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物流パレットとは荷物の積み込み・輸送・保管の際に、荷物をまとめて載せるために用いられる荷役台のことです。この記事では、輸送の観点から見たパレットの主な活用目的やメリット、物流パレットの種類や形状、積み方について解説します。物流パレットの有効活用を検討している方は、参考にしてください。
目次
パレット輸送とは?
パレット輸送とは何か、パレットの意味や目的も含めて分かりやすく解説します。
物流パレットとは
物流で使われるパレットとは、荷物を載せるための台(荷役台)のことです。倉庫やコンテナ、工場、トラックなど、幅広い現場で使用されており、荷物の積み下ろしや移動を効率的かつ安全に行う役割を担っています。
パレット輸送の概要と目的
パレット輸送とは、荷物をパレットにまとめて積載・輸送・保管し、パレット単位で荷役を行う輸送方式です。規格化されたパレットを使用することで、倉庫、トラック、船舶、鉄道など、異なる輸送手段や保管工程を円滑に連携させ、一貫した輸送を可能にします。これにより、輸送コストの削減に加え、荷役作業の省力化やトラック積載効率の向上などの効果が得られ、物流全体の生産性向上に大きく寄与します。
物流パレットを利用するメリット
物流パレットを活用することで、輸送や保管の効率が大幅に向上し、作業環境の改善にもつながります。ここでは、代表的なメリットを3つ解説します。
大量の荷物をまとめて効率的に輸送できる
パレット単位で荷物をまとめることで管理がしやすくなり、保管時の手間も軽減されます。また、パレットごとに荷物を運搬できるため、大量の荷物でも効率的に輸送することが可能です。
ドライバーや作業者の負担を軽減できる
複数の荷物をパレット単位で一度に積み降ろしできるため、荷役作業にかかる時間や手間を大幅に削減できます。従来のように重い荷物を一つずつ持ち上げる必要がなく、作業員やドライバーの身体的負担やけがのリスクも低減します。さらに、積み降ろし時間の短縮により長時間労働や待機時間を減らせるため、安全で効率的な労働環境の構築にも役立ちます。
荷物の破損リスクを低減できる
荷物をパレット単位で積み降ろしすることで、手作業による取り扱い回数が減り、衝撃や圧力、擦れなどの物理的ダメージを抑えられます。また、人為的なミスによる破損リスクも軽減されるため、荷物の品質が安定し、取引先からの信頼向上にもつながります。
物流パレットを利用する際の留意点
パレット輸送は、効率化やドライバーの負担軽減といったメリットがある一方で、注意すべき点もあります。ここでは、パレット輸送に関する主な留意点を解説します。
フォークリフトの利用が前提となる
物流パレットは荷物をまとめて扱うため、重量や体積が大きく、人力での作業は困難です。そのため、フォークリフトなどの荷役機器が必要です。フォークリフトを使用することで作業効率が向上し、人や荷物の安全を確保でき、荷崩れや破損のリスクも低減できます。ただし、操作には資格が必要で、適切な人材配置が求められます。
設備導入のコストがかかる
物流パレットを活用するには、フォークリフトなどの荷役機器や倉庫設備の整備が必要で、導入や維持には費用がかかります。さらに、パレット本体の調達や管理体制の構築にもコストが発生する点に注意が必要です。
パレット回収にかかるコストと管理上のリスクがある
輸送後のパレット回収には輸送費や人件費がかかります。管理体制が不十分な場合、パレットの破損や紛失、劣化により再利用できなくなるリスクも高まります。
物流パレットの種類(素材による分類)
主要な物流パレットの種類と特徴について解説します。
木製パレット
木製パレットは、木材で作られたパレットで、価格が安く、強度が高いため、物流業界で古くから広く利用されています。荷物が滑りにくく扱いやすいというメリットがありますが、湿気や水分に弱く、虫が発生しやすいというデメリットもあります。
プラスチックパレット
プラスチックパレットは、ポリプロピレンやポリエチレンなどの樹脂で作られたパレットで、耐久性が高く、洗浄や消毒が可能なため衛生的に使用できます。軽量でありながら強度も備えており、繰り返し利用に適しています。ただし、表面が滑りやすいため、荷物がずれやすい点がデメリットです。
ダンボールパレット
ダンボールパレットは、段ボールで作られた軽量のパレットで、価格が安く、リサイクルが容易な点が特徴です。通常のダンボールとして廃棄できるため環境負荷が低いというメリットがあります。ただし、耐久性が低いため、繰り返しの使用や重い荷物の輸送には適していません。
金属パレット
金属パレットは、鉄やアルミニウムなどの金属で作られたパレットで、耐久性に優れ、繰り返しの使用に適しています。また、汚れや湿気に敏感な荷物の輸送にも利用できます。ただし、他のパレットと比べて重量があり、コストも高いため、使用される場面は限定されます。
物流パレットの形状
物流パレットの形状は、主に7種類に分類されます。
それぞれの特徴について解説します。
平パレット
平パレットは、フォークリフトの差込口が側面に設けられたパレットです。上面に構造物がないのが特徴で、用途に応じてさまざまな種類から選択できます。
ボックスパレット
国内および国際的に流通している代表的なパレットサイズは、以下のとおりです。
ボックスパレットは、3面または4面にメッシュ状の側面が取り付けられたパレットです。ケース状になっているため、小さな荷物でも効率よく保管できます。
ロールボックスパレット
ロールボックスパレットは、車輪付きのボックスパレットで、「カゴ車」や「カゴ台車」とも呼ばれます。フォークリフトを使用せずに荷物を移動できるため、スーパーマーケットや小売店など、作業スペースが限られた施設で広く利用されています。
ポストパレット
ポストパレットは、支柱付きのパレットで、パレットとラックの両方の機能を兼ね備えています。荷物をそのまま積載した状態でトラックに直接積み込むことができ、さらに段積みも可能です。そのため、荷物を載せたまま効率的に移動することができます。
シートパレット
シートパレットは、段ボールや樹脂などで作られた薄型のパレットです。フォークリフトに専用のアタッチメントを装着することで、通常の物流パレットと同様に使用できます。薄型であるため、未使用時の保管スペースを削減できる点が特長です。
サイロパレット
サイロパレットは、粉状の荷物を運搬するためのパレットです。穀物や飼料を貯蔵するサイロに形状が似ていることから、この名称が付けられました。上部から小麦粉やセメントなどを投入し、下部の開閉口から取り出す仕組みになっています。
タンクパレット
タンクパレットは、液体を運搬するためのパレットで、主に化学薬品などの輸送に利用されます。上部または下部に注入口・排出口が設けられており、金属製の枠で囲むことで液体を安全に取り扱うことができます。
物流パレットのサイズと規格
・1,100mm×900mm 国内の中小サイズの物流でよく使用される
・1,100mm×1,100mm 国内で最も一般的な標準パレット(JIS規格)
・1,200mm×1,000mm 国際輸送で標準的なサイズ(ISO規格)
・1,300mm×1,100mm 大型家電、家具、工業・機械部品など、特殊用途の大型荷物に使用
・1,400mm×1,100mm 自動車部品や建材などの長尺物輸送向けの特殊用途パレット
JIS規格で定められた標準サイズは「JIS Z 0601」の1,100mm×1,100mm×144mmで、「一貫輸送用平パレット」または「T11型パレット」とも呼ばれています。国土交通省でも、この「JIS Z 0601」規格の標準化が推進されています。なお、この規格の使用率(令和4年5月時点)は、国内で生産されるパレット全体の約32%で、JIS規格のサイズの中では66%に達しています。
参考:パレット標準化推進分科会中間とりまとめ(概要)
参考:パレット標準化推進分科会最終とりまとめ(概要)
パレットパターン(荷物の積み方)の種類
パレットパターン(荷物の積み方)の種類は、8つに分けられます。 ここでは、それぞれの特徴について解説します。
ブロック積み
荷物をすべて同じ方向に積む方法です。積み込みが早く行えますが、同じ方向に力が集中するため、横方向の力に弱く、荷崩れが起こりやすいというデメリットがあります。移動中の荷崩れを防止するために、フィルムでしっかり固定するとなどの対策が必要です。
交互列積み
一段ごとに向きを90度ずつ変えて積む方法です。向きを交互に変えることで、積み付けが安定し荷崩れを防止できます。ただし、並べたときに全体が正方形にならない場合は、交互列積みが適さないことがあります。
ピンホール積み
荷物を風車の形になるように、時計回りまたは反時計回りに縦横を組み合わせて積む方法です。一段ごとに向きを変えることで荷物の安定性が増します。また、中央に空気の通り道ができるため、荷物の温度を一定に保つことができます。冷凍倉庫や低温輸送に適していますが、パレットの積載効果はあまり高くありません。
ダブルピンホール積み
一段ごとに左右を反転させて積み上げることで、一段の中に中央の隙間が2つできる特殊な積み方です。積載効果が高く、荷崩れしにくい点が特徴です。ただし、積み付けが複雑で荷役の時間がかかるため、現場ではあまり使われていません。
レンガ積み
一段ごとに荷物の向きを180度反対にして積む方法です。積み付けが簡単で荷崩れしにくく、外側から荷物の状態を確認できるというメリットがあります。ただし、この積み方はレンガ積みに適したサイズの荷物である必要があります。
窓積み
レンガ積みに縦方向の列を1列加えて積む方法です。レンガ積みと同様に外側から荷物の状態を確認できるため、検品がスムーズに行えます。
スプリット積み
レンガ積みをした際に横方向に隙間ができる積み方です。積みやすいという利点がありますが、荷崩れが起きやすいため注意が必要です。荷積みの際に内側に適切な隙間を作ることで、荷崩れを防ぐことができます。
◯回し◯段積み
一段に置く荷物の個数(回し数)と積み重ねる段数を示す積み方です。例えば、「5回し3段積み」は、各段に5個の荷物を並べ、それを3段積み重ねることを意味します。荷物の向きや並べ方についても事前に指示する必要があります。
※図は1段積となっています。
まとめ
物流パレットを活用することで、倉庫、トラック、船舶、鉄道などの輸送手段や保管工程をスムーズに連携させ、一貫した輸送が可能になります。大量輸送の効率化や作業負担の軽減などのメリットがあります。
一方で、パレットの取り扱いにはフォークリフトが必要で、操作には資格を持つ人材が求められます。また、設備の導入や維持、輸送後の回収には費用がかかり、管理体制が不十分だと破損や紛失などのリスクも生じます。
さらに、使用するパレットは、素材・形状・サイズ・積み方を荷物や輸送条件に応じて適切に選定することが重要です。
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