こんにちは。物流アウトソーシングサービス「物流業務クラウド」を提供するセイノー情報サービスです。
国際物流は国内物流とは異なり、輸送手段や通関手続き、保税倉庫の利用など特有の手続きや準備が必要となります。そのため国際物流では多くのプレーヤーが関わっており、複雑な物流ネットワークを支えています。
この記事では国際物流の各プレーヤーを紹介し、その中でも主にフォワーダーの役割、他のプレーヤーとの違いなどを詳しく解説します。
目次
1. 国際物流業界の事業構造
2. フォワーダーとは
5. フォワーダーの種類
6. まとめ
国際物流業界の事業構造
国際物流業界の事業構造は、さまざまなプレーヤーとプロセスで構成されています。ここでは、輸出に関する内容を紹介します。
国際物流のプレーヤー
主なプレーヤーは次の通りです。
- 1.荷送り人:製品の製造や販売を行い、輸出のために製品を準備する荷主
- 2.キャリア:自社で輸送機材(船舶や航空機)を保有し、輸送する業者
- 3.フォワーダー:自社で輸送機材を保有せず、キャリアからスペースを買いとり荷主に提供して輸送する業者
- 4.港湾運送業者:港で荷役作業を行い、保税蔵置場としての機能を併せ持つ業者
- 5.空港上屋・グランドハンドリング業者:空港で荷役作業を行い、保税蔵置場としての機能を併せ持つ業者
- 6.通関業者:荷送り人に代わって税関とやりとりを行い、通関手続きを代行する業者
- 7.倉庫業者:保税倉庫や一般倉庫を運営する業者
- 8.インテグレーター:自社で航空輸送機材を保有し、国際小口貨物輸送を行う業者
国際物流のプロセス
主なプロセスは次の通りです。
- 1.準備と計画:商品の梱包、輸送方法の選定、輸出先国の法規制の確認
- 2.輸送手配:海上輸送や航空輸送の選択と手配
- 3.通関手続き:輸出入に必要な書類の準備と税関での手続き
- 4.輸送:キャリアによる輸送
- 5.保管:必要に応じて保税倉庫での一時保管
- 6.最終配送:目的地までの配送

フォワーダーとは
フォワーダーの概要と急速に成長するデジタルフォワーダーについて解説します。
フォワーダーの概要
フォワーダーとは、荷主と輸送事業者の間に入る仲介業者のことです。英語では、「forwarder」と書き、広義では貨物代理店を指します。フォワーダーは荷主から貨物を預かり、船舶、航空機、トラックなど他の業者の輸送手段を利用し引き受けます。国際輸送においては、輸出通関業者と輸入通関業者の間の任務を担う重要な役割があります。
デジタルフォワーダーとは
デジタル技術の向上に伴い、デジタルフォワーダーが急速に成長しています。デジタルフォワーダーは従来のフォワーディングサービスにデジタル技術を取り入れ、貿易業務の効率化を図る事業者です。クラウド上で情報を共有・管理し、即時見積もり取得、輸送手配、貨物追跡、コストの透明化、効率的な手続き管理などオンラインでサービスを提供しています。
フォワーダーと3PLとの違い
フォワーダーと3PLは、位置づけに違いがあります。フォワーダーは貨物利用運送事業者であり、主に国際物流において輸送手配や通関業務に特化して柔軟でコスト効率の良いサービスを提供します。国際貿易における複雑な輸送業務を効率化するのに適しています。一方、3PLは輸出入を含めて物流全般を包括的に管理し、倉庫管理、在庫管理、輸送手配など、広範な物流業務を一括して請け負います。国内外問わず、物流業務全体をアウトソーシングしたい場合に適しています。
どちらを選ぶかは、荷主企業のニーズや物流業務の範囲によって異なります。具体的なニーズに応じて、最適なサービスを選択しましょう。
フォワーダーとそれ以外のプレーヤーとの違い
フォワーダーと似た用語である乙仲、NVOCC、通関業者について解説します。
乙仲とフォワーダーの違い
乙仲は、海運貨物取扱業者を指す呼び方です。船舶で貨物を海上輸送する際の手配や輸出入する際の通関書類の作成、貨物の管理など、幅広い業務に携わっています。戦前は、海運組合法で定期船貨物を取り次ぐ仲介業者のことを乙種仲立業と呼んでいました。
乙仲とフォワーダーは、輸送手段に違いがあります。乙仲が海運貨物のみを扱う専門業者であるのに対し、フォワーダーは船舶や航空機だけではなく、鉄道やトラックなどの輸送手段にも対応しています。
NVOCCとフォワーダーの違い
NVOCCとは、Non-Vessel Operating Common Carrierの略語で、非船舶運航業者のことです。外航海運において荷主と輸送業者を仲介します。自ら輸送手段を持たない貨物輸送事業者であるという点でフォワーダーと同義です。しかし、NVOCCは海上輸送にほぼ特化しています。広義ではNVOCCはフォワーダーの一種といえるでしょう。
通関業者とフォワーダーの違い
通関業者(Customs broker)は、財務大臣の許可を受けて通関業務を行う業者です。輸入・輸出など、貿易に関する貨物の通関や各種法的手続きを代理で行います。通関業者とフォワーダーは、専門に行う業務に違いがあります。フォワーダーは貨物輸送関連の手続き専門です。一方、通関業者の専門は税関関連業務です。
フォワーダーの種類
フォワーダーの種類のうち、主なものについて解説します。
エア・フレイト・フォワーダー(Air Freight Forwarder)
航空輸送を主に取り扱うフォワーダーは、エア・フレイト・フォワーダーと呼ばれています。航空会社と輸送契約を結んでおり、多くの場合通関手続きも代行します。
NVOCC(Non-Vessel Operating Common Carrier)
海上輸送を主に取り扱うフォワーダーは、NVOCCと呼ばれることがあります。船会社に委託し、荷主や荷受人の輸送依頼を代行します。船舶といった輸送手段を持っていないため、他社の航海船による定期輸送を提供しています。
まとめ
国際物流では多くのプレーヤーが関わっており、各プレーヤーが連携し複雑な物流ネットワークを支えています。そのため、荷主企業が国際物流業務を自社で担うにはたいへん負荷がかかり、専門の業者に代行してもらうことが必要となっています。特に国際物流のノウハウを持たない荷主企業にとって、フォワーダーは自社に合った輸送手段を提案してくれる重要なパートナーです。国際物流の事業構造を理解し、自社のニーズに合ったフォワーダーや3PL事業者の最適なサービスを選択しましょう。

このコラムの監修者![]() |
セイノー情報サービスは400社以上へのWMS導入を通して培った物流ノウハウをもとに、お客様の戦略立案や物流改善をご支援しています。 当コラムは、経験豊富なコンサルタントやロジスティクス経営士・物流技術管理士などの資格を持った社員が監修しています。 |
---|