2020.5.7
  • 物流改善

WMSより広範囲に対応できる統合物流管理システムとは

コンサルタントが解説! WMSの選び方

WMSは、SCEに相当する実行系システムと言えます。その周りにはSCPである、需要予測や生産計画などの計画系のシステムが存在し、上位にはERPに代表される統合基幹システムがあります。これらのシステムと連携することで、WMSは初めて機能します。

 

統合物流管理システム(LMS)

さて、物流センターの運用を改善するにはWMSをうまく活用すればいいのですが、物流センターだけでなくより広範囲で物流を変革するには、WMSだけでなくそれに見合ったシステムを活用することが大切です。

例えば最近、大手を中心にWMSを導入する理由が変わってきました。多くの企業が物流業務を全てアウトソーシングする、いわゆる丸投げではなく、システムを自社で準備し委託先に利用させ、情報管理と全体のマネジメントを自社で行うようになりました。それは、全てを物流事業者に委託していては自社に管理ノウハウが残らないうえ、いざ物流改善をしようとしても分析するデータさえ得ることもできず、次に打つ手がない状態に陥るためです。
これを実現すようとする企業はWMSに加えて物流を統合的に管理するシステムを合わせて導入されています。WMSより上のレベルから物流を可視化することで、物流全体のマネジメントが可能になるからです。
この物流の統合管理システムにはさまざまな機能が求められますが、ここでは、大きく4つに分類します。

1 物流プランニング

物流は物量の変動や在庫の有無によって日々状況が異なります。これらを考慮して最適な計画が立てられればいいのですが、手間と労力がかかるため固定化されていたり、委託先の物流会社に任せきりのことが往々にあります。これらの計画業務を標準化したうえでシステム化することで、物流の最適化が図れます。

     
  • ・出荷計画

    納品先方面や在庫の有無を考慮した最適な『出荷拠点』の決定し、指定された納品日とリードタイムから『出荷日』を決定します。
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  • ・輸配送計画

    物量に応じた『輸送方法(貸切、路線など)』、納品先方面に応じた『運送会社』、商品特性に応じた『車種』運行順を自動で決定します。
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  • ・在庫計画

    在庫情報と出荷情報をもとに、エリア毎の倉庫に対して工場倉庫や近隣の倉庫からの『最適な補充計画』を立案します。

2 物流実績管理

     
  • ・物流進捗管理

    WMSやTMS(輸配送管理システム)と連携して出荷から配達までの『進捗をモニタリング』します。進捗の遅れを通知する設定をすることで、作業遅延の早期把握・早期対応が可能となる他、お客様から問い合わせに迅速に回答できます。
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  • ・在庫統合管理

    委託先の倉庫管理システムで在庫管理されいたり、自社内でもシステムが異なるが故、在庫情報が点在し一括して把握できないことがよくあります。また海外から送られてくる途中の在庫もリアルタイムに把握することで、在庫の精度は上がり無駄を無くせます。

3 物流費管理

物流費を抑えることは物流改善の大きな目的です。物流コストの評価や物流会社の評価、・改善をするには、物流費(輸送料や倉庫料)の可視化が不可欠です。物流事業者から請求される倉庫料や運賃の妥当性をチェックするには『自動計算』が有効でしょう。

4 物流KPI管理

KPIの必要性は3つあります。1つ目は問題を可視化することです。問題が目に見えることで、改善への意識が高まります。2つ目はコミュニケーションの向上です。KPIという共通の指標を持つことで、委託先の倉庫会社、運送会社とスムーズな対話ができるようになります。3つ目は評価のための指標を持つことです。まずは明確にどうしたいかゴール=数値目標を決め、それを達成するためにどのような活動をするかが重要です。  KPIは「目標を達成するため」と、「注意喚起するため」の2種類の使い方があります。

目標を達成するための活用方法には、商品別、得意先別、営業エリア別など様々な軸でみる「物流コストの指標化」や、物流現場の作業員の1時間当たりの作業量を表す「人時生産性」があります。注意喚起するための活用方法には、誤出荷率や誤配率、事故率、欠品率などの「サービスレベルの指標化」があります。  このように物流KPIを活用することで、改善すべきポイントが把握でき、さらに改善活動の実績が評価できるようになります。


KPIに関する詳しい解説はこちら

5 輸出入業務管理

輸出入を自社で運用している企業にとってはスケジュール管理や輸出入の様々な手続きを管理できることが必要です。在庫については保税倉庫や輸送中の数の把握も必要になる他、グローバル規模で分散する情報を一元管理することがなおさら重要になります。

6 ロジスティクスPSI管理

製造業では永遠のテーマである在庫の最適化と、不足する物流リソース(ドライバーや作業員)の問題に対応するためには、生産(Production)販売(Sales)、在庫(Inventory)にロジスティクスの視点を加えて最適化することがポイントです。当社ではこれをロジスティクスPSI管理という名付けでご提案しています。詳しくはロジスティクスPSI管理 の詳細をご覧ください。

 

まとめ

このように物流統合管理システムを、基幹システムと実行系システムの中核とすることで情報のハブとしての役割を持たせ、集めた情報の活用により物流全体の運営を最適化できるようになります。WMS単体で導入するのか、物流統合管理システムをなどを合わせて導入するかなど、対象とする改善の範囲に合わせたシステム化計画をされることをお勧めします。

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