2024.4.3
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「SLIMS」を軸に「RMS」と物流ロボットの導入で現場の更なる効率化を達成

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導入ソリューション

  • 倉庫管理
  • ロボットマネジメント​
  • 物流現場の可視化
  • 作業員管理
  • 省人化・省力化で人手不足を解決
企業名
アドレス通商株式会社
カテゴリ
倉庫管理、最新技術
業種
運輸・倉庫業
資本金    2億4,500万円
事業内容   リペアサービス、製造請負、コール業務、物流関連サービス
       システム開発、教育用コンテンツ制作、各種人材派遣など

お客様の概要

アドレス通商株式会社様は、1959年東京都中央区に宛名のタイピングをメイン業務として創業し以来65年、現在は通販物流などの「ロジスティクスサービス」、ダイレクトメールの企画・制作・発送などの「DM発送サービス」、派遣・紹介などの「総合人材サービス」の3つの事業を展開しています。各事業がそれぞれの強みを発揮しながら、互いの事業を補完することで幅広いサービスの提供を実現し、お客様のニーズに耳を傾け、悩みに寄り添いながら「できる方法を考える」姿勢で課題解決につながるご提案を特長としています。


特に通販・ネットショップの通販物流を手掛けて40年以上の実績を誇る同社のロジスティクスサービスは、機械化された作業だけに頼らないきめ細かな対応や、お客様のお困りごとに対しスピード感を持ってアドバイスできるノウハウを持ち合わせていることが特長です。また、緊急時の発送や24時間以内発送キャンペーンなど、ロジスティクスのさまざまなご要望に柔軟に対応してきた経験をお持ちです。


アドレス通商様のロジスティクスサービス実績

年間総出荷件数 300万件以上
物流センター総面積 37.7万㎡
製造許可証 医薬部外品、化粧品
主な設備 WMS(SLIMS)、物流ロボット(AMR)、AIピッキングカート、レジ型検品システム、
産業用インクジェットプリンタ シュリンク機、検針機など
 ※同社ホームページより

今回は2022年8月にオープンした同社の物流拠点「新習志野DC」における、WMSを軸としてロボットマネジメントシステム「RMS」と物流ロボット、その他複数のデジタルソリューションを活用して現場を更に効率化した事例をご紹介します。

新習志野DCの概要

「新習志野DC」は千葉県習志野市茜浜に位置し、4階建ての構成でワンフロアの保管面積は約1,600坪です。1階はカフェテリアと入出荷エリア、2~4階の3フロアで約20のクライアントに向けた物流業務を行っています。1階の入出荷エリアは半分が入荷側、もう半分が出荷側と対向にレイアウトされそれぞれにトラックバースが設置されています。主力の通販物流の商品は入荷検品後に垂直搬送機で2~4階へ送られます。2~4階は各4区画に分かれており、それぞれの区画で保管され、荷主のオーダーに応じた作業フローに準じて高い作業品質で入出荷されています。

アドレス通商

WMS「SLIMS」を柔軟にカスタマイズし業務を確立

アドレス通商様とセイノー情報サービスとの関係は実に長く、2008年までさかのぼります。2007年頃から卸売業者やBtoB向けの大きな案件を手掛けられるようになり、バーコードリーダーを用いたBtoB向けの検品業務として、弊社が提供するWMS「SLIMS」を初めてご利用いただきました。
当時はWMSを使わずにグッズ等を扱う荷主のEC業務を運用していたため課題が山積していました。荷主も1社だけではなくそれぞれに作業内容も異なるため、柔軟にカスタマイズできるWMSを求められており、商品特性や運用方法に合わせられることがSLIMS採用の決め手になりました。加えて同社のような業態でたびたび直面するシステムへの「クライアント追加」が容易な点も評価を受けました。当時、他社が提供するWMSの場合、マスタ登録の作業が複雑だったりクライアント追加の度に料金が課金されることもありました。SLIMSは当時からクラウド型で提供しており、複数の荷主・倉庫の管理が可能だった点も好評いただいています。


さて、2008年導入初期のSLIMSの検品はハンディターミナルのみに対応していましたが以降、徐々にSLIMSの柔軟性が如何なく発揮されていきます。大きな転換期はレジ型検品システムとの連携です。レジ型検品システムを導入されたのは、年一度大規模出荷される手帳商品を主力とする荷主向けの出荷業務がきっかけでした。年末(または年度がわり)の一定期間に大量出荷する場合、残念ながらハンディターミナルの運用では対応しきれません。レジ型検品システムは弊社とは別の企業が提供するパッケージソリューションでしたが、カスタマイズが柔軟なSLIMSと連携することができ、この検品方法を採用することで検品作業の大幅な効率化につながりました。
ハンディターミナルやレジ型検品システムはデバイスの1つであり、例えばRFIDや画像検品、ピッキングカートなど商品特性や仕事の仕方に応じてスピーディに柔軟に対応できることを高く評価いただきました。

アドレス通商
クラウド型サービス開始以降のSLIMSの主な変遷

更なる改善に向けた物流ロボットの採用

現場の効率化や自動化に向けては、レジ型検品システムに加え自動梱包機やラベリングマシンと連動するなどの柔軟さを発揮していますが、最近では新たな取り組みとして物流ロボットとも連携しています。この新習志野DCでは、SLIMSと連携して次世代協働型ピッキングロボット「ラピュタPA-AMR」(ラピュタロボティクス社製)が稼働しています。
※AMR:Autonomous Mobile Robotの略称で日本語では自律走行搬送ロボットと訳される。


SLIMSで作成された出荷指示データをAMRへ配信すると、AMRは商品が保管されているロケーションまで自律走行します。その作業エリアを担当する作業員はAMRのモニターに表示されたロケーション、商品、数量を確認し所定の商品をピッキングし、AMRに付属するバーコードスキャナで検品します。写真の通りAMRには4つの折り畳みコンテナが搭載されており、同時に4件のピッキング作業を行うことができます。スキャナーで検品した後はAMRが指示する所定のコンテナへ商品を格納します。該当ロケーションでのピッキングが完了するとAMRは次の出荷指示ロケーションに向かって自走していきます。AMRは自分自身の位置を把握して自律走行するため、軌道型のAGVに比べて導入しやすいことも利点です。また本体には複数のセンサーが搭載されているため、障害物やAMR同士の接触もAMR自身が回避してくれます。

アドレス通商

4件のピッキングを同時に進められる点、ハンディターミナルが不要となり両手での作業ができる点、ピッキングが完了した後に出荷仮置き場まで人が歩行しなくても済む点など新しい方法は、作業者がピッキングリストとハンディターミナルそれぞれを持って作業カートで移動する従来の方法に比べて、作業は格段に効率化しました。今後はAMRを活用したエリアを更に拡大していかれる予定です。
そのような台数の増加や別のロボットを採用する場合に有効な手段としてご評価いただいたのが、これも弊社が提供するWESソリューション「ロボットマネジメントシステム:RMS」です。

さまざな物流ロボットとSLIMSをつなげるWES「RMS」

WMSと物流ロボット・マテハンとを連携する方法は大きく2つのパターンがあります。「WMSとそれぞれの機器を直接つなぐパターン」と、「間に共通の管理システムを挟んでつなぐパターン」です。それぞれメリットデメリットがありますが、例えば直接つなぐパターンだと、機器ごとにインタフェースを開発しなければなりません。台数の増減や別のロボットとつなぐ場合には不可能ではないものの、毎回インタフェース部分のカスタマイズが必要となり、導入までの時間もコストもかかることになります。
今回はもう1つのパターンである「共通の管理システムを挟むパターン」を提案しご採用いただきました。SLIMSとAMRの間には弊社が独自開発した共通の管理システム「RMS」を挟み、RMSがインタフェースの役割を担い出荷指示の橋渡しやAMRの稼働状況や作業実績を集中管理しています。


弊社のRMSは一般的にはWES(倉庫運用管理システム:Warehouse Execution System)と呼ばれるものです。このRMSをハブ機能として中間に位置付けることで、例えば他業務でAMRを活用する場合や、一定期間に台数を増加する場合、更にはラピュタロボティクス社製以外のロボットと連携する場合など、現場の変化に応じてスピーディに且つコストを抑えた形で対応することができます。
今回は将来的なビジネスの拡大と業務の変化を見越して「ロボットマネジメントシステム:RMS」を採用いただきました。

デジタル技術の現場活用「COCKPIT」と「FLabor」

このように時代の流れに合わせて現場の改善を進められていますが、先進的な技術を活用した取り組みは物流ロボットだけに留まりません。
2020年からの新型コロナウィルスの影響を受け、物流領域においても仕事の仕方に変化が出ています。これまでであれば毎日出勤できることが当たり前でしたが、たとえセンター長などの管理者であっても時にはテレワークをする場合もあります。また急なリカバリーのために他の物流拠点の作業支援に向かったり、遠隔地から具体的な作業指示をしなければならない時代になりました。そのような場合でも、さもその物流現場に居るかのように状況を可視化し、管理者に変化を気付かせることができるのが「LOGISTICS・COCKPIT(ロジスティクス・コックピット)」です。


ロジスティクス・コックピットは各物流拠点の作業状況などをWEB画面を通じて把握できることに加え、グラフや色を使ってビジュアル的に状況を可視化します。新習志野DCでも複数の現場でそれぞれに合った形で情報を可視化しています。管理者がリモートで見られるのはもちろん、写真のように現場にモニター設置し、状況を赤・黄・青の信号機で表示するだけでも良い変化を生んでいます。どれくらいの作業ボリュームがこの後あるのか、今のペースで作業して時間内に終われるのか、他に遅延している作業はないのか、今日は早く終わりそうだから明日の準備を進めよう、などスタッフ一人一人の効率化に対する意識が向上したことが大きなメリットだと言われています。

アドレス通商

もう一つ、作業員の生産性を可視化するソリューション「FLabor(フレーバー)」も有効活用されています。
現場のスタッフがどの作業を何時にどれくらいやったかなどの作業実績と生産性を可視化するシステムで、情報の取得はタブレットのタッチ操作で行います。導入以前は業務の終了後に各スタッフが台帳に記録を書き込んでいました。中には判別しにくい記述があるなどこの方法は管理に向かないだけでなく、記入内容の精度にバラつきがあったりそもそも記入する時間がコストになっていました。
FLaborは入荷やピッキング、検品といった実作業に入る前にタブレットでメニューを選びカードをリーダーに読み取らせるだけで作業実績が簡単にデータ化されます。このようにまずは作業単位での実績をデータ化することから始め、スタッフごとに生産性を可視化することでバラつきや偏りを把握し、是正できるようになりました。もちろん紙面の情報をExcelに手入力する無駄もなくなり、管理者の工数削減にも一役かっています。生産性の高いスタッフの仕事の仕方をマニュアル化し、皆で共有することで全体的な作業生産性の底上げにもつながっています。

アドレス通商

現状の課題や今後の展望

このようにアドレス通商様は、SLIMSを軸にRMSや物流ロボット、その他周辺ソリューションを活用し更なる現場の効率化を実現されています。同社では最大規模のスケールを誇る新習志野DCとこれら物流システム群をフル活用し、更なるチャレンジを計画されています。
近年、新型コロナウィルスやウクライナ危機などの影響を受け、消費者の行動や荷主企業の活動内容に大きな変化が生じています。それらは特に取り扱い商品の特性や在庫量、物流品質などに影響を及ぼしています。同様に物流サービスを提供する側の企業も、人手不足や効率的な運用方法の検討に向けて、これまでより早いスピードで対応する必要性に迫られています。もはやシステムの機能が使いやすければよい、というだけに留まってはいられず、今後は機能そのものを自動化したり、他のシステムと連携させ更に業務を効率化する必要があると言われています。同社では中でもSLIMSを含めたクラウド系のサービスとの連携を強化ポイントとして挙げられています。クライアント側も様々なECサイトを活用しているため、大手ECプラットフォーマとSLIMSとを連携させ自動で出荷するようなことも構想されています。


今後は、効果を実感されている物流ロボットの利用範囲の拡大や、商品特性や業務内容に合わせて複数のロボットを組み合わせて活用する案や、更には発展が目覚ましいAIを取り込んで物流現場の流動性に素早く対応することが重要だと展望されています。

お客様の声

当社、物流部門のWMSとして、SLIMSが日々の処理や業務のシステム化・標準化の基盤となり、業務の拡大の為に欠かせない基幹システムとなっております。また、様々な要望事項がある中で担当の方々には、ご対応を頂き心強いバックアップを得ております。
両社で取り組みを進めておりますDX推進、AI技術を活用した新たなサービス創生に向けて等、今後も良きパートナーとして末永くお付き合いをいただければと思います。

アドレス通商
営業本部営業管理部 次長 榊原 克巳 氏
アドレス通商株式会社のホームページを見る

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