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3PL(Third Party Logistics)は、企業が物流業務を外部の専門業者に委託する形態を指します。現代のビジネス環境では、効率的な物流管理が競争力の鍵となっており、3PLの利用がますます注目されています。3PLを導入することで物流コストの削減や業務効率の向上を図ることができますが、費用構造を理解し、適切な料金で契約することが重要です。本記事では3PLの費用構造とその計算方法について詳しく解説します。
目次
1. 3PLの費用構造
2. 3PL費用の計算方法
4. まとめ
3PLの費用構造
3PLの費用には一時費用と月次費用があります。
1.一時費用
3PL導入時にかかる一時的な費用を解説します。
- 物流戦略の設計費用:物流課題の分析と最適な戦略立案のためのコンサルティング費用です
- 設備投資費用:倉庫で必要な設備や機器の購入と設置費用です
- システム導入費用:物流管理システム(WMSやTMSなど)の導入やカスタマイズにかかる費用です
- トレーニング費用:新しいシステムや作業習得に関する作業者の研修費用です
2.月次費用
3PL運用時にかかる費用には固定費と変動費があり、それぞれの主な費用を解説します。
固定費
- ・保管料
倉庫内で商品を保管するためのスペース利用料で、契約に基づき一定の保管スペースを確保する場合の費用です。一般的には1坪、1ラックといった単位で貸し出され、単価はサービス提供事業者によって異なります。 - ・システム使用料
倉庫では主にWMS(倉庫管理システム)とハンディターミナルを活用し、作業の精度向上・効率化を図り、在庫を一元化します。荷主が利用できる機能も含め、システムの運用や保守にかかる費用です。 - ・業務管理料
倉庫での品質改善活動や問い合わせ対応などのマネジメント費用です。商品の量や出荷件数などによって変動する場合もあります。
変動費
- ・保管料
保管する商品の数量や利用するスペースに応じて料金が変動する場合の費用です。例えば、繁忙期に在庫が増加し確保しているスペースを超過する場合は、固定費の保管料に追加料金が発生します。 - ・入庫料
荷物を倉庫に入庫する際にかかる作業費用です。 - ・デバンニング料
コンテナに積まれた荷物をフォークリフトで降ろす作業費用です。 - ・検品料
輸入品などは入荷時に商品の検品作業を行い、良・不良品を判別する場合の費用です。個数が増えると費用がかさむため、検品を依頼するかどうかは慎重に検討する必要があります。 - ・ピッキング料
出荷する商品を集めるピッキング作業にかかる費用です。 - ・梱包料
商品を段ボールや袋に詰め、破損を防ぐために緩衝材を入れる作業などにかかる費用です。 - ・発送料
商品の配達を依頼した運送会社に支払う費用です。

3PL費用の計算方法
3PLの費用は、委託業務契約の際に委託先とサービス内容や積算方法の認識が異なる場合があります。そのため、3PL導入の前に計算方法を知っておくことが重要です。これにより、費用に関する誤解や予期せぬコストの発生を防ぐことができます。主な変動費の計算方法を解説します。
1.保管料
保管料とは保管スペース利用料で、一般的には保管スペースを1坪、1ラックといった単位で積算しますが、商品の量や大きさ、重さ、契約期間などにより、さまざまな料金体系があります。
- ・個建て料金
保管する商品の個数に基づいて積算され、同じサイズの商品を扱う場合に適しています。 - ・坪貸し料金
利用する倉庫の面積に基づいて積算され、商品のサイズに関わらず、使用する坪数が基準となります。 - ・パレット建て保管料
利用するパレットの個数に基づいて積算され、入庫から保管・出庫までパレットのまま荷姿が変わらない商品を大量に扱う場合に適しています。 - ・容積建て保管料
商品の占める空間に基づいて積算され、木材などの建築資材のような大型かつ容積が大きい商品を扱う場合に適しています。 - ・重量建て保管料
容積の割に重量がある商品で、数量で管理しづらい粉体や液体の商品を扱う場合に適しています。
1期制は、1ヶ月単位で保管料を計算する方法です。 計算式は次の通りです。
保管料=「保管積数(前期末在庫数+今期の入庫数)」×「保管料単価」
計算はシンプルで管理が容易ですが、月内の在庫変動を反映しにくいため、在庫量の急激な変動に対する柔軟性が乏しくなります。
2期制は、1ヶ月を「1日~15日」「16日~末日」の2つの期間に分けて保管料を計算します。
計算式は次の通りです。
1期あたりの保管料=「保管積数(前期末の在庫数 + 今期の入庫数)」 × 「保管料単価」
2期それぞれの保管料を計算し、合算した金額を1カ月分の保管料とする
1期制に比べると管理が複雑ですが、コストの変動費化は多少可能です。ただし、入出庫のタイミングにより保管料が変動する場合があります。具体的には、入庫が期替りの直後に行われ、出庫が期替りの直前に行われる場合などです。
3期制は1ヶ月を「1日~10日」「11日~20日」「21日~末日」の3つの期間に分けて保管料を計算します。
計算式は次の通りです。
1期あたりの保管料=「保管積数(前期末の在庫数 + 今期の入庫数)」 × 「保管料単価」
3期それぞれの保管料を計算し、合算した金額を1カ月分の保管料とする
1期制、2期制に比べるとコストの変動費化が可能ですが、積算は2期制と同じく、数量が「前期末の在庫数+今期の入庫数」で計算されます。期末に入庫、期初に出庫が重なる場合は保管料が高額になる可能性があります。
2.発送料(配送料)
3PL事業者がトラック便を手配する場合、トラック便は自社トラック(=アセット型3PL)や外注(傭車・路線業者)があります。発送料の計算は外注先の発着地やそれに応じた運賃タリフ情報に準じます。但し、サーチャージ料といった燃料価格の変動に応じて設定される追加料金が発生する場合があります。
3.荷役料
入出荷、在庫移動、返品、在庫調整などの作業費用を総称して荷役(ニヤク)料といいます。荷役料は通常、物流量に応じた従量課金制で計算され、次の計算式になります。
荷役料=(入庫数量×入庫単価)+(出庫数量×出庫単価)+(ピッキング数量×ピッキング単価)
+(梱包数量×梱包単価)+(その他作業数量×その他作業単価)
単価は各作業に必要な人件費や設備費などを基に算出され、商品の荷姿(容積や重量、ケースとパレットなど)に応じて変動するのが一般的です。
3PLの費用に関する注意点
その他、3PLを導入する際の費用に関して注意すべき点があります。
- ・月額、年額、単位あたりなど、費用の単位を明確にする。
- ・サービス内容と品質に対して費用が適切かどうかを慎重に評価し、委託範囲を決める。
- ・複数の事業者から見積もりを取り、費用やサービス内容を比較する。
まとめ
3PLを導入すると企業に多くのメリットがあります。しかし、委託先の選び方やサービス内容、費用について誤解がないようにするためには、契約前に費用の計算方法や注意点を理解し、委託費の項目を正確に把握して適正な料金で契約することが大切です。 次のコラムでは、「3PLの費用の最適化に向けたポイント」を解説します。

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