2025.10.3

物流コンテナとは?役割や種類、輸送方法などを解説

いまさら聞けない物流用語

 

こんにちは。物流アウトソーシングサービス「物流業務クラウド」を提供するセイノー情報サービスです。
物流コンテナは、国際輸送において貨物の積載・保護・積み替えを効率化するために欠かせない存在です。 この記事では、コンテナ輸送の基本情報からコンテナの種類、使用される船の種類、メリット・デメリットなどを解説しています。輸出入業務でコンテナを利用する方は、ぜひ参考にしてください

 

目次

  1. 1. コンテナ輸送とは

  2. 2. コンテナの種類

  3. 3. コンテナ輸送に使用される船の種類

  4. 4. コンテナ輸送の方法(コンテナ利用形態)

  5. 5. コンテナ輸送のメリット

  6. 6. コンテナ輸送の注意点

  7. 7. まとめ


 

コンテナ輸送とは

コンテナ輸送は、国際標準化機構(ISO)が定めた規格サイズのコンテナを使って貨物を運ぶ仕組みです。1956年にアメリカで始まり、現在では国際物流の主流となっています。

物流におけるコンテナの役割

物流におけるコンテナの最大の役割は、貨物を「効率的に」「安全に」輸送することです。規格化された寸法と構造により、船・鉄道・トラック間での積み替えがスムーズに行え、輸送効率化を実現します。また、密閉構造によって風雨・湿気・衝撃から貨物を守り、品質維持や損傷防止に大きく貢献しています。



 

コンテナの種類

コンテナには、貨物の種類や用途に応じてさまざまな種類があります。
ここでは主要な6種類のコンテナの特徴を解説します。

ドライコンテナ

ドライコンテナは最も一般的で、世界中で広く利用されている箱型のコンテナです。大量輸送が可能で、温度管理や湿度管理が不要な工業製品、家具、衣類、食品など、さまざまな貨物の輸送に利用されています。鉄製で密閉構造となっており、20フィート、40フィート、45フィートの3つのサイズが標準です。


リーファー(冷凍・冷蔵)

リーファーコンテナは冷凍・冷蔵に対応しであり、生鮮食品や医薬品など温度管理が必要な貨物の輸送に利用されます。コンテナに冷却装置が搭載されており、内部の温度を一定に保ちます。貨物に応じて冷凍から冷蔵まで温度を調整できるため、長時間の輸送でも貨物の品質を維持することが可能です。標準的なサイズは20フィートと40フィートです。


オープン・トップ

オープン・トップコンテナは屋根がなく、上部が開放されているタイプのコンテナです。屋根がないため高さの制限がなく、クレーンを使用して上部から貨物を積み込むことができます。高さや長さが規格外の大型貨物、コンテナのドア部からの積み込みが難しい貨物、不規則な形状の貨物などの輸送に適しています。


サイド・オープン

サイド・オープンコンテナは、側面が開閉できるタイプのコンテナです。側面全体が開くため、開口部が広く作業効率や安全性を高められることが特徴です。2mを超える板材や棒材、機械部品などの貨物の輸送に適しています。基本的に側面とリア面が開くため、フォークリフトでの積み込みにも便利です。


フラット・ラック

フラット・ラックコンテナは、側面が開いた構造となっているコンテナです。貨物を上部から積み込めるため、建設機械や大型車両などの大型で重量のある貨物、規格外の貨物の輸送に適しています。折りたたみ可能なタイプもあり、使用しないときは省スペース化が可能です。


タンク

タンクとは内部に液体用のタンクが設置された、液体や気体などの輸送に適したコンテナです。化学薬品や燃料・食品など、流動性のある貨物の輸送に利用されます。外部からの衝撃や温度変化に強く、漏れ防止構造が施されているため安全性が高いことが特徴です。貨物の種類に応じて「危険物用」と「非危険物用」の2つに分けられます。



 

コンテナ輸送に使用される船の種類

コンテナ輸送では主に在来船とコンテナ船の2種類が使用されます。それぞれの特徴について解説します。

コンテナ船

コンテナ船はコンテナをまとめて運ぶ専用の船です。船にクレーンが搭載されておらず、港に設置されたクレーンを使って積み降ろしを行います。大きな港同士を結ぶ大型船と、地方の港とを結ぶ小型船があり、いずれも定期的に運航されています。積み降ろしの手順が決まっているため、作業が迅速かつ効率的に進むのが特徴です。


在来船

在来船とは一般貨物船のことで、コンテナ輸送専門の船ではなく、多様な貨物の一つとしてコンテナを輸送します。船にクレーンが搭載されているため、コンテナに限らずさまざまな貨物を直接積むことができます。ただし、多様な形状の貨物を扱うため多くの人手を必要とし、悪天候時には作業が遅れる可能性があります。



 

コンテナ輸送の方法(コンテナ利用形態)

コンテナの輸送方法(コンテナ利用形態)には、コンテナ輸送(FCL)と混載輸送(LCL)の2種類があります。

コンテナ輸送(FCL)

FCL(Full Container Load)とは、荷主がコンテナを丸ごと借りて輸送する方法です。荷主自身が積み込みを行い、1つのコンテナを単独で使用するため、途中での紛失や破損のリスクが低く、貨物へのダメージや積み下ろし時間を重視する場合に適しています。大量の貨物を効率的に輸送でき、管理もしやすい点が特徴です。一方、輸送量が少ない場合はコストが割高になるため、少量輸送には向きません。


混載輸送(LCL)

LCL(Less than Container Load)とは、複数の荷主が1つのコンテナを共同で使用して輸送する方法です。荷主はコンテナフレートステーション(CFS)に貨物を持ち込み、輸送後に積み下ろしと仕分けが行われます。そのため、FCLに比べて紛失や破損のリスクはやや高くなりますが、少量の貨物でも費用を抑えて輸送できる点が特徴です。少量貨物の輸出入に向いた方法で、コストとリスクのバランスを考えて選択されます(できます)。



 

コンテナ輸送のメリット

コンテナ輸送は、従来の個別貨物輸送に比べて多くの利点があります。特に大量輸送や国際輸送での効率性、安全性が高く評価されています。

コスト効率が高い

コンテナ輸送は、一度に大量の貨物をまとめて輸送できるため、輸送コストを抑えることができます。また、貨物がコンテナ内で保護されるため、破損や紛失のリスクが低く、保険料の負担も軽減できます。ただし、コンテナ単位で料金が発生するため、少量の貨物でも同じ費用がかかります。そのため、一定量以上の貨物をまとめて輸送することで、コスト効率を最大限に高められます。

輸送の切り替えが容易である

コンテナは国際規格に基づいて製造されているため、輸送手段の切り替えがスムーズに行えます。この仕組みは「複合一貫輸送」と呼ばれ、トラック輸送から鉄道や船舶への切り替えを容易にし、モーダルシフトの推進にも貢献します。貨物を積み下ろす必要がないため、輸送時間の短縮や作業負荷の軽減も実現でき、効率的かつ環境に配慮した輸送が可能です。

参考:モーダルシフト等推進事業|国土交通省

積荷を安全に保護し、破損や盗難リスクを軽減できる

コンテナは鋼鉄やアルミニウムなど頑丈な素材で作られており、輸送中の衝撃や風雨から貨物をしっかり保護します。密閉された状態で輸送されるため、外部からの接触を防ぎ、破損や盗難のリスクも大幅に軽減できます。コンテナ輸送の導入により、従来の個別貨物輸送に比べ、安全性が飛躍的に向上しました。

貨物に適したコンテナを選べる

コンテナは長さや高さだけでなく、多様な機能を備えており、貨物の種類に応じて使い分けが可能です。例えば、冷凍・冷蔵機能を持つリーファーコンテナは、青果の腐敗を防ぐ換気機能や温度変化に敏感な貨物に対応する温度制御機能など、貨物を安全に輸送するためのさまざまな機能が搭載されています。


 

コンテナ輸送の注意点

コンテナ輸送における注意点を解説します。

温度や湿度の変化によるリスクがある

海上輸送では、コンテナが直射日光にさらされることで内部の温度が急激に上昇することがあります。昼夜の温度差により結露が発生すると、カビや錆の原因となり、貨物の品質が低下するおそれがあります。特に精密機器や食品、医薬品など温度変化に敏感な貨物は、適切なコンテナを選び、品質管理を徹底することが重要です。

衝撃や破損のリスクがある

コンテナ自体は強度が高いものの、梱包や固定が不十分だと輸送中の揺れや振動により貨物が破損するリスクがあります。積み下ろし時の衝撃も損傷につながるため、事前の点検と固定方法の確認が欠かせません。

船の運航状況による影響を受ける

濃霧や悪天候、船舶の故障などにより、出航や到着が遅れることがあります。航空輸送に比べると到着時刻の予測が不確実になりやすいため、輸送スケジュールには余裕を持つことが望まれます。

書類手続きが複雑である

B/L(船荷証券)やC/O(原産地証明書)、関税関連書類など、海上コンテナ輸送には多くの書類手続きが必要です。手続きに不慣れな場合は時間や手間がかかり、輸送がスムーズに進まず、人件費や貨物の保管費、追加運賃などの余分な費用が発生するおそれがあります。

バンニング・デバンニング作業への配慮が必要になる

コンテナ輸送では、出荷地で貨物を積み込む「バンニング」と、到着地で貨物を取り出す「デバンニング」という作業が発生します。バンニングでは、貨物の重量バランスを調整し、ロープや緩衝材でしっかり固定することで、輸送中の荷崩れや破損を防ぐことが重要です。一方、デバンニングでは、荷崩れによる事故や貨物損傷を防ぐため、慎重な作業を徹底するとともに、適切な人員配置や荷降ろし設備の利用が求められます。これらの工程に十分配慮し、計画的かつ丁寧に進めることが、コンテナ輸送の品質と安全を確保する鍵となります。

参考コラム:3PLの費用構造と計算方法を詳しく解説



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まとめ

コンテナ輸送は、国際的に標準化されたコンテナを使って貨物を効率的かつ安全に運ぶ仕組みです。貨物をまとめて運べるためコスト効率が高く、陸上輸送や鉄道輸送への切り替えも容易で、破損や盗難のリスクも大幅に軽減できます。また、貨物の種類に応じて最適なコンテナを選ぶことで、品質を維持しながら輸送することが可能です。一方で、温度や湿度の変化、衝撃、船の運航状況、書類手続きなどには注意が必要です。そのため、適切なコンテナの選定や貨物の固定、書類の準備が欠かせません。コンテナ輸送の特性や注意点を理解し、効率的かつ安全な国際輸送を実現しましょう。

関連コラム:フォワーダーとは


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このコラムの監修者
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