WMS(倉庫管理システム)は、在庫管理や入出荷業務の効率化を支える重要なシステムです。ただし、備えている機能や対応範囲は製品によって異なります。導入効果を最大限に引き出すには、基本機能を理解したうえで、自社の業務内容や運用特性に合った製品を選ぶことが大切です。
本記事では、WMSに必要な4つの機能を解説したうえで、WMSが活用されている主な業界や、選定時のポイントについて紹介します。
目次
WMSに必要な4つの基本機能
倉庫業務を安定して運用するには、在庫の所在や状態を正確に把握し、検品精度を高めながら、作業実績を可視化できる仕組みが必要です。
- ・ロケーション管理
- ・多様な在庫属性管理への対応
- ・複数コードによる商品識別・検品
- ・作業実績データの活用
それぞれの機能について、特長と活用シーンを見ていきましょう。
ロケーション管理
ロケーション管理とは、棚番号などを設定し、在庫の保管場所を管理する仕組みです。何が、どこに、どのくらい保管されているかを把握し、入出庫や移動の情報を随時反映することで、在庫の所在や数量をリアルタイムに近い形で把握できます。ロケーションの管理方法には、主にフリーロケーションと固定ロケーションがあります。
フリーロケーション管理
フリーロケーション管理とは、商品の種類を問わず、倉庫内の空きスペースを活用して保管する運用方法です。WMSで入荷単位やロット、消費期限などを管理することで、同じ品番の商品を複数の保管場所に分けて保管する場合でも、在庫の所在や数量を正確に把握できます。少量多品種の商品や、入れ替わりの多い在庫の管理に適しています。
固定ロケーション管理
固定ロケーション管理とは、商品ごとに保管位置を決めて管理する方法です。置き場が固定されるため、作業者が場所を覚えやすく、ピッキング作業を標準化しやすい点が特徴です。配置変更が少ない商品の管理に向いています。
ロケーション管理で意識すべき点
ロケーション管理では、温度帯ごとのゾーン分けや、作業特性に応じたエリア・倉庫棟の設定が重要です。出荷頻度、出荷数量、出荷単位、商品の回転率などに応じて、保管エリアとピッキングエリアを分けると、移動距離を短縮し、作業効率を高められます。また、複数倉庫を運用する場合は、在庫の所在や荷主別の在庫を正確に把握できないと誤出荷や在庫差異につながるため、倉庫区分、エリア区分、荷主区分など、必要なロケーション階層に対応できるWMSを選ぶことが大切です。
多様な在庫属性管理への対応
在庫属性とは、品番に加え、ロット、賞味期限、状態などの条件で商品を細かく識別・管理するための項目です。出荷業務では、在庫属性を活用することで、先入れ先出し、期限管理、ロット管理などを正確に行えます。また、在庫属性を納品先ごとの出荷条件と組み合わせて管理できれば、出荷期限、ロット指定、ラベル貼付ルールなどにも対応しやすくなります。
返品品・不良品・検査前品などをステータスで管理すれば、物理的な保管場所の区分だけでなく、システム上でも在庫を識別できます。必要な在庫をスムーズに引き当てられるため、出荷作業の停滞防止にもつながります。さらに、得意先別の管理コードを設定し、特定の得意先向け在庫を個別に管理することも可能です。このような柔軟な属性管理は、WMSに求められる重要な機能の一つです。
複数コードによる商品識別・検品
作業精度や作業効率の向上には、バーコードを利用した検品運用が効果的です。JANコード、取引先独自のインストアコード、QRコード(二次元コード)などの各種コードを読み取ることで、商品情報やロット、賞味期限などを識別し、マスタ情報や入荷情報と照合できます。コードにロットや賞味期限などの情報が含まれている場合は、それらの確認にも活用できます。
WMSでは、商品マスタに複数のコードをひも付けることで、異なるコードを読み取った場合でも同一商品として判別できます。入荷予定情報を事前に取り込めば、入荷実績との突き合わせにより、予定外入荷や数量差異の確認も可能です。
また、コードの種類や読み取り方法に応じて、ハンディターミナル、固定スキャナ、フォークリフト端末などを使い分けられるかも重要なポイントです。
作業実績データの活用
作業実績データを蓄積すれば、KPI設定や生産性分析、委託先・拠点ごとの作業状況の把握に必要な情報をWMS上で管理・活用できます。手書きメモやパソコンへの二重入力といった作業負担の軽減にもつながります。
また、商品に不具合が発生した際のトレーサビリティ管理や、棚卸時の在庫差異の調査・分析にも役立ちます。必要なデータを取得・分析しやすくなることで、業務改善につなげやすくなります。
さらに、業務別・配送業者別などの切り口で作業進捗を確認できれば、問題点の早期発見や迅速な対応が可能になり、作業遅延を抑えやすくなります。
WMSが活用されている主な業界
ここまで紹介した機能は、多くの倉庫業務で共通して活用できます。ただし、重視すべき機能や運用方法は、業界や業務内容によって異なります。
次に、WMSが導入されている主な業界と、それぞれの活用例を見ていきましょう。
物流業
物流業では、WMSがピッキングや梱包作業の効率向上に役立ちます。ロケーション管理によって倉庫内の商品配置を見直し、作業動線を改善することで、出荷作業のスピード向上や物流コストの削減につながります。
また、複数拠点に対応したWMSであれば、拠点ごとの在庫や作業状況を一元的に確認できます。作業実績データを活用することで、作業負荷の偏りや出荷量の変動も把握しやすくなり、多様な顧客ニーズにも柔軟に対応できます。
製造業
製造業では、WMSを導入することで、部品や原材料の在庫管理を効率化できます。在庫を正確に把握することで、生産計画に必要な材料を適切なタイミングで供給でき、生産ラインの停止防止や安定稼働につながります。
また、ロット、使用期限、検査前品、不良品などの在庫属性を管理することで、品質管理やトレーサビリティの強化にも役立ちます。生産管理システムや販売管理システムと連携することで、製品の出荷準備や出荷指示の管理にも活用できます。
小売業
小売業では、WMSを活用することで、店舗向け出荷やEC出荷に必要な在庫管理を効率化できます。店舗やECサイトの在庫情報と連携することで、在庫状況を把握しやすくなり、顧客に正確な在庫情報を提供しやすくなります。
また、JANコード、SKU、店舗別コードなど複数の商品コードをひも付けて管理できれば、検品精度の向上や誤出荷の防止にもつながります。過去の出荷実績や在庫データを分析することで、適正な在庫レベルの検討に役立ち、過剰在庫や欠品リスクの低減にもつながります。
WMSの選び方
WMSを選ぶ際は、入出荷や在庫管理の機能だけでなく、現場の保管ルール、商品特性、検品フロー、作業体制に合っているかを見極めることが重要です。自社の課題解決や業務改善につながる機能を備えているかに加え、作業実績を人員配置や改善活動に活用できるかも確認しましょう。
課題解決のしやすさで選ぶ
WMSを選定する際は、まず自社の課題を明確にすることが大切です。たとえば、誤出荷が多い、在庫差異が発生しやすい、作業進捗が見えにくい、棚卸に時間がかかるといった課題を洗い出します。
そのうえで、課題解決に必要な機能を備えているかを確認しましょう。たとえば、在庫の所在把握、複数条件での在庫管理、検品時の照合、作業実績の可視化などが比較ポイントになります。
使いやすさで選ぶ
WMSは、現場担当者が日常的に使用するシステムです。そのため、操作性の高さは重要な選定ポイントになります。画面が見やすいか、ハンディターミナルで直感的に操作できるか、作業手順に沿って入力できるかを確認しましょう。
誰でも使いやすいシステムであれば、教育にかかる時間を抑えられ、導入後の定着も進みやすくなります。
特に検品作業では、バーコードやQRコードなどをスムーズに読み取り、作業者が迷わず確認できる画面設計かどうかも確認しておきましょう。
システム連携のしやすさで選ぶ
WMSを選ぶ際は、基幹システムや販売管理システム、受注管理システム、ECカート、配送管理システムなどとの連携性を確認しましょう。受注情報や在庫情報、出荷指示、納品書・ラベル情報を連携できれば、届け先ごとの出荷ルールをWMS上に反映しやすくなります。
特に、ロットや賞味期限、在庫状態などの情報を連携できると、出荷条件に応じた在庫引き当てや検品を正確に行いやすくなります。
また、ハンディターミナルや固定スキャナなど、現場で使用する機器と連携できるかも重要です。
他のシステムや機器と連携できれば、入力や確認の手間を減らし、誤出荷や帳票ミスの防止にもつながります。
まとめ
WMSを導入する際は、ロケーション管理、多様な在庫属性への対応、複数コードによる商品識別・検品、作業実績データの活用といった基本機能を確認しましょう。これらの機能により、在庫の所在や状態を正確に把握し、入出荷、検品、棚卸などの負担を軽減できます。ただし、WMSに求められる機能は、物流業、製造業、小売業など、業界や業務内容によって異なります。導入効果を高めるには、自社の課題を明確にしたうえで、操作性や他のシステムとの連携性も含めて比較検討することが大切です。
倉庫管理システムSLIMS
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