導入ソリューション
- 倉庫管理
- 物流現場の可視化
- 統合物流管理
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- 企業名
- 株式会社メニコン
- カテゴリ
- 倉庫管理(WMS)
- 企業規模
- 1,728名
- 業種
- 製造業
- 売上高
- 連結116,192百万円(2024年3月期) 事業内容 コンタクトレンズ・ケア用品事業 他
お客様の概要
株式会社メニコン様は、日本で初めて角膜コンタクトレンズを実用化した「コンタクトレンズのパイオニア企業」です。1951年の創業以来、業界をリードし続けており、2001年には業界内世界初の定額制会員システム「メルスプラン」をスタート、現在会員数は130万人を超えています。
また同社は、コンタクトレンズのラインアップの豊富さでも群を抜いています。1DAYコンタクトレンズや1か月交換用、カラーコンタクト、就寝中に近視矯正が可能な「オルソケラトロジー」専用レンズまで、SKUレベルで約180万ものアイテムを取り揃えています。今後も独自の技術力を基盤として新たなコンタクトレンズを探求し続けていく方針であるため、ラインアップはさらに増えていくでしょう。
これは、誰もやっていないことに果敢に挑戦するという経営理念に基づいています。よってこれからも創造型スペシャリスト企業として、安心・安全なものづくりを進めながら企業価値の向上に全力で取り組もうとされているのです。
このような中、基幹システムのリプレース検討をきっかけに物流のシステム基盤を確立させ、業務の平準化や自動化、商物分離によるTCO削減などを目的として弊社WMS(倉庫管理システム)「SLIMS」を導入いただきました。

業務課題とシステム検討までの経緯
2018年頃、基幹システムの保守期限が2年後に迫っているため、メニコン様はシステムリプレースを検討し始めました。
その中で「商物分離」という方針が決められます。それまでは大規模な基幹システム内に物流機能を持たせていましたが、これを機に物流システムを独立させることになったのです。
抱えていた課題
商物分離が決められた背景には、物流とシステムの2つ面で課題がありました。
物流部では、事業の発展に伴い出荷量や取り扱うアイテム数が増大していましたが、従来のシステムでは処理速度やシステムの稼働時間の制約などに問題があり、物流現場の作業に負担が生じていました。さらにラベル発行や照合用など多数のサブシステムが存在し、マスタの管理が煩雑でした。
システム面で課題となっていたのは、改修の費用とスピード、そして保守体制です。 基幹システム内の物流機能の改修には多くの費用と時間を必要とします。またトラブルが発生すると、休日を含めシステム管理を担当するデジタル推進部の負担の増加が課題でした。

- ・処理速度の一時的な低下で物流業務に支障
- ・システム稼働時間の制限により土日や夜間の物流業務に制約が発生
- ・多数のサブシステムが存在し管理が煩雑
- ・改修に多くの費用と時間がかかり迅速な対応が困難
- ・システムトラブルの発生でデジタル推進部の負担が増加
新システムへの期待
これらの課題を解決したいと、新システムには様々な期待が寄せられました。
まずはコンタクトレンズの多様な商品規格が管理できることです。現在でも180万程のSKUが存在し今後はさらに増加することが予想されるため、柔軟な対応が求められます。 また独立したシステムにすることで稼働時間によって業務の制約を受けないことや処理速度の向上を実現し、現場の負担を軽減することが求められました。
最後に、パッケージ型WMSをクラウドで活用することでTCO削減(改修費用の抑制、対応スピード向上、管理業務の負荷軽減など)も重要視されました。
新システムの選定と導入までの過程
メニコン様は基幹システムの刷新に伴って物流システムの独立を決定し、新システムの選定に着手しました。主な選定ポイントは以下3点です。
- ・コンタクトレンズの取り扱い実績
- ・約180万に及ぶSKUの細やかな管理能力
- ・クラウドで提供されるパッケージ型システム
5社のベンダーと面談し慎重に検討を重ねた結果、弊社のWMS「SLIMS」が採択されました。
採択された大きな要因として、メニコン様へ物流関連のシステムを提供していた実績や、その際に培った信頼性が挙げられます。同社の商品や業務について深く理解していることから、現場に寄り添ったシステム構築が可能だと期待を寄せていただきました。加えてコスト面での優位性があったことも、採択の後押しとなりました。
システムの商物分離による効果
SLIMSを導入し大規模基幹システムから物流システムを切り出して商物分離を実現したことによって、メニコン様の物流・システム管理業務はどのよう変わったのでしょうか。特徴的なものを4つ紹介します。
1.新規格を含めた約180万のSKU管理に対応
現在メニコン様では、SLIMSを用いて約180万に及ぶSKUが管理されています。
この規模は、業界でもトップです。同社の商品は年々増え続けており、当時の基幹システムでは特殊レンズの対応などが困難でした。また、基幹システムでは物流機能以外の処理も行うため、これだけのSKUの在庫引き当てや作業リスト作成などの処理は負荷が大きく、他の業務に影響が出ていました。
しかしSLIMSを導入したことで、新規格を含めた全てのSKUを管理できるようになり、処理速度の問題も解消され、現場の負担も軽減されています。

2.稼働時間の制約が無くなり、24時間365日の業務が可能に
メニコン様では、定額制「メルスプラン」の会員数増大など事業の拡大に伴って取り扱い物量が増加していました。しかし以前の基幹システムでは処理の影響を受け、物流機能の稼働時間は限られており、物流センターの稼働時間を拡大したり、急ぎの出荷依頼に対し作業時間を延長することができませんでした。
SLIMSの場合、稼働時間に制約はありません。急ぎの出荷依頼や翌日に大規模な出荷依頼があれば、前日の夕方から作業できるようになり、出荷当日の負担が軽減されました。
今後も物量は増え続けると予想されるため、今回のSLIMS導入による時間的な制約の解消は新たな物流体制の実現へ向けて1歩前進したことになります。
3.デジタル推進部の休日対応がゼロに
クラウド型WMSの利用と弊社ヘルプデスクをはじめとする新たなサポート体制により、デジタル推進部の業務負担が劇的に軽減されました。以前は概ね月に1度の割合で休日にトラブルの緊急連絡がありましたが、現在ではほとんど無くなりました。
要因の1つに、クラウドによるシステムの安定稼働が挙げられます。SLIMS稼働後は重大な問題はほとんど発生していません。デジタル推進部からは「メンテナンスやトラブルによるダウンタイムが無く、非常に助かっている」と評価されています。
また、保守作業やサポートが弊社に移管されたことも業務負担の軽減につながっています。現在、問い合わせやトラブルは弊社のヘルプデスクが24時間365日対応している他、お客様別のマニュアルも用意され個別の対応もされています。これにより休日はもちろん、「会議中ですぐには対応できない」「トラブル対応が属人化していた」などの問題も解消されました。
4.物流DXで業務革新
メニコン様では、今回のリプレースを機に物流DXが促進されました。
SLIMSが最新のシステム・自動化機器にも対応でき、連携も容易になったことによる変化です。
■作業進捗を可視化し「見えるロジ」を実現
メニコン様では弊社の可視化ソリューション「LOGISTICS・COCKPIT」を活用し、物流現場の可視化を実現しました。WMSでも作業進捗は可視化できますが、LOGISTICS・COCKPITは状況をグラフィカルに可視化してくれます。「今、進捗はどうなっているか」「時間内に作業しきれるか」などが一目で把握できるようになり、作業者の意識向上や管理者の迅速な判断に貢献しています。見学者にとっても状況を掴みやすいと好評です。
■自動化・省人化の推進
メニコン様は、物流現場の自動化・省人化を積極的に推進しています。全体的な取り組みへの第一歩として、自動梱包機やデジタルアソートシステム(DAS)を導入しました。これまでの手作業による顧客ごとの仕分けが、「まとめ棚」という形で効率化されています。
また一括照合システムの導入により、大量入出荷の照合作業を大幅に効率化できました。
同社ではトレーサビリティ強化のため、入出荷時にロット番号を収集しています。代理店などへ大量納品することもあるため、実績収集には手間と時間がかっていました。現在は最新のシステム・機器によって100個入りのカートンを数秒で処理できるため、工数の削減だけでなく納品リードタイムの短縮にもつながっています。以前は情報を取得してから作業に3~4日かかっていましたが、現在では翌日出荷も可能になりました。
■輸出入伝票の管理をシステム化
SLIMSの導入により、シッピングインボイスやパッキングリストといった重要書類をSLIMSで発行できるようになりました。これらの書類は出荷直前に記載内容を変更することが多く、従来は基幹システムから出力した後にエクセルで修正していました。現在は、伝票発行はもちろん内容変更もSLIMSで行えるため、エクセルの煩雑な作業から解放されています。
このように同社では、基幹システムから物流機能を分離したことで様々な効果を得ました。加えて、システムの改修費用の低減とスピードアップも図れています。TCO削減はもちろん、輸出入関連の法規法令が変わった場合などの変化にも追従しやすくなりました。

- ・処理速度が向上し、物流現場での作業がスムーズに
- ・システム稼働の制約が無くなり、業務の平準化を実現
- ・サブシステムの一部は新物流システムに統合され、システム構成がシンプルに
- ・基幹システムから物流機能を分離したことで、システム改修の費用と時間を抑制
- ・クラウド型システムを採用し、デジタル推進部の管理負荷を軽減
- ・最新の一括照合すシステムにより納品リードタイムを短縮
- ・輸出入伝票の煩雑な作業を効率化
今後の展望
メニコン様は物流DXの推進や業務効率化を見据え、新たな展望を掲げられています。
物流部は省人化がさらに重視される時代に向けて「今後は物量の増加に『人を増やして対応』する時代ではない。作業の8割以上は人を介さずシステムや機械で対応することを目指さなければいけないと考えている。」と語っています。一括照合システムなどの導入を皮切りに今後も自動化を進め、システムを追従させる形で現場の省人化を推進していく予定です。
また海外事業の拡大状況によっては、小ロット化のような簡易な製造工程を物流センターが担う可能性があります。現在でもラベル発行など一部の作業を行っており、作業範囲が広がっています。こうした物流センターにおける役割の拡大・複雑化の対応に物流DXは欠かせません。
メニコン様は今後も弊社との連携を深め、自動化機器やシステム・データの有効活用を軸とした、効率的で柔軟な物流体制の構築を目指しています。変化する市場環境と顧客ニーズに対応するため、革新的な視点を積極的に取り入れ、物流サービスにおいても業界をリードする企業を目指し挑戦を続けられています。
お客様の声
WMS導入により、各情報(在庫、進捗、出荷作業 等)をデータ化することで現場の見える化が進み管理業務においても業務量の軽減となりました。 今後、省人化、自動化を進めていくなかでWMSは必ず必要になります。様々な設備やシステムへの連動が想定されますが、物流環境の変化にあわせWMSも進化させ提案、提供頂けることを期待いたします。
物流部 物流管理ユニット 企画チーム (チームリーダー)
神谷 健司氏
SLIMS・LMSの導入により、導入前と比較してシステムの安定稼働が実現されました。これにより、システム部門の業務負担が軽減され、日々の業務がスムーズに進行しています。また、市場の変化に対応するために、新しい技術の提案や弊社からの要望への迅速な対応を期待しています。これにより、さらなる業務の最適化と顧客満足度の向上が図れると考えています。
デジタル推進部 ERPチーム (チームリーダー)
西村 正夫氏