2020.6.29

WMSはクラウド型がおすすめ!メリットを解説

コンサルタントが解説! WMSの選び方

日本企業のクラウドサービスへの移行が加速しています。
ある調査によると2026年には国内クラウド市場は10兆円を超えるという予測がされています。 そこで当コラムでは、WMSをクラウド型にするメリット・デメリットについて、さまざまな視点で解説します。

 

目次

  1. 1. クラウド型WMSとは

    • ・WMS(倉庫管理システム)とは
    • ・WMSは物流管理システムの一種
    • ・WMSはクラウド型がおすすめ
  2. 2. クラウド型WMSのメリット

    • ・初期費用や運用コストの削減
    • ・短期間で導入可能
    • ・ビジネスの規模に応じてコストを変動化
    • ・万が一の災害発生時にも有効
  3. 3. 押さえておきたいクラウド型WMSのデメリット

    • ・カスタマイズができない場合がある
    • ・パフォーマンスがベンダーや環境に影響される
    • ・セキュリティレベルがベンダーに依存
  4. 4. クラウドサービスの障害対策

    • ・サービス提供を止めないインフラ環境の構築
    • ・障害予兆を監視しトラブルを未然に防止
    • ・障害発生時の業務インパクトを最小限に
  5. 5. セイノー情報サービスの倉庫管理システム「SLIMS」

  6. 6. まとめ

 

コラムのポイント

  • ・クラウド型WMSのメリット、デメリット
  • ・クラウドサービスで行われている障害対策

 

クラウド型WMSとは

WMSとは倉庫管理システム(Warehouse Management System)のことです。
WMSにはどのような機能が必要とされているのか、他の業務システムと何が違うのか、さらにこの領域でも導入が加速している「クラウド型WMS」について解説します。

  

WMS(倉庫管理システム)とは

WMSは倉庫内作業の精度向上や標準化・効率化を支援するためのシステムで、入出荷管理や在庫管理といった機能を備えています。 基幹システムや在庫管理システムにも部分的に近い機能が含まれるため混同しやすいですが、倉庫内作業を管理するための専用システムとして、その効果が業種業態を問わず評価され多くの企業で導入されています。


WMSの基本機能や導入メリットはこちら

 
  

WMSは物流管理システムの一種

モノの流れ(物流)を管理するためのシステムの総称を物流管理システムといいます。 WMSは物流管理システムの一種で、モノの流れの中でも倉庫内作業に特化しています。 配車など輸配送の管理に特化したシステムはTMS(Transport Management System)といいます。


  

WMSはクラウド型がおすすめ

システムの利用方法は、オンプレミス型とクラウド型の2つに大別できます。 オンプレミス型はサーバやネットワークなど社内にインフラ環境を構築します。 一方クラウド型はシステムベンダーや専門の業者が提供するインフラ環境を活用し、インターネットを介してアプリケーションを利用します。
先の通り、クラウドビジネスの発展はめざましくWMSも例外ではありません。 国内外問わず多くのITベンダーがWMSをクラウドで提供するようになりました。 弊社でも2011年からクラウド型WMSの提供を開始しており、現在ではほとんどのお客様がクラウド型を選択されます。


WMSの提供形態に関する解説はこちら

 
クラウド型システムの提供形態
クラウド型システムの提供形態

 

クラウド型WMSのメリット

なぜ多くの企業がクラウド型WMSを選択しているのでしょうか。クラウド型の主なメリットを解説します。

 

初期費用や運用コストの削減

クラウド型の場合、WMSベンダーが提供するインフラ環境を利用するため、サーバやネットワークを準備するための初期投資や導入後のメンテナンス費用が抑えられます。 専門知識を持った保守要員の確保や教育も必要ありません。
実は多くの企業が、導入後のシステム運用に課題を感じています。 例えばサーバOSのバージョンアップといった作業を行わなくて良いことは、非常に大きなメリットであると言えます。

 

短期間で導入可能

オンプレミス型の場合、サーバやネットワーク機器の調達に始まり、インストール・設定など環境準備が必要となるので導入までに時間を要します。 しかしクラウド型であればこれらの多くが不要となり、すぐに利用することができます。 比較的短期間で導入できるほか、ベンダーによっては選定中に試使用することも可能です。

 

ビジネスの規模に応じてコストを変動化

クラウド型はサービスを利用した分だけ支払う従量課金制が採用されていることが多く、ビジネスの規模に応じてコストの変動費化ができます。 インフラ環境についても同様で、企業やビジネスの成長に合わせて必要な分を使用できるので、変化に素早く対応できビジネスチャンスを逃しません。

 

万が一の災害発生時にも有効

クラウド型サービスのサーバは、データセンターに設置されていることが一般的です。 データセンターは、地震だけでなく火災や停電にも強い構造となっているので、万が一自社が被災したとしても、データセンターが無事であればデータを失うことはありません。 インターネットがつながれば継続してシステムを利用することができます。
また、データセンターではバックアップデータを自動取得するサービスもあります。複数のデータセンターで定期的にバックアップすることで大規模災害が発生した際でも早期に事業の復旧が可能です。

災害発生時の違い(オンプレミス型とクラウド型)
災害発生時の違い(オンプレミス型とクラウド型)

 

押さえておきたいクラウド型WMSのデメリット

クラウド型WMSにはメリットだけでなく、デメリットもあります。

カスタマイズができない場合がある

クラウド型のシステムには、カスタマイズに制限がある、もしくはカスタマイズできないものがあります。
WMSはカスタマイズが発生しやすいシステムの1つです。項目名を変更するような小さなものから、管理コードや荷姿を増やしたり、 業界もしくは自社特有の帳票やレポートを作成するような大きなものまで、現場のカスタマイズ要望は多く発生します。
クラウド型を利用する場合は、カスタマイズの可否とその範囲、または標準機能で現場運用ができるかどうかをあらかじめ確認するようにしましょう。

パフォーマンスがベンダーや環境に影響される

クラウド型はWMSベンダーやデータセンターのインフラ環境を利用します。
そのインフラ環境はみなさんの会社だけでなく他社と共用する場合が多く、利用する企業が増えてアクセスしづらくなるなどパフォーマンスが低下する場合があります。 また、障害が発生してシステムが利用できなくなる可能性もゼロではありません。
万が一障害が起こった場合の対応はベンダーによって様々です。 24時間365日稼働している物流センターであれば、深夜や日曜日に障害が発生した場合もサポートしてもらえないと業務が止まってしまいます。 対応可能な時間帯はもちろんのこと、障害発生時の連絡方法、障害が起きないためにどういった対策が取られているのか、ベンダーの保守能力を十分確認しておくことをお勧めします。

セキュリティレベルがベンダーに依存

システムのパフォーマンス同様、セキュリティ対策もベンダー側に依存します。
オンプレミス型は自社の統一したポリシーに従ってセキュリティ対策をするため、安定したセキュリティレベルを維持できます。 かたやクラウドはベンダーが提供するセキュリティレベルに依存するため不安を感じることもあるでしょう。


確かにオンプレミス型はどこまでも堅牢で強固なシステムを追求することはできます。しかし裏を返せば知見や経験を備えた専門の人材が常に必要になります。
近い未来、クラウド市場は10兆円を超えるといわれている中、クラウドベンダーが提供するセキュリティレベルは常に一定以上で、高い頻度で更新されています。 専門知識が必要となるため、情報システム担当者も交えて検討しましょう。


 

クラウドサービスの障害対策

クラウドサービスを提供するベンダーは常に品質の向上に努めています。
具体的にどのような対策が行われているのか、弊社の取り組みもあわせて解説します。

サービス提供を止めないインフラ環境の構築

最も重要なことはシステムを止めないことですが、真っ先に上がる対策は二重化です。
サーバだけでなく、ネットワークや電源も二重化しておくと、万が一に故障が発生しても止まることはありません。
加えて、大量のアクセスが同時発生した場合など、1つのサーバに負荷が偏るような場合では、ロードバランサ(負荷分散装置)を使用し、高負荷による障害発生を未然に防止します。
これらの対策により、仮に問題が発生して1つのサーバがダウンしても、業務を正常に続けることができます。

障害予兆を監視しトラブルを未然に防止

システムを構成するハードウェアとソフトウェアそれぞれの稼働状況を24時間365日監視し、障害につながる様々な予兆を認知することも有効な対策です。
CPUは一定の使用率を超えると処理が遅くなるため、常に使用率を監視し必要に応じて増強させます。 同様にメモリ・ストレージ・ネットワークの使用状況など、システム全体のリソースを監視します。 またアプリケーションの処理時間が長時間化(パフォーマンス悪化)しているような障害予兆も見逃してはいけません。

障害発生時の業務インパクトを最小限に

万が一障害が発生した場合においては、異常が発生している箇所と原因の特定が最優先されます。
システム障害と言っても幅広く、ハードウェアでもサーバー・ストレージ・ネットワーク・パソコンやハンディターミナルなど様々あり、加えてアプリケーションやデータベースも存在します。
それらの広い範囲の中からピンポイントで問題を特定するには障害管理ツールの活用が有効です。
障害管理ツールは、人間が常時監視しなくともシステム障害・レスポンス低下・性能低下・サーバ過負荷状況を常時監視し、自動で問題箇所を特定しアラートを発報するため早期の障害リカバリーに有効です。

また、障害発生時は情報の収集・管理・伝達などの統制が重要です。 ベンダーからユーザーに対して障害発生の一報、復旧の見込時間など詳細情報を定期的に伝達することで、ユーザー側でのリカバリーが段取りよく進みます。 弊社では障害報の伝達先や方法など、障害発生時の対応をきめ細やかにルール化し、定期的な模擬訓練も実施しています。

業務インパクトを最小限にする障害対策
業務インパクトを最小限にする障害対策

 

セイノー情報サービスの倉庫管理システム「SLIMS」

セイノー情報サービスの「SLIMS」は、販売開始以来400社以上に導入実績があり、企業の規模・業種業態を問わず多くのお客様から支持されているWMSです。 深刻化する物流現場の人手不足時代に向け、経営目線で解決策をご提案しWMSを軸に物流現場の効率化、標準化を推進します。
クラウドサービスについては、2011年からサービス提供しており、セキュリティや障害対策にも注力、物流現場を止めないサービス提供を心掛けています。 ご提供する災害対策レベルも複数ご用意し、スタンダードタイプであってもSLOを99.9%に設定しています。


※SLOとは
Service Level Objectiveの略で、事業者がサービスレベルの目標・評価基準を定めたもの

「SLIMS」の主な特長
  • ・大企業から中小企業まで幅広い実績(1日の出荷明細1,000~数十万行まで対応)
  • ・ビジネス環境の変化に合わせて常に進化し続ける
  • ・ロボットやAI、マテハンなど最新のデジタル技術と連携


 

まとめ

昨今、クラウド型のWMSが主流になってきています。
WMSをクラウド型にするメリットは以下の通りです。

  • ・初期費用や運用コストが削減される
  • ・短期間で導入できる
  • ・ビジネスの規模に応じてコストを変動費化できる
  • ・万が一の災害対策としても有効

しかし、クラウド型はベンダーが用意したインフラ環境を利用するため、自社の統一したセキュリティ環境と比べると、安全性に不安を感じることもあるでしょう。 セキュリティ対策や災害対策はどのように行っているのか、万が一問題が発生した場合はどのような対応がとられるのか、システムベンダーへの事前の確認が必要です。
WMSは基幹システムに比較すれば大規模ではないかも知れません。しかしWMSが止まればモノの供給がストップしビジネスに大きな影響を及ぼします。 たとえWMSであっても、安心で高品質なクラウドサービスを選定しましょう。

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