの可視化とは?可視化する際のポイントも紹介
生産性や納期遵守率などの品質を、独自の指標で計算します。エクセルでも計算できますが、LMSを活用することで情報共有がしやすくなり、リアルタイム性の向上や情報収集の手間削減が可能です。
出荷計画
・計画情報は出荷指示としてWMSへ連携される
輸配送計画
・どの運送事業者に依頼し、いつ・どのトラックを使用し・どの配送ルートで配送するか計画
在庫計画
・LMSに各倉庫(WMS)の在庫情報を集約し、一元管理
物流実績管理
コスト・KPI管理
コスト
自社で計算できると請求書チェックが簡単に行えたり、より安価に運べる輸送方法を選んだりできます。
KPI
関連コラム:
ロジスティクスKPI(物流評価指標)とは
WMSを活用するメリット
WMSは倉庫管理に特化したシステムであり、倉庫作業における多くの課題を解決できます。例えばヒューマンエラーの防止や効率化、標準化が図れます。またそれら複数の効果と同時に、本来は相反する目的であるコスト削減も達成できます。
関連コラム: WMS(倉庫管理システム)とは 第4章「WMSを導入するメリット」

LMSを活用するメリット
LMSは各物流システムに分散している情報を集約します。また作業計画などエクセルで行われていた作業をLMSでシステム化したり、コスト計算など従来は難しかった各種数値をLMSで算出したりすることで、可視化範囲が拡大できます。
さらに一元管理された情報をうまく活用することで、マネジメント業務が強化できます。
例えば全社を横断的に見られるようになり、全体最適化を検討しやすくなります。また商流と物流の中間に位置するLMSが情報の橋渡し役を担うことで、商流情報に物流コストが紐づけられ商品企画や販売戦略に活かせます。
WMSとLMSの違い
WMSとLMSは担う役割が異なるため、併用されることもあります。
関連コラム: WMSと連携する3つのシステムとは 第6章「WMSと連携することの多い3種類のシステム」
LMSの必要性
大手企業など事業規模によっては拠点ごとに異なるシステムを使用するなど、複数のWMSやTMSを使用しているケースが多々あります。情報が散在していると、情報の収集や加工に手間がかかってしまいます。しかしLMSに各システムからの情報を集めて一元管理することで、簡単に情報を参照でき拠点ごとの比較など分析も簡単に行えるようになります。
そのため、物流サービスを強化したい企業の間でLMSの活用が広がってきています。
WMSとLMSの役割の違い
WMSは特定の倉庫における作業が管理対象であり、扱っている商品や作業の特性に合わせて設計されます。そのため倉庫ごとに仕様が異なる場合もありますが、入出荷や保管など基本的な機能は同じで標準的な情報も存在します。
それら標準的な情報を集約し管理するのが、LMSです。LMSでは一元管理された情報をもとに、計画業務やKPI管理など物流におけるマネジメント業務に活用されます。
WMSとLMSを併用することで得られる効果
WMSとLMSを併用することで、マネジメント業務を強化できます。
具体的な例を4つご紹介します。
在庫適正化
・通常出荷している倉庫では欠品したが他倉庫には保管している場合、新たな生産・発注を行わず出荷できる
本来は不要な生産・発注を減らせて、在庫の増加が抑制される
・欠品や納期遅延による機会損失の防止にもつながる
関連コラム: 在庫補充業務のブラックボックス化を解消し在庫配置を最適化する方法
作業のムリムダを計画段階や作業中に是正
・「今日作業する分」だけをLMSで選定しWMSに連携、現場は「作業遂行」に集中できる
・複数倉庫の場合、どの届け先にはどの倉庫から出荷すべきかを迷わない
・LMSが全WMSの作業を可視化するので、早期に作業遅延を察知しリカバリーが可能
輸配送計画の適正化
・LMSで運賃や積載率の計算が可能になれば、効率的な運び方を検討できる
CO2の排出量を抑制することも可能
・積載率の可視化によって過積載を防止でき、コンプライアンス遵守にも貢献
物流コストの抑制
・在庫最適化により倉庫での保管費、在庫移送のための輸送費といった物流コストを抑制
・作業計画のムリムダやミスを防止し、残業時間を抑制
・配送計画の適正化により輸送費を抑制
顧客ごとに運賃を可視化し社内に共有すれば、経費削減(利益向上)への意識向上や課題発見につながる
物流システムを選ぶ方法とは
WMSやLMSなどの物流システムは、業務と密接に紐づいています。 そのため自社に合わないものを選ぶと業務が行いづらく効率が悪くなったり、思うような効果を得られなかったりします。そうならないために注意すべきポイントを3つご紹介します。
ニーズの明確化
システムを選び始める前に、システム導入によって解決したい課題や実現したい姿など自社のニーズを明確化する必要があります。ニーズが不明瞭だと自社に必要な機能が明確にならず、適切な選定基準が設定できません。安価なパッケージ型WMSはカスタマイズが制限されている場合もあるため、特に注意が必要です。
機能や操作の確認
自社のニーズを満たすのに必要な機能が搭載されているか、使い勝手は良いかなどの観点でシステムを評価します。特にWMSはパート・アルバイトの作業員も使用します。誰にでも使いやすいよう、メニューなどが分かりやすく作られているか、文字の大きさは変更できるか、などチェックしましょう。
拡張性やカスタマイズ性の確認
拡張性やカスタマイズ性が高ければ、変化に対して柔軟に対応できます。業務上の変化に素早く対応できれば、効率化やコスト削減しやすくなります。社会の変化に伴い顧客ニーズも変化するため、対応できれば他社との差別化が図れます。
関連コラム:
WMS(倉庫管理システム)の選び方のポイントを徹底解説!
まとめ
WMSとLMSは物流業務の効率化・適正化に欠かせない物流システムです。
WMSは特定の倉庫における作業、LMSは全社を横断的に見る改善活動や各種計画業務を支援してくれます。2つのシステムはそれぞれ異なる役割を持っており、併用することで物流におけるマネジメント業務を強化できます。全社在庫の適正化、作業計画のムリムダ防止などを通して物流サービスを高度化させることで、他社との差別化が図れるのです。
セイノー情報サービスでは、物流現場の各プロセスに対して最適なITソリューションを提供しています。
倉庫での作業・マネジメントの支援にはWMS(倉庫管理システム)「SLIMS」、マネジメント業務の強化には統合物流管理システム「LMS」、戦略立案や実作業の代行には物流アウトソーシングサービス「物流業務クラウド」など、豊富な経験を持つスペシャリストが幅広いソリューションの提供を通してお客様のサプライチェーン・ロジスティクスの最適化を支援します。
物流改善をお考えの方は、ぜひお問い合わせください。

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