2026.3.4

物流管理者不足にどう対応するか? PSI&Rによるリソースシェアリングの実践

ロジの素 最新技術「BRAIS」を活用した新しい物流DX

 

物流現場では、人手不足や物量の変動が常態化しています。とりわけ近年は、現場作業者だけでなく、現場全体を統括する「管理者」の不足も顕在化しています。

 

目次

  1. 1. 物流管理者が直面する「変動する物量」の課題

  2. 2. 物流業務クラウドによるシェアリングの狙い

  3. 3. PSI&Rによるリソースシェアリングの手法

  4. 4. 実際の業務フロー

  5. 5. シェアリングの効果

  6. 6. まとめ


 

物流管理者が直面する「変動する物量」の課題

物流センターでは、季節や曜日、さらには1日の時間帯によって物量が大きく変動します。特に荷主企業の得意先向けの出荷業務では、出荷量を直接コントロールできないことも多いため、物量の変動を受け入れつつ「物流を上手くこなす」ことが求められます。そのため、物流管理者は変動する物量に対応するために、「いつ(日・時)」「誰が(職種・能力)」「どこで(工程)」「どのくらいの時間」を費やして作業をしたかを可視化し、評価・改善することが重要です。

近年では、荷主企業の多くが経営資源を本業に集中するため、物流業務を外部に任せる「物流アウトソーシング」も増えてきました。その結果、従来は荷主企業の物流管理者が担っていた多くの調整事を、物流事業者が担うことになります。
物流事業者は、多くの場合、複数の荷主から個別の物流業務を受託しており、物量の変動や作業負荷など複雑な対応をする必要があります。そのため、作業の効率化や省人化の手段として、ロボット導入なども検討されます。しかし、すべての作業にロボットを使えるわけではなく、まだまだ人手に頼る部分も多いのが現状です。


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物流業務クラウドによるシェアリングの狙い

当社では、物流・ロジスティクス分野のソリューションベンダーとして、以下の2つのサービスを提供しています。

物流ITクラウド
ITを活用してロジスティクス変革を支援

物流業務クラウド
MeLOS(物流アウトソーシング方法論)に基づき、戦略策定から運営・運用管理まで物流業務を受託

今回取り上げる物流リソースのシェアリングは、「物流業務クラウド」における効率的運用や生産性向上の手法です。複数の荷主企業から受託する物流業務では、物量が変動するため、作業量に波が生じます。物流リソースのシェアリングにより、こうした波動を平準化し、リソースを効率的に活用することで、持続可能な物流の実現を目指しています。


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業務領域ごとのシェアリング

シェアリングの業務領域は、主に以下の3つです。

  • マネジメントセンター:運営管理やヘルプデスクのオペレーター
  • 物流センター    :入出荷・保管・流通加工を担う作業員
  • 輸配送業務     :委託運送事業者のドライバー
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この中でも、今回は物流センターでの取り組みに焦点を当て、コンピュータ機器や通信機器のLCM(Life Cycle Management)サービスを提供している「厚木物流センター」での事例をご紹介します。ここでのシェアリング対象は、構築・導入を担当するキッティング技術員です。



 

PSI&Rによるリソースシェアリングの手法

厚木物流センターでは、物流リソースのシェアリングにあたり、PSI&Rの手法を活用しています。PSI&Rとは、PSI(Production:生産、Sales:販売、Inventory:在庫)の3つの情報を活用して製品・原材料の生産・販売・在庫の計画を調整する手法に、Resource(作業員)の要素を加えたものです。これにより、作業工数を予測し、未来の日別アサイン計画を短サイクルで更新して、適正に維持することができます。このPSIは、もともと製造業における生産管理や発注の意思決定に用いられています。(このPSIの考え方を物流領域に拡張し、生販在庫と物流リソースを統合的に最適化する仕組みとして当社が提供しているのが「LMS-PSI」です。)

厚木物流センターでは、この手法を用いて作業チームごとの未来作業工数を予測し、各チームの作業員を適切に割り当てることで、物量の波動による作業員不足を最小化しました。
下図は、作業チームA・作業チームBの週次作業工数を示しています。各チームにおける作業工数は、既存のリソースで賄える範囲と、週100時間を超え、不足が見込まれる範囲が分かるように示しています。


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作業チーム間での要員シェアリング

作業チームA・Bの計画作業工数を統合することで、チーム間で作業員を柔軟に融通できるようになります。これにより作業量の偏りが平準化され、特定のチームで発生していた作業員不足を抑えることが可能になります。しかし、チーム間で調整を行っても、物量そのものの波動が大きい場合には、一部の週で不足が生じることがあります。


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物流リソースの山崩し(空きリソースの創出)

そこで次の施策として有効なのが、時間軸で作業を平準化する「山崩し」です。
作業工数のピークに合わせて作業員を手配しても波動は残りやすくなりますが、あらかじめピークを分散させることで、作業負荷を平準化できます。当該日以外の作業も含めて段取りすることで空きリソースを創出でき、その余力を新規業務の受託や突発的な対応に活かすことが可能になります。


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実際の業務フロー

PSI&Rによるシェアリング計画は、次のような流れで進めます。

  1. ① 過去実績と顧客イベント情報から、未来3か月分の作業量を予測
  2. ② 作業時間を評価し、日別・アクティビティ単位の計画を作成
  3. ③ 平準化を検討し、未来3か月分の作業工数を確定
  4. ④ スキルマップと作業タイムシートを策定
  5. ⑤ 日別アサイン計画に展開し、管理者が現場運用に反映

さらに、業務フローやマニュアル、進捗チェックリスト、作業評価シートなどのドキュメントをWeb上で共有することで、必要な情報を必要なタイミングで関係者が参照できる体制を整えています。


 

シェアリングの効果

厚木物流センターでは、3つのLCMサービス案件において、作業員リソースを統合してシェアリングすることで、スケジュール作成と運営の効率化に取り組みました。案件Aは既に稼働中、案件Bは立ち上げ段階にあり、さらに約1ヵ月後には案件Cの開始が予定されていました。
案件Cの開始により全体の作業量が増加する見込みであったため、当初は5名の追加作業員を手配する計画でした。しかし、案件Bにおいて作業員が短期間で習熟し、パフォーマンスが向上したことから、1台当たりの標準時間を再設定して計画を見直しました。その結果、案件Cは既存の作業員のみで対応できる体制を構築でき、追加手配は不要となりました。

この取り組みにより、当初の計画に比べて約4人月分の外注人件費を削減できただけでなく、作業員の稼働率やスキルレベルに応じて案件に割り当てることで、スキルマッチングが向上し、生産性の高い運営体制を実現しました。さらに、余力となった作業員は他案件や突発的な対応に当たることで、限られたリソースを最大限に生かしつつ、持続可能な物流運営にも寄与しています。


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物流リソースをシェアリングして有効活用

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まとめ

物流DXは、「需要と供給の適正化」「顧客満足の向上」「社会的課題への対応」の3つを実現するための重要な施策です。PSI&Rを活用したリソースシェアリングは、変動する物量や人手不足の課題を解決し、持続可能な物流運営を支える有効な手段となります。

今後もこれらの取り組みは、物流現場の効率化や生産性向上だけでなく、企業全体のサプライチェーン強化や社会的課題の解決にもつながることが期待されます。読者の皆様におかれましても、ぜひ自社の物流改善の参考としていただければ幸いです。


400社以上への導入実績を持つWMSも
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このコラムの監修者
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セイノー情報サービスは400社以上へのWMS導入を通して培った物流ノウハウをもとに、お客様の戦略立案や物流改善をご支援しています。
当コラムは、経験豊富なコンサルタントやロジスティクス経営士物流技術管理士などの資格を持った社員が監修しています。
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