2023.5.8

生産管理とは?業務課題や改善方法を分かりやすく解説

基礎から解説~生産管理~

 

「生産管理」は製造業にとって大変重要な業務です。
当コラムでは、生産管理とはどのような業務なのかを分かりやすく解説します。
課題や改善方法とともに改善事例もご紹介しますので、改善活動にお役立てください。

 

目次

  1. 1. 生産管理とは

  2. 2. 生産管理に含まれる主な業務

  3. 3. 生産管理に潜む課題

  4. 4. 生産管理の課題を改善する方法

  5. 5. セイノー情報サービスの生産管理ソリューション

  6. 6. まとめ

 

コラムのポイント

  • ・代表的な課題とその発生原因
  • ・有効な改善方法や事例
 

生産管理とは

生産管理とは、「生産活動の管理」に関わる業務全般を指します。
製品を必要な時に、必要な分だけ、規定のコストで生産できるよう、 「QCD」と呼ばれるの3つの観点(品質(Quality)・コスト(Cost)・納期(Delivery))で生産活動を管理します。

生産管理は単に生産工程の改善だけを目的に行われるのではありません。
QCDの管理が徹底されたその先には、顧客満足度(CS)の向上による企業競争力の強化、利益創出があります。
製造業にとって生産管理は、市場で優位に生き残るための重要な業務と言えるでしょう。

生産管理におけるQCD
 

生産管理に含まれる主な業務

生産管理とは、具体的にどういった業務が含まれているのでしょうか。
代表的な7つの業務をご紹介します

生産管理に含まれる主な業務
 

生産計画

生産計画とは、「どの製品を、いつ、どのくらい作るのか」を計画する業務です。
顧客からの注文内容、営業部門の見込み情報や販売計画、現在の在庫数、工場の稼働状況などを考慮しながら、顧客と取り交わした納期を守れるよう計画します。
最初は月次で計画して週次・日次と徐々に細かく落とし込み、最終的にはどの工場のどのラインで、どの製品を、いくつ生産するかが決められます。

 

調達計画

生産計画や在庫情報をもとに、「どの材料(資材)を、いつ、どのくらい調達するか」を計画します。
計画通りに生産するには、必要な時に、必要な材料を、必要な分だけ使用できるよう材料を補充しておくことが必要です。
しかし過剰在庫になると保管コストが増えるなどの問題が生じるため、在庫数が最適化されるよう生産・販売計画に合わせた細かな調整が行われます。

 

製造管理

計画通り生産活動が行われるよう進捗状況や実績を管理します。
納期に間に合うよう生産されているか進捗状況をチェックし、遅延が発生している(発生しそう)な場合はリカバリーの指示を出したり改善を検討したりする業務です。

 

工程管理

工程管理とは「どの製品を、どのように生産するか」という製造工程の管理を指します。
工程の改革に取り組む企業も多く、ある企業は計量・キット化などの「前段取り」を倉庫で行い、工場には「すぐ生産ラインに運び込める」状態で納品されるよう改善されました。

工場の役割を見直した製造工程の改善事例はこちら

 

在庫管理

製品だけでなく、原材料や資材も含めた生産に関わる全ての在庫を、必要な時に必要なだけ供給できるよう、状態を正しく把握し管理します。原材料や資材が欠品すれば生産ロスが発生しますし、製品が欠品すれば顧客に製品を届けられません。トラブルを防ぐためにも、在庫数の正確な管理は大変重要です。

 

品質管理

先の通り、製品の品質管理は顧客満足度の向上に関わる重要な業務です。
最終的に作られた製品の検査・検品で不良品を見極めるだけでなく、正しい方法・手順で生産されているかのチェック、不良品ができた原因の分析や改善、トレーサビリティ管理などを行います。

 

原価管理

製造に関わるコストを把握し、適切な原価で生産されるよう管理します。
ロット№ごとの材料購入費や生産に関わる人件費を正しく把握することで、より正確に実績を算出できます。
目標原価の設定や目標と実績の差異分析、原価低減に向けた改善活動を行うことで、自社の利益率が改善されます。

正確な製造原価を把握し利益率を向上させた改善事例はこちら

 

生産管理に潜む課題

生産管理における代表的な課題を3つご紹介します。

 

属人化しやすい

生産に関わる計画・管理業務は複雑性が非常に高く、属人化しやすい傾向にあります。
生産活動には生産・調達・営業・物流に携わる人、顧客やサプライヤーなど複数のプレイヤーが関わっており、考慮しなければいけない事は多岐に渡ります。
誰からどのような情報を入手するのか、その情報の何を見てどう考慮すべきかなど、ノウハウは担当者の頭の中に蓄積されていることが少なくありません。

 

ブラックボックス化してしまう

属人化に悩む企業の多くは、マニュアル化や判断基準の設定が行われていません。
担当者以外にはどのように業務が行われているのか全く分からない「ブラックボックス化」してしまっているのです。
運用がブラックボックス化していると、企業として熟練者の知見をノウハウ化することはできませんし改善もできません。

 

部門間の情報共有がスムーズでない

生産管理にはいくつもの部門が関わっており、それぞれが個別に情報を持っています。
本来は正確かつリアルタイムな情報が共有され、計画と管理精度の向上が図られるべきです。 しかし情報共有への意識が向上しない、人によって共有される情報の内容や精度に差がある、といった問題が発生してしまいます。
情報が適正に共有されないと、生産計画の精度が低下し過剰在庫が発生するなど問題が問題を生んでしまいます。
健全な生産活動を行うには、適切な部門間連携が必要不可欠です。

生産管理に潜む課題
 

生産管理の課題を改善する方法

先の通り、生産管理にはさまざまな課題が潜んでいますが、それらを解決するのに有効な3つの改善方法をご紹介します。

 

情報の可視化

生産管理の課題を解決したいなら、まずはこれに関わる情報を可視化する必要があります。
生産状況を値で把握できれば、課題の発見や原因の分析が可能になります。 数値だけでなくグラフや表などを用いて情報をグラフィカルに可視化すれば、より情報への理解が深まりデータ活用の促進や改善に役立ちます。 また、熟練担当者のノウハウも大切な「情報」ですので、業務マニュアルに落とし込む形で可視化しておきましょう。

 

運用ルール、判断基準の明確化

可視化された情報をもとに運用ルールや判断基準を明確化することで、誰でも一定の精度で業務を行えるようになります。 判断基準を設定するには、まず生産・調達リードタイムなど制約条件の整理から始めます。
例えば生産リードタイムは商品ごと、作業工程ごとの日数を把握するなど、細かくおさえることがポイントです。 条件を洗い出せたら、実績に基づいて判断基準を設定していきます。 設定しても、市場の変化や営業戦略に対応できるよう定期的に基準値を見直す必要があります。 一度決めたことの見直しはつい後回しにしてしまうため、基準値とともに見直すタイミングを決めてしまうことをおすすめします。

生産管理で判断基準を明確化する際のポイント
 

部門間連携の強化

部門間の連携を強化し情報共有をスムーズにするには、まずは各部門の役割を明確にします。
後続の業務でその情報がどう使われているのかも明らかにし、正確性を高める努力が「当たり前」に行われるための土台を作りましょう。


加えて、必要となる情報とその入手元を整理し、どう共有するかのルールを設定します。

  1. 1. 必要な情報とその入手経路を整理
  2. 2. 部門間の情報共有にルールを設定:いつ、どのような情報(項目)を、どのフォーマットで共有するか
  3. 3. 情報の解釈、活用方法をマニュアル化:入手した情報から何を読み取り、どう活用するか

部門間の連携が強化され正確な情報がスピーディーに共有できるようになれば、業務精度が向上して過剰在庫や欠品の防止、生産活動の効率化といった改善を促進できます。

 

生産管理システムの活用

生産管理システムの活用を通し、情報の可視化や判断基準の明確化、業務の標準化が可能です。
情報の可視化はExcelでも実現できますが、業務の属人化を解消できず、リアルタイムな情報共有には向きません。
システムを活用すれば、複数部門にまたがって管理されていた情報が一元管理でき、コミュニケーション不足によるミスや機会損失を防ぎます。 リアルタイムに相互の情報が見られれば、工場での作業進捗を営業部門が見て顧客へ迅速に納期回答する、といったことも可能になります。

担当者固有のExcelから脱却した改善事例はこちら

 

セイノー情報サービスの生産管理ソリューション

生産工程は、実は「物流工程」の連続です。
生産指示、計量、加工、組立、包装など、それぞれの工程の前後には必ず、ピッキング・搬送・保管などの物流工程があります。セイノー情報サービスの生産管理システム「SPENCER(スペンサー)」は、長年培った物流ノウハウと在庫管理を起点とし、生産に関わる全ての情報を可視化する生産管理パッケージです。
SPENCERは生産工程のモノの流れを最適化することで、生産工程の効率化を目指します。

生産管理システムSPENCERの詳細はこちら

 

まとめ

生産管理とは、「生産活動の管理」に関わる業務全般を指します。
製品を必要な時に、必要な分だけ、規定のコストで生産できるよう、「QCD」の観点で生産活動を管理します。
管理が適切に行われれば業務改善はもちろん、顧客満足度(CS)の向上による企業競争力の強化、利益創出が見込めます。

しかし生産活動には複数のプレイヤーが関わっており、考慮しなければいけない事は多岐に渡ります。
その複雑性が故に、業務の属人化・ブラックボックス化が起こりやすい傾向にあります。 また、部門間の情報共有の正確性やリアルタイム性に問題があり、過剰在庫などの問題が発生することもあります。

これらの問題には、情報の可視化、運用ルールや判断基準の明確化、部門間の連携強化が有効です。
さらにシステムを活用することで情報の可視化だけでなく一元管理が可能となり、情報共有もスムーズになります。

生産管理は製造業のコアとなる重要な業務です。
ルールの明確化などの業務改善はもちろん、システムをうまく活用することで自社の競争力を強化しましょう。

記事一覧に戻る
関連ソリューション

メルマガ登録

導入事例や新しいソリューション情報など、メルマガ会員限定で先行案内しています。

登録はこちら
CONTACT

お問い合わせ

サービスに関するご相談、資料請求は
以下よりお気軽にお問い合わせください