2025.6.2
  • 小売業・飲食店

長年の現場ノウハウを活かして EC物流の最前線へ

導入ソリューション

  • 倉庫管理
企業名
タワーレコード株式会社/Tower Records Japan Inc.
業種
小売業・飲食店
資本金     1億円
店舗数     71店舗(タワーレコード 59店舗、タワーレコードミニ 5店舗、TOWER VINYL 1店舗、
        TOWER RECORDS CAFE 6店舗)、オンライン店舗 3店舗(タワーレコード オンライン、
        タワーレコードdショッピング店、タワーレコード Yahoo!店)※2025年5月1日現在
事業内容    流通小売関連事業、音楽制作/楽曲管理、運営関連事業、飲食事業など

お客様の概要

タワーレコード株式会社は、日本国内における音楽・映像ソフトの販売を中心とした、「NO MUSIC, NO LIFE.」のコーポレート・ボイスのもと日本の音楽文化の発展を支え続けてきました。アメリカ・カリフォルニア州で創業し、1979年に日本へ進出。全国各地に店舗を展開し、特に旗艦店である「タワーレコード渋谷店」は世界最大級のCDショップとして音楽ファンに親しまれています。また、新人アーティストの発掘やインディーズ作品の取り扱いにも力を入れており、ライブイベントの企画も行っています。
近年はオンラインショップやマーケットプレイスの運営を強化するなど、デジタル分野への進出も積極的に進めています。特にオンラインショップ「タワーレコード オンライン」では店舗と同じラインナップだけでなく、オンラインショップ限定特典付き商品の販売など、店舗では手に入らないアイテムを求めるファンにも人気があります。購入者向けのポイントプログラムや、事前予約・取り寄せサービスなども充実しており、店舗と連携しながらユーザーの利便性を高めるサービスを展開しています。


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WMSリプレイスのきっかけ

このオンラインショップの倉庫では、CDやブルーレイ・DVD、雑誌や本、アニメグッズ、レコードなど音楽商材を中心に約37万アイテムの幅広い商品を扱われており、これら商品の管理には倉庫管理システム(WMS)を長年利用されていました。このWMSはオンプレミス型で、自社サーバーの維持管理にかかる負担やコスト、リスクが課題となっていました。また、BtoCの膨大な出荷量にも対応しきれず、レスポンスの遅さが作業効率を下げていました。このような背景から、WMSリプレイスを検討されました。
加えて、タワーレコードにはこれまでEC物流の現場で積み上げてきた豊富な運用ノウハウがあり、新たなシステム導入にあたってもこうした現場力を損なうことなく、むしろシステム化によって強化することを目指しました。



課題
  • ・サーバーの自社管理をやめたい
  • ・BtoCの膨大な出荷量に耐えられず、レスポンスが悪化
  • ・店舗在庫とオンラインショップの在庫を統合管理したい
  • ・誤ピッキングをゼロにしたい
  • ・出荷前準備の時間を短くし、複雑な作業と属人化をなくしたい
  • ・人時生産性が測れる仕組みが欲しい

成果
  • ・オンプレミスからクラウドへの移行で、サーバーの自社管理を撤廃
  • ・BtoCの膨大な出荷量にも耐えられるWMS
  • ・店舗とオンラインショップで在庫の融通が可能に
  • ・誤ピッキングをゼロで生産性向上
  • ・Accessでの出荷前準備を廃止し、作業を標準化・効率化
  • ・作業進捗の可視化によりマネジメントを強化

抱えていた課題

 

サーバーの自社管理をやめたい

オンプレミス型の既存WMSにはいくつかの課題がありました。まず、サーバーの維持管理に時間と労力がかかり、システムトラブル時の対応にも多くのリソースを割かれていました。さらに、東京都では計画停電が実施される年もあり、その影響で自社サーバーが停止すると出荷作業も止まらざるを得ず、作業計画に大きな支障が出ていました。加えて、既存WMSではBtoC向けの膨大な出荷量に対応しきれず、レスポンスの遅さが作業効率を著しく下げる原因にもなっていました。

 

店舗在庫とオンラインショップの在庫を統合管理したい

店舗在庫とオンラインショップの在庫は、別々のシステムで管理されており、在庫情報の連携も行われていなかったため、相互の在庫状況をリアルタイムで確認することができませんでした。その結果、店舗に在庫がない場合でもオンライン倉庫から商品を取り寄せることができず、在庫を融通し合う対応も不可能でした。販売機会の損失を防ぐためにも、在庫の一元管理は急務の課題でした。

 

誤ピッキングをゼロにしたい

従来のピッキングはピッキングリストを使用してロケーションと商品を目視で確認していたため、誤ピッキングが多数発生していました。特にデータソートシステム(GAS)を用いた集約ピッキングにおいては、30件分の注文を一括でトータルピッキングしていたものの、集約後の検品で誤った商品であることが判明し、誤ピッキングの原因となったロケーションの特定や商品の取り換えに多く時間がかかっていました。

 

出荷前準備の時間を短くし、複雑な作業と属人化をなくしたい

タワーレコードでは、CDやDVDの発売日に特定アーティストの出荷が集中することがよくあります。さらに、ひとつの商品でも「限定版A」「限定版B」「限定版C」など複数のバリエーションがあり、購入される組み合わせも多岐にわたります。そのため、注文傾向の似たお客様をいくつかのパターンに分類し、効率的に出荷作業を行っていました。この作業にはAccessを使用してトータルピッキング用のリストを作成していましたが、工程が非常に複雑で、経験豊富な担当者でなければ対応できず、それでも多くの時間がかかっていました。そのため、誰でも簡単に、そしてスピーディーに作業できる仕組みへの改善が求められていました。

 

人時生産性が測れる仕組みが欲しい

倉庫では、社員約20名、パートスタッフ約50名、さらに繁忙期に増員するための登録型スタッフも多数在籍し、繁忙期には150人程のスタッフが勤務しており、常に同じメンバーでの運用ではないため、適切な必要人数を把握することが難しい状況でした。そこで、人時生産性を測る仕組みを導入し、作業効率アップを目指しました。



WMS選定のポイント

これらの課題を解決するため、タワーレコードは弊社のクラウド型WMS「SLIMS」を導入しました。 多くのWMSからSLIMSが選ばれた理由は、クラウドサービスであることに加え、人時生産性を可視化できるFLaborや、現場の業況を一目で把握できるLOGISTICS・COCKPITなど、拡張性の高い多様なサービスを提供している点を高く評価しました。また、営業担当者の真摯な対応も大きなポイントでした。セイノー情報サービスはお客様の業務の流れを熟知し、細かな課題に対して1つ1つ改善提案を提示します。この提案がとても分かりやすく、「常に伝えたい課題を正確にキャッチしてもらえる」と高い評価をされました。



SLIMS導入の効果

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運用の流れ
 

クラウドサービスにより、サーバーの自社管理を撤廃・レスポンスも解消

SLIMSではクラウドとオンプレミスをお客様の環境に合わせて選択できます。タワーレコードではクラウドサービスの利用により、サーバーの自社管理が不要となり、運用負担が大幅に軽減されました。また、SLIMSはBtoCの膨大な出荷量にも耐えられるため、現場の遅延もなくなりました。 さらに、SLIMSで店舗とオンラインショップの在庫を共通管理できるようにしたことで、在庫情報をリアルタイムで把握できるようになりました。その結果、在庫を相互に融通し合える体制が整い、販売機会の損失も防げるようになりました。

 

誤ピッキングがゼロに

出荷作業では従来の目視ピッキングを廃止して、ハンディターミナルを使用した「ロケーションスキャン」と「商品スキャン」の二重チェックを行います。これにより、誤ピッキングによる手戻り作業がなくなり、出荷スピードと精度が大幅に向上しました。

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Accessでの出荷前準備を廃止し、作業を標準化・効率化

出荷前準備については、従来のAccessを使った作業を廃止し、SLIMSに新たに出荷作業編成の機能を追加しました。この機能には、タワーレコードが長年培ってきた現場のノウハウがしっかり反映されています。その結果、作業者はSLIMSにより手間をかけずに出荷準備ができるようになり、誰でも簡単に、高い精度で作業を進められるようになりました。これにより出荷準備にかかる時間も大幅に短縮されています。
さらに、データをSLIMSに取り込むことで出荷作業の進捗状況も見える化され、マネジメント力の強化にもつながっています。

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SLIMSの出荷作業編成の例

お客様の声

タワーレコードでは、今後もEC事業の強化を進める中で、さらなる物流改善や効率化を図る必要があります。

 

フラゲサービスを支える物流の安定運用

その中でも「フラゲサービス」を重視しています。通常、CDやブルーレイ・DVDは水曜日に発売されますが、店舗では前日の火曜日に店頭に並び、発売日前日に購入することができます。しかし、オンラインではこれが難しいのが一般的でした。そこで、最近はオンラインショップでも発売日の前日に商品が受け取れる仕組みを整えており、このサービスの維持には出荷遅延を防ぐため、システムの安定運用が不可欠です。その点で、SLIMSは常に安定したサービスであるため、安心して運用ができています。さらに、24時間体制のヘルプデスクサポートにも非常に支えられています。土日や繁忙期には深夜にも出荷作業を行うのですが、もしトラブルが起きても素早く対応してもらえる体制が整っていることは本当に有難いです。

 

将来を見据えた業務拡大への展望

また、SLIMSの導入によってさまざまな情報が一元管理できるようになりました。この集約したデータを活用して人時生産性を測定し、適切な人員配置を行うFLaborの運用に向けて、セイノー情報サービスさんと一緒に取り組んでいます。加えて、現在は店舗とオンラインショップの出荷にSLIMSを活用していますが、今後は他社販売店向けの卸売事業や中古販売事業にもSLIMSの活用範囲を拡大し、更なる業務改善や効率化を図りたいと考えています。さらに、現在は1拠点で運用していますが、BCPの観点から新拠点の設立も検討しています。このような将来的な事業拡大にも対応できる仕組みを構築できるよう、引き続きセイノー情報サービスさんの支援に大いに期待しています。

ロジスティクス本部 ロジスティクス専任部長
中澤 純一 氏

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