2024.11.26

棚卸にWMSを活用するメリットとは?棚卸の実施方法や課題も解説

基礎から解説~倉庫の管理方法とシステム~

 

こんにちは。WMS:倉庫管理システム「SLIMS(スリムス)」を提供するセイノー情報サービスです。
棚卸業務にWMS を活用することで、ヒューマンエラーの防止、業務効率化、在庫差異の撲滅などが期待できます。この記事では、棚卸の種類や必要性、棚卸にWMSを活用するメリットについて解説するとともに、導入事例を紹介します。

 

目次

  1. 1. 棚卸とは

  2. 2. 棚卸の種類

  3. 3. 棚卸をするタイミング

  4. 4. 棚卸を行う目的

  5. 5. 棚卸が必要な理由

  6. 6. 棚卸の課題

  7. 7. 棚卸の課題を解決できるWMS(倉庫管理システム)とは

  8. 8. WMSの開発・提供方法

  9. 9. WMS(倉庫管理システム)の基本機能

  10. 10. 棚卸にWMSを活用するメリット

  11. 11. WMSの選び方

  12. 12. WMSの導入事例

  13. 13. まとめ

 

棚卸とは

棚卸は在庫管理業務の1つです。保有している商品や材料の数量や品質を確認し、正確な場所と数を把握する目的で実施されます。一般的には現場で実際の在庫を確認し、その情報をシステムやエクセルの管理表などに反映させます。 また、企業が保有する商品及び原材料も含めた、すべての在庫が棚卸の対象になります。倉庫、工場、営業所など在庫を保有している拠点がある場合は、すべての拠点で棚卸を実施する必要があります。


 

棚卸の種類

 棚卸の方法には実地棚卸と帳簿棚卸の2種類があります。

  ・実地棚卸:物理的な在庫を目視で確認し、数量と品質をチェックする
  ・帳簿棚卸:在庫を出し入れするごとに数量を帳簿に記録し、エクセルの管理表やWMSへ反映して在庫数を確認する

 実地棚卸はさらに、一斉棚卸と循環棚卸の2つに分けられます。それぞれの特徴を解説します。

一斉棚卸

一斉棚卸は通常の業務終了後や休業日など、入出荷をはじめとする業務が停止している状態で一斉に棚卸を行うことです。倉庫内の在庫が動かない状態で実施するため、ミスを減らせるのが特徴です。ただし、スケジュール調整や作業者の確保が難しい点はデメリットといえます。また、在庫の種類や品数が多い場合は時間がかかり、作業者の負担が増えるでしょう。


循環棚卸

循環棚卸は通常の業務と並行して行う方法です。ロケーション(在庫の保管場所)や商品の種類ごとに日にちをずらして実施するため、すべての棚卸が完了するまでには日数がかかります。業務を止める必要がない点がメリットですが、棚卸中に行われた在庫の出し入れを考慮する必要があるため、ミスが増える可能性があります。


一斉棚卸と循環棚卸

 

棚卸をするタイミング

 棚卸には自社の資産(在庫)を正しく把握するという目的もあります。そのため、決算前に行うことが一般的で、決算前の棚卸は「決算棚卸」とも呼ばれています。  棚卸は少なくとも年に1回は実施しましょう。ただし、棚卸のタイミングや年間の回数に決まりはありません。半期や四半期ごと、毎月末などで実施することもあります。


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棚卸を行う目的

 棚卸の目的は自社が生産または購入した在庫(モノ)について、何を・何個持っているかを正しく把握することです。その意義は会計面と業務面の2つの観点から見ることができます。

 ・会計観点での意義:在庫はキャッシュと同じく重要な資産であるため
 ・業務観点での意義:在庫の正確な把握が生産や発注、営業、物流業務の基盤となるため


 

棚卸が必要な理由

 在庫情報は経営層や経理部門が資産として把握するだけでなく、多くの部署が業務に活用します。現物確認の手間を省き、離れた拠点の在庫もスムーズに確認できるよう、在庫に関する情報(品目と数量)をデータ化する必要があります。  在庫情報は一度データ化して終わりではなく、定期的にメンテナンスして情報を正しく保つ必要があります。 つまり、情報を正しく保つために棚卸が必要です  

日々の業務を通した変化を反映するため

生産に使用される原料や部品、物流業務に使用される梱包資材、顧客に出荷される商品など、在庫情報は日々変動します。在庫の動きを迅速にシステムへ反映させるために帳簿棚卸を行い、「データを見れば在庫状況を正確に把握できる」状態を保ちます


意図しないズレを確認するため

在庫情報は意図しない入出荷の計上ミス、紛失、盗難などの発生により、正確に把握できない状態になることがあります。在庫のズレを早期に発見するためには、定期的に現場で実地棚卸を行い、実在庫を確認する必要があります。また、数の不一致に加えて、期限切れや破損などの不良在庫の有無を確認することも必要です。



 

棚卸の課題

 棚卸の実施ではコスト面と精度面で解決すべき課題があります。それぞれの課題を解説します。

手間やコストがかかる

棚卸は通常業務とは別に作業する必要があり、現場には相応の負担がかかります。また、現場管理者は計画の立案や責任者の選定にも手間がかかるでしょう。在庫差異が生じた際は、在庫情報の修正、原因究明、改善のための対策が必要になります。  さらに、棚卸の規模が大きくなるほど、携わる人員と作業時間が増えます。棚卸にかかるコストを削減するためには、少ない人員で迅速に行える工夫が必要です。


棚卸時の作業精度に注意

どれだけ注意していても、棚卸作業には数え間違いや数え忘れ、記載漏れ、集計間違いなどのヒューマンエラーが発生する可能性があります。特に目視確認とメモを取るなどの手作業によるカウントは、ミスを引き起こしやすくなります。扱う商品の種類が多い場合も、間違いが発生しやすくなります。確認した在庫には付箋を貼るなど、作業ミスを防ぐ工夫が必要です


棚卸の課題

 

棚卸の課題を解決できるWMS(倉庫管理システム)とは

 WMSとは、Warehouse Management Systemの略称で、倉庫管理システムのことです。WMSの導入により、倉庫内の入荷・出荷・保管の業務精度の向上、効率化が期待できます。 棚卸においても先の2つの課題を解決できる工夫が施されていることも重要です。


 

WMSの開発・提供方法

 WMSにはパッケージ型、スクラッチ型、クラウド型、オンプレミス型など、提供形態や開発方法にさまざまな種類があります。ここでは、それぞれの特徴を簡潔に解説します。
 

関連コラム: WMS(倉庫管理システム)の選び方のポイントを徹底解説!

パッケージ型

パッケージ型は、製品として完成した状態で販売されているWMSです。標準的な機能がはじめから備わっているため、開発コストを抑えてスムーズに導入ができます。


関連コラム: パッケージ型WMSとは?導入する際の選び方や注意点を解説

スクラッチ型

 スクラッチ型は、業務にあわせて一からシステムを開発する方法です。自社の業務に適したシステムを構築できるため、パッケージ型に比べて使い勝手が良いという特徴があります。ただし、開発コストは高くなりがちで、時間がかかる点には注意が必要です。

クラウド型

 クラウド型は、ベンダーが提供するクラウドサーバーにアクセスしてシステムを利用します。自社での機器購入やインフラ環境の整備は不要ですが、インターネット及びベンダー側の環境に依存する点には注意しましょう。


関連コラム: WMSはクラウド型がおすすめ!メリットを解説

オンプレミス型

 オンプレミス型は、自社で準備した環境でシステムを管理する方法です。社内ネットワークを利用するため、情報漏洩のリスクを減らせるメリットがあります。ただし、サーバーをはじめとする機器の購入費用やインフラの整備などのコストがかかります。


 

WMS(倉庫管理システム)の基本機能

 WMSには、入出荷管理機能や進捗管理、在庫管理などの機能があります。加えて、棚卸用のリスト作成や結果の一括反映など、棚卸を支援する機能も備わっています。商品の特性により、適している棚卸の方法やタイミングが異なるため、細かく設定できるWMSの利用が望ましいでしょう。WMSの主な機能は以下のとおりです。

・入荷管理:倉庫に入った商品を検品し、所定のロケーションへの保管作業を管理する
・出荷管理:出荷依頼に従って所定の場所から商品を取り出し、決められたルールに基づいた梱包・出荷作業を管理する
・在庫管理:何が、どこに、どれだけ保管されているか、また荷姿や期限・ロットなどの詳細な情報を一元管理する
・棚卸管理:棚卸の作業範囲の決定と棚卸結果を管理する
・進捗管理:出荷作業状況をフロア別、得意先別、運送会社別などの方法で早く見やすく可視化する

 

関連: WMS「SLIMS」の基本機能


 

棚卸にWMSを活用するメリット

 紙やエクセルでの在庫管理は入力ミスや集計ミスが発生する可能性が高まります。紙からのデータ転記をバーコードスキャンやシステムによる自動集計に変えることで、データ精度の向上や作業工数の削減が期待できます。集計にかかる時間が不要になり、即座に在庫差異を確認できます。 さらに、WMSの活用は在庫差異の発生防止にも役立ちます。商品の取り間違いや数え忘れが発生すると、アラートが上がりミスに気づけます。


 

WMSの選び方

 WMSは、機能や導入実績、周辺システムとの連携しやすさを確認して選定しましょう。ここでは、3つの観点を解説します。  

3つの視点

標準機能が十分であるか

WMSを選ぶときは標準機能が十分であるかを確認しましょう。機能が揃っていれば、カスタマイズが不要となり開発費用を抑えることができます。まずは自社に必要な機能を洗い出しましょう。


関連コラム: WMSに必要な4つの機能とは

導入実績は自社に近いものがあるか

 導入実績もWMSを選ぶポイントです。企業規模や取扱商品など自社に近い企業への導入実績があると、必要な機能が標準で備わっている可能性が高まります。また、導入実績があると導入効果をイメージしやすいというメリットもあります。


関連コラム: セイノー情報サービスのWMSを選んだお客様の声

デジタル技術や周辺システムと連携しやすいか

 物流ロボットやAI、IoTなどのデジタル技術の活用を考えている場合は、連携実績が豊富なWMSを選びましょう。ロジスティクスの最適化には、物流の一気通貫管理が重要です。そのためには、ロボットを統合管理できるWESや、物流情報を統合管理できるLMS、倉庫の次工程を管理するTMSなど、他の物流システムとWMSとの連携が欠かせません。


関連コラム: WMSと連携する3つのシステムとは?連携方法や注意点を解説


 

WMSの導入事例

 WMSを活用し、在庫精度を高めた企業の導入事例を2つ紹介します。

TONE株式会社:誤出荷撲滅、在庫差異率の改善

TONE株式会社では、月間で発生する誤出荷が50件弱(誤出荷率0.7%)と高かったため、業務への影響は看過できないものでした。WMSの導入により月間の誤出荷は10件未満(誤出荷率0.02%)に減少しました。誤出荷が抑制されたことで在庫の差異も大幅に減少しています。在庫管理精度のさらなる向上を目指し、工場でもSLIMSの活用を進めています。


関連事例: WMS導入で業務プロセス改善製品の即納体制を確立、誤出荷撲滅も

丸栄ニューウェーブ株式会社:誤出荷ゼロ、かんばん方式にも対応

丸栄ニューウェーブ株式会社の物流センターでは、部品箱換算で月間15万箱の在庫を取り扱っています。従来、紙ベースの帳票類を元に目視で行っていた確認作業をハンディターミナルの照合作業に置き換えたことで、確認漏れによる作業ミスが減少し時間も短縮された。その結果、生産性が24%向上しました。 また、かんばん方式に対応したWMSを導入したことで誤出荷ゼロを実現しています。


関連事例: かんばん方式で、生産性24%向上・誤出荷ゼロ


 

まとめ

 棚卸とは在庫の数量や品質を正確に把握し、管理するために実施される業務です。棚卸には、実地棚卸や帳簿棚卸があり、自社の資産(在庫)を正しく管理するためにも、最低でも年に1度は実施しましょう。また、WMSを活用して棚卸を行うことで、ヒューマンエラーの防止や業務の効率化が期待できます。 セイノー情報サービスのWMS「SLIMS」は、400社以上での導入経験をもとに、多様なノウハウを提供しています。物流システムをご検討の際は、ぜひ以下からお問い合わせください。

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このコラムの監修者
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セイノー情報サービスは400社以上へのWMS導入を通して培った物流ノウハウをもとに、お客様の戦略立案や物流改善をご支援しています。
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