2025.6.4

WMSとRFIDの連携による効率化の最前線

基礎から解説~倉庫の管理方法とシステム~

 

こんにちは。WMS:倉庫管理システム「SLIMS(スリムス)」を提供するセイノー情報サービスです。
物流業界では効率化やコスト削減を目指して常に新しい技術を模索しています。その中で、WMSとRFIDとの連携による効率化が注目されています。この記事では、WMSとRFIDの概要、WMSとRFIDの連携によるメリット、活用事例、注意点について解説します。WMSとRFIDの導入を検討している方は、参考にしてください。

 

目次

現在の業務
  1. 1. WMSとRFIDの概要

  2. 2. WMSとRFIDの連携によるメリット

  3. 3. WMSとRFIDを活用した成功事例

  4. 4. WMSとRFIDの連携における注意点

  5. 5. まとめ


 

WMSとRFIDの概要

WMSとRFIDについて、基本的な機能や特長を解説します。

1.WMSの機能概要と役割

WMSは倉庫内作業の精度向上、効率化を支援するシステムです。 倉庫内の入荷管理・出荷管理・在庫管理・進捗管理という4つの機能でヒトの作業を支援します。
具体的には以下の役割があります。

入荷管理:倉庫に入ってきた商品を検品し、所定の保管場所へ保管。賞味期限やロット情報を収集することで、多様な出荷ニーズに対応できます。
出荷管理:出荷指示に従って、所定の場所から商品を取り出し、梱包・出荷します。運用ルールに基づき、誰でもミスなく効率的に作業ができます。
在庫管理:保管場所や数量や期限・ロットなどの情報を一元管理します。リアルタイムで情報管理できることで、倉庫業務の精度が向上します。
進捗管理:フロア別や得意先など様々な切り口で作業進捗をリアルタイムに可視化し、作業遅延などの問題を早期発見・対応ができます。

関連コラム:WMS(倉庫管理システム)とは


2.RFIDの仕組みと特長

RFIDは「Radio Frequency Identification」の略で、無線通信を利用してモノの識別や情報の管理を行う自動認識技術です。RFタグ(無線通信を利用して情報を保存・送信するデバイス)、RFIDリーダライタ(RFタグからデータを読み取ったり、データを書き込んだりする装置)で構成されており、主に3つの特長があります。

  • ・非接触でのデータ読み取りが可能なため、視覚的に遮断された状態でもデータの読み取りができる
  • ・複数のタグを一括で読み取りできるため、効率的に作業を進められる
  • ・データの書き換えが可能なため、タグの情報を簡単に再利用できる
これらの特長により、RFIDは多くの業務で効率化を図るために利用されています。


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WMSとRFIDの連携によるメリット

WMSとRFIDを連携させることで、倉庫業務の効率化が期待できます。
2つの連携による主なメリットを解説します。

1.作業の効率化

RFIDはバーコードのように一つずつスキャンする必要がなく、一度にまとめて読み取ることができます。また、RFIDを使った予定情報とのチェックにより、入出庫時の検品作業のミスが減り、作業時間が大幅に短縮されます。これにより、作業者はより重要な仕事に集中できます。


2.在庫管理の精度向上

RFタグを使用することで、保管場所?や数量がリアルタイムで更新されるため、常に最新の在庫情報を把握できます。そのため、在庫管理の精度が向上し、在庫補充なども効率よく行えます。


3.生産性の向上

RFタグを使用することで、非接触で一括読み取りが可能になります。これにより、入出庫作業や棚卸しが迅速に行えるため、作業時間が大幅に短縮されます。また、入出荷の検品時にゲートタイプのRFリーダーを利用することで、検品作業を自動化できるため、手動で行う必要がなくなり生産性が向上します。



 

WMSとRFIDを活用した事例

業界別に活用事例を紹介します。

1.アパレルの活用事例

大手アパレルメーカーでは、商品にRFタグを貼付することで、製造から販売までのプロセスを効率化しています。特にセルフレジの導入で、顧客は商品を一括で読み取ることができ、レジ待ち時間が短縮されました。物流シーンでの入荷~保管(棚卸)~出荷、店舗側での検品・棚卸業務が省力化でき、全体の生産性が向上しています。


2.医薬品業界の活用事例

大手医薬品メーカーでは、RFIDを活用して医薬品のサプライチェーン全体を効率化しています。医薬品のカプセルやボトルにRFタグを埋め込み、物流センターから医薬卸の納品出荷の過程で一括読み取りを行うことで、入出荷作業を大幅に効率化しています。また、調剤薬局や病院では、RFIDを使って在庫管理を正確に行い、商品間違いの防止や期限管理による適切なタイミングでの処分が可能となっています。


3.ベアリングメーカーの活用事例

大手ベアリングメーカーでは、RFIDとWMSを連携させることで、効率的な資産管理と物流の最適化を実現しています。工場、倉庫間での出荷時や入荷時に鉄かごやパレットを利用しており、それに取り付けしたRFタグを読み取ることで、正確な個数・所在が管理できるようになりました。その結果、保管機器の不足による生産計画変更や出荷遅延がなくなりました。さらに、所在不明に起因する保管機器探しや追加購入費用も削減されました。



 

WMSとRFIDの連携における注意点

WMSとRFIDを導入する際には注意が必要です。以下に、注意すべき点を解説します。

初期投資のコスト

WMSとRFIDの導入には初期投資が必要ですが、長期的には作業時間の大幅な短縮、在庫精度の向上、在庫コストの削減などが期待できます。

主な初期投資には次のような費用があります。

  • ・RFタグとRFIDリーダライタの購入費用(情報を読み取るための機器の購入費用)
  • ・システム統合費用(RFタグとWMSを統合するためのシステム設計、開発、テストにかかる費用)
  • ・インフラ整備費用(RFIDリーダライタの設置やネットワーク環境の整備にかかる費用)
  • ・トレーニング費用(作業員が新しいシステムを使いこなすための教育やトレーニングにかかる費用)


システムの互換性

WMSとRFIDシステムの連携をスムーズにするためには、以下の点に注意しましょう。

  • ・標準化された通信プロトコルの採用
  • ・データフォーマットの統一
  • ・RFIDリーダライタやRFタグとWMSの互換性確認
  • ・データの暗号化とアクセス制御


データの正確性と一貫性

RFタグの読み取り精度やデータの一貫性が確保されていないと、在庫管理に誤差が生じる可能性があります。 そのため、定期的なメンテナンスとキャリブレーション(較正:誤差の修正)を行い、RFIDリーダライタの読み取り精度を保ちます。また、データの一貫性を保つために、WMSとRFIDシステム間のデータ同期を定期的に実施しましょう。


環境要因の影響

RFタグの読み取りは、金属や液体などの環境要因によって影響を受けることがあります。 RFタグの貼付場所や使用するタグの種類を慎重に選定し、環境要因の影響を最小限に抑える工夫をします。また必要に応じて、アンテナの配置やシールドの設置を検討しましょう。


電波法承認の必要性

国内でRFIDシステムを導入する際には、電波法に基づく総務省の承認が必要です。
承認に必要な手続きは次の2つがあります。

  • ・技術基準適合証明
    無線機器が電波法に定められた技術基準に適合していることを証明し、技適マーク(技術基準適合マーク)が付与された機器のみが使用可能です。
  • ・電波利用申請(無線局開設の申請)
    一般的なUHF帯のパッシブRFID(920MHz帯など)で、技適マーク付きの市販機器の使用では個別の免許申請は不要です。特定の周波数帯(高出力の機器など)を使用する場合には、電波利用に関する無線局の開設申請(免許または登録)が必要になります。



 

まとめ

WMSとRFIDの連携は、業務の精度向上と効率化の新たな可能性を示しています。
現在、倉庫業務にはハンディターミナルとバーコードが広く導入されていますが、特定の業種ではRFIDの利用が適していることも実証されています。
セイノー情報サービスでは、物流現場の様々なフェーズに最適なソリューションと、経験と知識が豊富なスペシャリストが、お客様の物流現場における課題を解決します。RFIDとWMSを活用した業務改革をご検討の際は、ぜひ以下からお問い合わせください。


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このコラムの監修者
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当コラムは、経験豊富なコンサルタントやロジスティクス経営士物流技術管理士などの資格を持った社員が監修しています。
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