2026.4.13

ピッキングとは?作業効率化のコツやピッキングの方式を解説

いまさら聞けない物流用語

 

ピッキングとは、オーダーや出庫指示に基づき、倉庫内の保管場所から必要な商品を取り出す作業を指します。
物流業務の中でも作業負荷が高く、効率や精度が出荷品質に直結する重要な工程です。特に近年は、多品種少量化や出荷件数の増加により、ピッキングの負荷はさらに高まっています。そのため、ピッキングの改善は、物流現場において最も投資対効果が出やすい領域の一つとされています。
この記事では、ピッキングの基本的な考え方から現場で起こりやすい課題、その解決方法、代表的なピッキング方式の特徴や向いている業務を体系的に解説します。現場改善や作業効率向上のヒントとしてご活用ください。

 

目次

ピッキング
  1. 1. ピッキングとは

  2. 2. ピッキングの課題

  3. 3. ピッキングの課題を解決し、効率化する方法

  4. 4. ピッキングの方式

  5. 5. ピッキング方式別のメリット・デメリット

  6. 6. 各ピッキング方式に向いている業務

  7. 7. ピッキングの活用事例

  8. 8. まとめ


 

ピッキングとは

ピッキングの概要、仕分けや梱包との違いを解説します。

ピッキングの概要

ピッキングとは、倉庫内の保管場所から必要な商品を取り出す作業を指します。バーコードスキャナーやハンディターミナルなどのデバイスを活用すると、作業精度と効率が向上します。

ピッキングと仕分けの違い

ピッキングは商品を取り出す工程であり、仕分けは取り出した商品をオーダーや出荷先ごとに分類する工程です。両者は連続して行われますが、役割は明確に異なります。

ピッキングと梱包の違い

梱包は、商品を段ボールや緩衝材で保護し出荷可能な状態にする工程です。ピッキング後に行われ、出荷業務の最終工程の一つとなります。


 

ピッキングの課題

物流現場において、ピッキングは人手と時間を多く要する工程です。ここでは、主な課題を解説します。

移動時間の増大

ピッキングでは複数の保管場所を巡回する必要があるため、移動時間が大きな負担となります。倉庫が広い場合や商品の配置が分散している場合は、1件のオーダー処理に時間がかかり、作業効率の低下につながります。

作業ミスのリスク

商品や数量の取り違えなどのヒューマンエラーが発生しやすい工程です。特に複数のオーダーを同時に処理する場合、誤投入や類似商品の取り違えが起こりやすくなります。

人手依存の高さ

ピッキングは人が移動しながら行う作業であるため、人手への依存度が高い工程です。オーダー数や取扱商品が増加すると必要な作業員も増えますが、人材確保が難しくなっている現場では大きな課題となります。


 

ピッキングの課題を解決し、効率化する方法

ピッキングの効率は、物流コストや出荷品質に直結します。ここでは、主な改善策を紹介します。

倉庫内レイアウトの最適化

倉庫内の動線を見直し、移動距離を短縮することで作業効率を向上できます。通路を確保し、無駄な動きを減らすことがポイントです。また、出荷頻度の高い商品(いわゆるAランク商品)を手前や取り出しやすい位置に配置し、ロケーション表示を明確にすることで、探索時間の短縮にもつながります。

改善の際には、ECRSの視点で業務を見直すことが有効です。
ECRSとは、「Eliminate(排除)」「Combine(結合)」「Rearrange(再配置)」「Simplify(簡素化)」の頭文字を取った改善手法です。

  • E:なくせないか
  • C:まとめられないか
  • R:配置や順序を変えられないか
  • S:単純化できないか

作業の標準化

作業手順書を整備し、業務を標準化することで作業のばらつきを防止できます。視線の流れに沿ったレイアウトや、写真・図の活用により、誰でも理解しやすい内容にすることが重要です。

作業ルールの明確化

台車や資材の配置ルール、作業手順の統一などを徹底することで、現場の混乱や属人化を防ぐことができます。ルールは現場全体で共有し、継続的に運用することが重要です。

物流ロボットの活用

物流ロボットを導入することで、省人化と効率化を同時に実現できます。 たとえば、棚搬送型ロボット(GTP)の活用により、商品棚を作業者のもとへ搬送できるため、歩行距離を大幅に削減できます。また、AMR(自律走行搬送ロボット)を活用すれば、ピッキング後の搬送工程を自動化でき、作業者は「探す」「取る」といった作業に集中できます。


 

ピッキングの方式

ピッキング方式は、物流センターの規模や取り扱う商品、出荷量によって異なります。代表的な3つの方式を紹介します。

ピッキングの種類

オーダーピッキング

オーダー単位ごとに商品を取り出す方式です。
代表的な方法として、ピッキングリスト(伝票)を確認しながら商品を集める「伝票ピッキング」があります。また、各保管場所(ロケーション)から必要な商品を一つずつ取り出していく方法であることから、「摘み取り方式」とも呼ばれます。

トータルピッキング(種まき方式)

複数のオーダーの商品をまとめてピッキングし、後工程でオーダーごとに仕分けを行う方式です。一度に同一商品をまとめて取り出し、ピッキングと仕分けを分けて行う点が特徴です。

マルチピッキング

複数のオーダーを同時に処理する方式です。作業者はカートやオリコンを用いて倉庫内を巡回し、1回の巡回で複数オーダー分の商品を同時に取り分けながらピッキングを行います。ピッキングと仕分けを同時に行う点が特徴です。


摘み取り方式と種まき方式

 

ピッキング方式別のメリット・デメリット

各方式にはメリット・デメリットがあり、作業効率や出荷精度、必要な人員に違いが生じます。

オーダーピッキング

  • メリット
  • ・オーダー単位で作業するため正確性が高く、仕分け工程を省略できる
  • デメリット
  • ・移動回数が多く、出荷量が増えると効率が低下しやすい

トータルピッキング(種まき)

  • メリット
  • ・複数オーダー分の商品をまとめてピッキングできるため、同一商品の取り出し回数を削減できる
  • デメリット
  • ・誤投入が発生すると、原因特定に時間を要し、複数のオーダーに影響が及ぶ

マルチピッキング

  • メリット
  • ・複数オーダーを同時に処理でき、総移動距離を削減しやすい
  • デメリット
  • ・誤投入や仕分けミスが発生しやすく、運用管理が重要

 

各ピッキング方式に向いている業務

方式ごとに適した業務条件があります。

オーダーピッキング

  • ・商品点数やオーダー数が比較的少ない業務に適している
  • ・小規模なEC倉庫や多品種少量出荷の現場に向いている

トータルピッキング(種まき方式)

  • ・同一商品の出荷頻度が高く、複数オーダーをまとめて処理できる業務に適している
  • ・品種が比較的少なく、1品あたりの出荷数量が多い業務に適している

マルチピッキング

  • ・短時間に多くのオーダーを同時処理する必要がある業務に適している
  • ・倉庫スペースに余裕があり、カート運用が可能な現場に向いている

 

ピッキングの活用事例

実際の現場で、ピッキング方式を導入・改善した事例を紹介します。

トータルピッキングの活用事例

  • 課題:従来のオーダーピッキングでは作業人数が増加し、後工程での検品待ちが発生しやすい状況でした。
  • 改善:トータルピッキングに変更し、複数オーダーの商品をまとめてピッキングし、仮置き場でオーダーごとに商品を仕分ける運用に移行しました。
  • 効果:移動回数と作業人数を削減でき、検品待ちの滞留も改善。出荷全体の作業効率が向上しました。

マルチピッキングの活用事例

  • 課題:オーダーピッキングではオーダー増加時に処理が追いつかず、出荷遅延が発生し、顧客満足度の低下につながっていました。
  • 改善:ペーパーレスマルチピッキングカートを導入し、複数オーダーを一度で処理できる体制へと変更しました。
  • 効果:1回の巡回で複数オーダーを効率的に処理できるようになり、作業時間の短縮とミス削減を実現しました。その結果、出荷品質と顧客満足度の向上につながりました。

 

まとめ

ピッキングは、倉庫内で正確かつ効率的に商品を取り出す重要な作業です。
移動時間の長さや作業ミス、人手依存といった課題があり、これらは作業効率や出荷品質に直結します。改善策として、倉庫レイアウトの最適化、作業手順書やルールの整備、物流ロボットの活用などが有効です。また、オーダーピッキング、トータルピッキング、マルチピッキングの各方式には特徴や適用条件の違いがあり、現場条件に合わせて選択することが重要です。現場に適した方式と効率化策を組み合わせることで、作業時間の短縮とミス削減を両立し、安定した物流運営につなげることができます。

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このコラムの監修者
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セイノー情報サービスは400社以上へのWMS導入を通して培った物流ノウハウをもとに、お客様の戦略立案や物流改善をご支援しています。
当コラムは、経験豊富なコンサルタントやロジスティクス経営士物流技術管理士などの資格を持った社員が監修しています。
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