2026.2.27

物流の2026年問題とは|2024年問題との関連性や荷主への影響を解説

知らないと困る物流法改正

 

物流業界では、ドライバー不足や輸送力の低下が続き、サプライチェーンの持続可能性が大きな課題となっています。こうした中、2026年4月から改正「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(以下、物流効率化法)」が本格施行され、一定規模以上の荷主企業に対して物流効率化への対応が法的に求められることになります。この制度改正を背景に注目されているのが「物流の2026年問題」です。
本記事では、物流の2026年問題の概要を整理したうえで、2024年問題との関係性、荷主企業への影響、今後求められる対応について解説します。

 

目次

  1. 1. 物流の2026年問題とは

  2. 2. 物流の2024年問題で顕在化した課題

  3. 3. 「物流の2026年問題」が懸念される物流効率化法の概要

  4. 4. 「物流の2026年問題」といわれる義務化の具体的な内容

  5. 5. 2026年の義務化において荷主・物流事業者に求められる対応

  6. 6. 物流の2026年問題で予測される影響・リスク

  7. 7. 物流の2026年問題に向けて荷主企業が取り組むべき戦略

  8. 8. まとめ


 

物流の2026年問題とは

物流の2026年問題とは、2024年問題によって顕在化した輸送力不足を背景に、2026年4月施行予定の改正物流関連法により、一定規模以上の荷主企業に物流効率化への主体的な取り組みが求められるようになることを指します。
これまで物流の課題は主に運送事業者側の問題として扱われてきました。しかし制度改正により、荷主企業も物流改善の担い手として法的に位置づけられ、効率化や持続可能性確保に向けた責任が明確化されます。
特に、年間9万トン以上の貨物を取り扱う「特定荷主」には、CLO(物流統括管理者)の選任や中長期計画の策定など、経営レベルで物流を管理・改善していく体制構築が求められる点が大きな特徴です。

2026年問題

 

物流の2024年問題で顕在化した課題

物流の2026年問題を理解するためには、その前提となった「物流の2024問題」で、どのような影響や課題が顕在化したのかを整理する必要があります。

物流の2024年問題とは

物流の2024年問題とは、働き方改革関連法により、ドライバーの時間外労働に上限が設けられたことで生じた諸問題の総称です。2024年4月から時間外労働が年間960時間に制限され、長時間労働を前提とした長距離輸送が難しくなったことで、輸送能力の低下や遅延の増加につながりました。

物流の2024年問題がもたらした影響や課題

労働時間の上限規制により、ドライバー1人あたりの輸送量が減少し、物流業界では輸送力不足が顕在化しました。収入減を背景に離職も進み、人手不足は現在も深刻な状況が続いています。さらに、運賃上昇や燃料費高騰が物流事業者の経営を圧迫し、長距離輸送や不採算案件の取扱縮小、事業規模アの見直しに踏み切るケースも増えています。これらの影響は、荷主企業の調達・販売活動にも波及しています。


 

「物流の2026年問題」が懸念される物流効率化法の概要

2024年問題で浮き彫りになった課題は依然として解消されていません。そのため、国は物流効率化を促すための制度整備を段階的に進めています。

【改正物流効率化法 2025年4月施行】
すべての荷主・物流事業者に対する努力義務

2025年4月から、全ての荷主・物流事業者に対し、次の3つの取り組みが努力義務として求められています。

  • 1.積載効率の向上等
    他の貨物との積み合わせなどにより、1回あたりの輸送効率を高める。

  • 2.荷待ち時間の短縮
    集荷・配達の集中を避け、トラックの待機時間を削減する。

  • 3.荷役等時間の短縮(目安として2時間以内の実現が求められる)
    荷積み・荷卸しの工程を見直し、ドライバーの負荷軽減を図る。

【改正物流効率化法 2026年4月施行】特定荷主における取り組みの義務化

2026年4月からは、一定規模以上の荷主企業などが「特定事業者」として指定され、物流効率化に関する具体的な取り組みが法的義務となります。

特定事業者の基準

  • ・特定第一種荷主/特定第二種荷主/特定連鎖化事業者:年間取扱貨物量(直近年度実績)9万トン以上
  • ・特定貨物自動車運送事業者:保有車両150台以上
  • ・特定倉庫事業者:貨物保管量70万トン以上

義務化される取り組みの概要

特定事業者には、貨物重量の届出、CLOの選任、中長期計画の作成、定期報告などが求められます。これらの取り組みが不十分な場合には、国による勧告や命令の対象となる可能性があるため、形式的な対応ではなく実効性のある体制整備が重要になります。


 

「物流の2026年問題」といわれる義務化の具体的な内容

2026年4月の法施行により、特定事業者には以下の法的義務が課されます。

CLOの選任

CLOとは「Chief Logistics Officer」の略称で、物流効率化に関する取り組みを統括する責任者であり、原則として管理的地位にある人材から選任する必要があります。主な職務は以下の通りです。

  • ・中長期計画の策定・管理
  • ・業務改善の推進
  • ・荷待ち・荷役削減に向けたオペレーション最適化
  • ・関係者(取引先、物流事業者、行政)との調整
  • ・デジタル化・効率化施策の実行

中長期計画の作成

特定事業者は、物流効率化に関する中長期計画を作成し、国へ提出しなければなりません。
記載項目は以下の4点です。

  • ・実施する措置
  • ・実施する措置
  • ・実施時期
  • ・その他参考事項

計画期間は原則5年間とされており、期間内に内容変更があった場合には変更届け出が必要とされています。

定期報告

特定事業者は、努力義務の実施状況や中長期計画の進捗状況について、毎年、国へ報告する必要があります。

  • ・取り組みの基準の遵守状況
  • ・関連事業者との連携状況
  • ・荷待ち時間などの改善状況

国は報告内容をモニタリングし、不十分な場合は指導が行われることがあります。


 

2026年の義務化において荷主・物流事業者に求められる対応

2026年4月からの義務化に備え、まず、自社が特定荷主に該当するかを確認する必要があります。
複数拠点を有する場合は、2025年度(2025年4月〜2026年3月)の取扱貨物量を合算して判定します。
そのうえで、

  • ・CLO選任に向けた方針整理
  • ・貨物重量や荷待ち時間などのデータ収集体制の準備
  • ・既存業務の課題・改善余地の洗い出し

などを早期に進めることが重要です。


 

物流の2026年問題で予測される影響・リスク

物流の2026年問題により、企業や物流事業者には具体的にどのような影響が及ぶのか、主なリスクを整理して解説します。

2026年問題

ドライバー不足が深刻化する

労働時間の上限規制に加え、ドライバーの高齢化が進んでいることから、労働供給制約と高齢化の進行により、構造的な輸送力が常態化する可能性があります。荷待ち・荷役時間の短縮が義務化されることで労働環境の改善は期待されるものの、抜本的な人手不足の解消にはつながらず、企業・業界全体での多面的な対策が不可欠です。

コストが上昇する

運賃水準の適正化、拘束時間短縮への投資、管理体制強化に伴い、物流コストは“変動費”から“固定費化”が進む可能性があります。さらに、2026年の法改正では、以下のような追加コストも発生する可能性があります。

  • ・CLOの選任に伴う人件費
  • ・専門人材の確保・教育にかかる費用
  • ・物流データを収集・管理するシステムの導入費用
  • ・効率化に向けた倉庫設備や車両の更新・投資

物流ネットワークの再編が進む

労働時間短縮に対応するため、物流業務や輸送体制の見直しが進み、共同配送や中継輸送、拠点集約など、物流ネットワークの再編が加速すると予測されます。小ロット・高頻度配送といった従来の取引慣行の見直しも進むでしょう。


 

物流の2026年問題に向けて荷主企業が取り組むべき戦略

勘や経験則に頼る管理から脱却し、データに基づく再現性のある意思決定への移行が不可欠です。WMS(倉庫管理システム)LMS(統合物流管理システム)を始めとするDX施策を推進し、入出庫・在庫管理の効率化、作業時間や業務プロセスの可視化を図り、 将来的なAI活用につながる基盤を整備します。

テクノロジーによる段階的な省人化を進める

現場ごとに個別最適化された非効率な運用を解消するために、IoTやロボット技術を活用します。IoTは在庫管理や輸送管理、ピッキングといった作業工程の効率化が可能です。また、肉体的負担の大きい作業や単純な反復作業を、ロボットに代替することで省人化が進められます。業務全体を一度に再構築するのではなく、段階的に進めることも重要です。

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まとめ

物流の2026年問題は、2024年問題で顕在化した輸送力不足や非効率な物流構造に対し、荷主にも主体的な改善を求める転換点といえます。特定荷主にはCLOの選任や中長期計画の策定などが義務化され、対応の遅れはコスト増や事業リスクにつながります。今後は法令遵守にとどまらず、DXや業務標準化を通じて持続可能な物流体制を構築できるかが、企業競争力を左右する重要な要素となるでしょう。

2026年問題

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このコラムの監修者
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セイノー情報サービスは400社以上へのWMS導入を通して培った物流ノウハウをもとに、お客様の戦略立案や物流改善をご支援しています。
当コラムは、経験豊富なコンサルタントやロジスティクス経営士物流技術管理士などの資格を持った社員が監修しています。
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