2025.11.5

物流システムにおける自動倉庫とは?種類や導入メリットを解説

いまさら聞けない物流用語

 

こんにちは。WMS:倉庫管理システム「SLIMS(スリムス)」を提供するセイノー情報サービスです。 自動倉庫は物流業界をはじめ、さまざまな業界で導入が進んでいます。しかし、知識が不十分なまま導入を進めると、自社に最適な種類を選べず期待した効果が得られないことがあります。この記事では、自動倉庫の基本情報や種類、導入メリット、導入する際の注意点などを分かりやすく解説します。導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

 

目次

自動倉庫
  1. 1. 物流における自動倉庫の基本情報

  2. 2. 自動倉庫の導入が進む業界とは

  3. 3. 自動倉庫の種類

  4. 4. 自動倉庫を導入するメリット

  5. 5. 自動倉庫を導入・運用する際の注意点

  6. 6. 自動倉庫の選び方

  7. 7. まとめ


 

物流における自動倉庫の基本情報

自動倉庫とは、入出庫や保管、仕分け、出荷といった作業をロボットやシステムによって自動化する設備のことです。作業の自動化により、人手不足の解消や業務効率の向上が期待できるほか、ヒューマンエラーを減らして作業ミスやトラブルを防ぐ効果もあります。自動倉庫には、商品の形状や倉庫の運用方法に合わせてさまざまな種類があり、自社の課題や運用目的に応じて最適なタイプを選定することが重要です。


 

自動倉庫の導入が進む業界とは

自動倉庫は、物流、自動車、食品、医薬品、アパレル、家電など、幅広い業界で導入が進んでいます。
なかでも食品業界や医薬品業界では、品質・衛生管理や在庫精度の向上といった面で効果が大きく、導入の動きが活発です。

    食品業界でのメリット

  • 食品業界では、賞味期限や温度管理を徹底しながら効率的に在庫を扱う必要があります。自動倉庫を導入 することで、入出庫や在庫管理を自動化し、期限切れによる食品ロスを防止できます。冷蔵・冷凍などの複数 の温度帯にも対応できるため、省人化と品質維持を両立できます。

  • 医薬品業界でのメリット

  • 医療品業界では、ロット番号や有効期限などの厳密な管理が求められます。自動倉庫を導入することで、データを自動 で記録・追跡でき、誤出荷や在庫ミスを防ぐことができます。また、人手を減らすことで異物混入のリスクを抑え、安 全性の高い保管環境を維持できます。
さらに、EC市場の拡大により、短時間での出荷対応が求められる現場も増えています。自動倉庫は迅速かつ正確な入出庫を実現し、今後さらに多くの業界での活用が期待されています。


 

自動倉庫の種類

自動倉庫には多くの種類があり、機能もさまざまです。ここでは、代表的な6つの種類を解説します自動倉庫には多くの種類があり、それぞれ機能や構造、適した用途が異なります。ここでは、代表的な7種類の自動倉庫について解説します。

パレット型

パレット型は、パレット単位で商品や部品を高層ラックに保管するタイプの自動倉庫です。荷物をパレットに載せたまま自動で入出庫できるため、大きな商品や重量のある商品の保管に適しています。また、高層ラックを採用することで、縦方向の空間を有効に活用できる点も大きなメリットです。吹き抜けスペースなどに設置すれば、各階へのスムーズな移動搬送も可能になります。

バケット型

バケット型は、小型のバケット(箱)に不定形または小型の商品を詰めて保管するタイプの自動倉庫です。バケット単位で管理できるため、小さな部品や軽量物に最適です。クレーンによって自動でバケットを移動できるため、ピッキング作業を効率化できます。操作性が高く、比較的容易に導入・運用できる点も特徴です。

ケース・ピース型

ケース・ピース型は、商品や部品を「ケース単位」または「ピース単位(最小単位)」で保管する保管するタイプの自動倉庫です。小型の商品や部品の保管に適しており、主に物流センターや製造業の部品倉庫、EC物流などで活用されています。自動で入出庫・仕分けを行えるため、作業ミスを防止や従業員の負担軽減につながります。

フリーサイズ型

フリーサイズ型は、その名の通り、さまざまな形状や重量の商品・部品に対応できる自動倉庫です。コンテナや段ボール、トレイなど、サイズが一定でない商品でも柔軟に保管できます。重量のある商品の自動搬送にも対応できるため、サイズや重量が一定でない多品種の商品・部品を取り扱う現場に適しています。

縦型回転型

縦型回転型(ロータリーストッカー)は、高さのあるラック内に商品・部品を収納し、ラックを回転させて入出庫を行うタイプの自動倉庫です。取り出し口の前に商品が自動で運ばれてくるため、作業者は移動せずにピッキングできます。天井付近までの空間を有効活用できる点も魅力で、省スペース運用に適した方式です。

移動棚型

移動棚型(ムービングラック型)は、商品・部品を載せた棚そのものを移動台車に載せて保管するタイプの自動倉庫です。移動台車は電動制御により棚を移動させることで、必要なときにのみ通路を確保できます。保管時は棚同士を密集させられるため、スペース効率が高く、限られた倉庫面積を最大限に活用できます。

高密度型

高密度型は、同一種類または同一形状の商品を大量に保管するのに適した自動倉庫です。ラックやコンテナを隙間なく配置し、在庫を立体的かつ高密度に収納できる構造が特徴です。
同一サイズの箱やパレットなどを効率よく積み上げられるため、保管スペースを最小限に抑えながら、多量の商品をまとめて管理できます。
保管する商品のバリエーションが少なく、ロット単位での入出庫が多い現場に向いており、省スペースで大量在庫を扱う業種に適しています。
導入事例:WMS×ロボットで実現!倉庫の最適化と保管効率UPの秘訣(ブラザーロジテック様 ハイロボ導入)


 

自動倉庫を導入するメリット

自動倉庫を導入すると、作業効率や在庫管理の正確性、保管スペースの活用など、物流業務全体にさまざまなメリットがあります。

作業効率と品質が向上する

自動倉庫を利用することで、入出庫や仕分け作業を自動化できます。その結果、作業スピードが上がり、取り違えや誤出庫といったミスも減ります。現場でのやり直し作業や負担が軽減され、物流業務全体の効率化につながります。

在庫の保管スペースを有効活用できる

自動倉庫では人が通るための通路を確保する必要がないため、倉庫の空間を最大限に活用できます。さらに、高さ方向の空間も有効に使えるため、同じ床面積でもより多くの在庫を保管できます。限られたスペースで保管効率を高めたい企業にとって、大きなメリットとなります。

在庫管理が正確になる

入出庫や保管の情報はシステムで自動的に記録されるため、在庫の記録ミスが減少します。誤出庫や欠品のリスクも低下し、在庫管理の精度が向上します。正しい在庫データがあれば、出荷や補充などの物流作業も計画通りに進められ、物流業務全体の信頼性が高まります。

保管スペースを最大限に活用できる

自動倉庫は、人が通る通路を最小限にできるほか、高さ方向の空間も有効に活用できます。そのため、限られた床面積でも多くの在庫を効率的に保管可能です。スペース効率を高めたい企業にとって、大きなメリットとなります。

労働環境を改善できる

暑さ・寒さ、高所作業、重量物の取り扱いなど、身体的負担の大きい作業も自動倉庫が代行します。従業員の負担が軽減され、安全で働きやすい環境を整えることができます。これにより、人材定着や職場の満足度向上にもつながります。


 

自動倉庫を導入・運用する際の注意点

メリットの多い自動倉庫ですが、導入や運用には注意すべき点もあります。ここでは主な注意点を解説します。

システム障害発生のリスクがある

自動倉庫はシステムで制御されているため、障害が発生すると入出庫や搬送作業が停止するリスクがあります。そのため、トラブル発生時に迅速に対応できるサポート体制やマニュアルをあらかじめ整備しておくことが重要です。

費用対効果と回収期間を確認する

自動倉庫は規模や機能によって導入コストが高額になることがあります。入出庫量が少ない倉庫では、十分な費用対効果が得られない場合もあります。そのため、導入を検討する際は、初期費用や運用コストを含めた総費用を把握し、投資を回収できる期間(回収期間)を事前に計算することが重要です。これにより、費用対効果を正しく評価し、導入の判断に役立てることができます。

システムとの連携・互換性を確認する

自動倉庫を導入する際は、既存の倉庫管理システム(WMS)や物流システムとの連携・互換性を確認する必要があります。連携が不十分だと、在庫情報や出荷指示のやり取りがスムーズに行えず、作業効率が低下したり、人的な手作業が増えたりする可能性があります。導入前に業務フローや扱う商品の特性を整理し、どの自動倉庫が効率的に稼働できるか、既存システムと問題なく接続できるかをシミュレーションして選ぶことが大切です。こうすることで、導入後のトラブルを防ぎ、効率的な運用が可能になります。


 

自動倉庫の選び方

自動倉庫にはさまざまな種類があるため、選定に悩むことも少なくありません。ここでは、自動倉庫を選ぶ際の主なポイントについて解説します。

保管環境から選ぶ

まず、保管する商品の特性に合った環境に対応できるかを確認することが重要です。たとえば、冷蔵・冷凍が必要な食品や医薬品、火気厳禁の危険物、防塵環境が求められる精密機器など、特殊な条件下での保管が必要な場合があります。すべての自動倉庫がこれらの環境に対応しているわけではないため、対象商品を安全に保管できるかを事前に確認することが重要です。

サポート体制から選ぶ

自動倉庫は導入後の運用も重要です。運用中はメンテナンスが必要で、時にはトラブルが発生する可能性もあります。そのため、導入前にサポート体制が整っているかを確認しましょう。サポート内容や対応時間、24時間対応の可否、拠点までの距離や対応スピードなども、事前にしっかり押さえておきたいポイントです。

拡張性の有無から選ぶ

事業の成長や商品の取扱量が増加に伴い、倉庫の規模を拡張する必要が出てくる場合がります。将来的な拡張や移転が容易な自動倉庫を選ぶことが、物流の効率化を長期的に支えるポイントです。特に賃貸倉庫を利用する場合は、原状回復のしやすさもあわせて確認しておくと安心です。

既存との連携から選ぶ

既存の倉庫管理システム(WMS)や倉庫制御システム(WCS)との連携も、自動倉庫の選び方ではポイントです。WMSは在庫や入出庫の管理をデジタル化するシステムであり、WCSは倉庫内の自動化設備(コンベヤやAGVなど)の動作をリアルタイムで制御・管理します。これらのシステムと自動倉庫がスムーズに連携できるかを確認することで、物流現場での効率的な運用が可能になります。
関連記事:WMS・WCS・WESの違いとは?それぞれの特徴や連携イメージを解説 ロボットマネジメント RMS


 

まとめ

自動倉庫は、省人化や効率化、保管精度の向上など多くのメリットをもたらします。一方で、導入コストやシステム連携などの課題もあるため、自社の運用規模や目的に合った選定が重要です。物流の自動化を成功させるには、WMSなどのシステムとの連携を含め、最適な仕組みを設計することが不可欠です。



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このコラムの監修者
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当コラムは、経験豊富なコンサルタントやロジスティクス経営士物流技術管理士などの資格を持った社員が監修しています。
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