2024.9.27

物流におけるAIの活用方法~画像認識技術編~

ロジの素 最新技術「BRAIS」を活用した新しい物流DX

 

AIは物流現場において管理者の「判断」を助けてくれます。
しかし「どんな良い事があるのかピンと来ない」という方も多いのではないでしょうか。
当コラムでは物流現場においてAIが必要とされる理由や具体的な活用例をわかりやすく紹介します。

 

目次

  1. 1. AIとは

  2. 2. 物流現場においてAI活用が必要となる理由

  3. 3. 物流現場におけるAIの活用シーンと得られる効果

  4. 4. 物流現場におけるAI画像認識技術の活用

  5. 5. AI活用事例(1)画像認識技術を活用した検査・検品作業

  6. 6. AI活用事例(2)動画解析技術を活用した安全指導

  7. 7. まとめ

 

AIとは

AIとは人口知能のことで、Artificial Intelligenceの頭文字をとった略称です。
一般社団法人人工知能学会(JSAI)はAIのことを「知的な機械、特に知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術」と紹介していますが、実は明確な定義はありません。多くの研究者・団体が(大きくは変わらないものの)それぞれ定義している状態です。 当社では「ヒトの思考と同じように動作するプログラム全般」を指し、「プログラムによってヒトの思考・作業を模倣させたもの」と捉えています。


 

物流現場においてAI活用が必要となる理由

ヒトが担っている役割は「認知・予測」、「判断」、「行動」の3つに大別できます。
多くの企業が活用し始めたロボットは、モノの運搬など作業者の「行動」を支援するものです。 対してAIが支援するのは「判断」や「認知・予測」です。イメージしやすいのはAIによる検品・検査です。作業者の代わりにAIが問題ないか「判断」してくれます。

当社ではさらに、AIで管理者のマネジメント業務も支援できると考えています。
例えば防犯カメラの映像からフォークリフトによる急旋回など「危険行動があった」と「判断」できれば、管理者による人材教育・安全指導を支援できます。また未来の物量や作業量が「予測」できれば、要員配置しやすくなります。

人手不足における喫緊の課題としてドライバーや倉庫作業者などの「行動」が注目されていますが、管理者となる人材の不足へも対策が必要です。AIをうまく活用すれば、少ない管理者でもマネジメントレベルを維持できるでしょう。
管理人材の不足に対応するためのDX施策は別コラム「物流現場の新しい人手不足対策とは?」で解説しています。


ヒトが担っている役割とDX技術による支援
 

物流現場におけるAIの活用シーンと得られる効果

物流現場におけるAI活用の可能性を具体的にご紹介します。

AIの活用シーン

まずはどういったシーンでAIを活用すると良いのか、AIの機能別にご紹介します。

画像解析

画像を解析し、その意味を判断(「何が」「どこに」写っているのか 等)
ハンディターミナルで商品全体を撮影し、商品名やロット№をデータ化する際にも当技術が活用されている
活用シーン:入出荷検品、品質検査、顔認証システムによるセキュリティ管理・作業管理


動画解析

画像認識技術の応用で、動画に写っている物体を解析
活用シーン:防犯カメラ映像を活用した仮置き場の空き状況や作業進捗の確認、危険行動の監視


時系列予測

過去のデータをもとに未来を予測
活用シーン:物量や作業量を予測し、発注業務・在庫移送・要員配置などに活用


自然言語解析

文章の意図を正しく理解し、翻訳や要約、文章作成、データ検索してくれる
活用シーン:AI検索を活用した問合せ対応

AIを活用することで得られる効果

活用シーンに合わせて最適なAIを選択するだけでなく業務フローやシステムとしっかり融合させることで、様々な課題を解決できます。

  • ・業務の効率化による生産性の向上
  • ・ヒトの作業を代替することでの省力化・省人化
  • ・ミス削減、マネジメントレベルの向上による物流品質の向上
  • ・現場の見える化が促進され、現場の課題解決力が向上

関連コラム:WMSにAIを搭載し業務効率化を実現|事例も紹介


 

物流現場におけるAI画像認識技術の活用

物流現場おけるAIの活用例は様々ありますが、今回はイメージしていただきやすい「画像認識」について紹介します。
当コラムの第5章・6章(事例)も合わせてご覧ください。

画像認識技術とは

画像認識のAIは「画像を解析し、その意味を判断」することができます。
具体的には画像に写っているものの「分類(Classification)」や「検出(Detection)」が可能です。

分類(Classification)

画像認識における「分類」とは、写っている物体が「何か」を見分ける技術です。

  • ・物体分類:画像に写っている物体が「何か」を言い当てる
  • ・シーン認識:画像全体を俯瞰して、どのようなシーンなのか見分ける

検出(Detection)

画像認識おける「検出」とは、物体が画像中の「どこに写っているか」を特定する技術です。スマートフォンの写真撮影機能にはこの技術が活用されており、ヒトの顔が写っている場所を検出しフォーカスを当てたり背景をぼかしたりできます。

  • ・物体検出:画像から特定の物体を発見し、枠で囲うなど強調
  • ・セグメンテーション検出:床や荷物などの領域を検出し、床は青、棚は緑、荷物は赤というように塗り分け

AI画像認識技術を用いた4種類の解析例

画像認識技術を活用する際の注意点

優れた画像認識技術を活用すれば必ず効果が出るわけではありません。
例えば画像認識技術による検品・検査を行おうとしたものの、AIではヒトと同じ(もしくはそれ以上の)ミス検出率を実現できないことがありました。この結果は「AIによる画像認識の精度がヒトより劣っている」ためではなく、「画像の撮影手法」や「現場の撮影条件」に由来していました。そのため当社では活用(検証)する際に、実地検証と改善のプロセスを何度も繰り返すことを推奨しています。先の例では、撮影環境の照明や撮影角度など改善のヒントを発見しAI検査を実用化できました。

以下の図は画像認識技術を検品作業に活用した際のプロセス例ですが、最新技術の活用全般に応用できます。

画像解析技術を活用したAI検品の適用プロセス例
 

AI活用事例(1)画像認識技術を活用した検査・検品作業

当社が提供するLCM(ライフサイクルマネジメント)サービスでは、画像認識技術を活用したAI検査を行っています。

取組み概要

当社では顧客から月間数千台におよぶネットワーク機器をお預かりし、検査・セットアップ・キット化しています。
従来は正しくキッティングできたかを、作業者が目視で2重チェックしていました。しかし作業・検査ミスの防止と省力化に向けて、画像認識技術の活用に取り組みました。

ネットワーク機器のキッティング業務の流れ

状況と課題

  • ・状況:出荷品質を維持するため、付属品検査・出荷工程で作業者が「目視で2重チェック」
  • ・課題:検査ミスを防止しつつ、人手をかけずにチェックできるようにしたい

解決策

  • ・目視による2重チェックに頼らない検査方法を開発
  • ・具体的にはAI画像検査の実現(「AI画像検査+目視」への置き換え)

実施効果

AI画像検査によりチェック漏れが無くなり、検査に必要な人数をおよそ半分に減らせました。
また実地検証と改善プロセスを繰り返し、実用化に耐えうる検査精度を実現しました。

  • ・異常があった場合の発見率は100%
  • ・正常品を「不良」と判定する誤認識することは殆ど無く、目視による正誤判断を加えることで実用化可能に

関連情報:AI導入事例(品質検査)


 

AI活用事例(2)動画解析技術を活用した安全指導

防犯カメラの映像を安全指導に活用した事例を紹介します。

取組み概要

ある物流センターではフォークリフトによる事故を防止するための安全ルールを定めていますが、遵守されているかチェックできていませんでした。そこで画像解析技術を活用した危険行動の検知と安全指導を目指し、取り組みました。

状況と課題

  • ・状況:事故を防止するための安全ルールが遵守されているか、チェックできていない
  • ・課題:管理者の負荷を増やさないよう、AIで危険行動の検知や安全指導を支援できる方法を確立したい

解決策

  • ・防犯カメラの映像をAIで解析し、危険行動や異常を検知
  • ・検知した場合は作業者へリアルタイムにアラートを発報し、安全指導

実施効果

動画解析技術を活用し「通路に荷物が置かれている」「フォークリフトが一時停止しなかった」といった危険を検知できました。また現場にパトライトを設置し、リアルタイムな安全指導が行えるようにしたのです。 その結果、事故発生率が減少しました。またパトライトの発報によって自動でルール遵守を促せるため、管理者による指導時間も抑制されています。

画像解析AIを活用した危険行動検知の仕組み

関連情報:AI導入事例(動画解析)

まとめ

AIは物流現場において管理者や作業者の「判断」を助けてくれます。
しかし優れた画像認識技術を活用すれば必ず効果が出るわけではありません。実地検証と改善のプロセスを何度も繰り返し、業務フローやシステムとしっかり融合させましょう。
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