2021.1.19

<第2話>運営管理と運用管理

大手企業にみる、物流改善に成功する方法 物流運営管理の高度化

 

今回は、管理の基礎となる指標とシステムについて、解説します。

 

物流管理の指標(KPIとKGI)

KPI(*1)は、今や活用していない現場は無いといってよい程、広く利用されています。このKPIを設定するための前提条件である「可視化(見える化)」には、物流データを自由に扱える環境が必要となるため、物流システムを自社保有する動きが広まっています。

KPIと並び重要なのがKGI(*2)です。これは、KPIを活用し、どうなることを目指すのかという「目標」を表しており、これがあることで、KPIが報告用になることを防ぎます。
報告を受ける側(役員、本社物流部等)にとっては「KPIの判断基準」ができるため、検討の最終判断も行いやすくなります。

※1 KPI(Key Performance Indicators):重要業績評価指標
※2 KGI(Key Goal Indicator):重要目標達成指標


KPIの詳しい説明はこちら

 

KPI活用のメリット

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既にご存じの方も多いと思いますが、KPI活用のメリットは大きく3つあります。


① 課題が可視化される

KPIを設定することで現場の状況が定量的に測定され、正確な状況把握や、比較による相対評価ができるようになります(作業者、チーム、拠点毎の違い等)。良い方が悪い方の目標(ライバル)となり、モチベーションが上がることもあります。


② コミュニケーションが円滑になる

物流には、たくさんのプレイヤーが関わっています。本社物流部、現場(社員、パート・アルバイト、作業を委託している物流事業者)、お客様、仕入先、運送会社など、役割も様々です。認識のズレも起こりやすいため、「KPIという共通言語」を使用し認識を合わせることは非常に重要です。また、KPIは客観的なデータでもあるため、非常に効果があると言われています。


③ 合理的で公平な評価につながる

端的に表現すると、「頑張った人が、頑張ったことがわかるようにする」ということです。当たり前とも思われますが、実は注意が必要です。例えば 物流事業者への支払額 がKPIでは、誰がどれくらい頑張ったのか分かりません。紐づく活動が想像しやすいKPIを設定することで、改善活動を促進できます。

 

KPI設定の考え方

弊社は物流システムの提供のほか、物流コンサルティングや物流アウトソーシングを請負っています。そこで実際に活用しているKPI設定の考え方についてご紹介します。

以下は国土交通省が公表している『物流事業者におけるKPI導入の手引き(前半)』に記載されているKPIの利用モデルです。管理単位が「コスト・生産性」、「品質・サービスレベル」、「物流条件・配送条件」の3つに分けられています。

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出展:国土交通省 平成27年「物流事業者におけるKPI導入の手引き(前半)」


弊社では活動を軸に考えられるよう、例えば製造業の場合、「本社物流部」と「物流センター」の2つに分けます。役割によって管理する内容が異なり、KPIも自ずと変わります。

  • ・本社物流部
    物流担当の役員が立てた戦略に沿って、自社物流全体の管理を行う(運営管理)
    【KPI例】 生産性評価、マテハン稼働率評価、物流品質評価(作業・配送)
  • ・物流センター
    本社物流部の立てた企画・計画に沿って、担当する現場の管理を行う(運用管理)
    【KPI例】 入出荷作業進捗、マテハン稼働状況、誤出荷率

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昨今の物流センターでは、リアルタイムに評価できる仕組みを重視しています。以下は、弊社が請け負っているアウトソーシング現場で実際に使用しているモニターの内容です。

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現場と、管理者のいる事務所内にモニターを設置し、「現在の進捗状況」を可視化することで、作業が円滑に進むよう要員を配置し、作業員のモチベーションアップを促しています。昨今のモニターは比較的安価に入手できるため、このような改善活動がすぐにでもできます。

本社物流部と物流センターにおける、管理内容の違い

前述のように現場の状況をデータ化し、共有するためには、システムの活用が欠かせません。しかしシステムと言っても、物流関連のシステムは数多く存在します。また、担当業務によって管理する内容やKPIが異なるため、システムの活用方法も自ずと変わります。

そこで弊社では、KPI同様に、業務内容とシステムの活用方法を本社物流部と物流センターの2つに大別します。そうすると、本社物流部と物流センターの業務は、以下の様に整理できます。

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上表の下半分にある、WMS(倉庫管理システム)は代表的な物流システムであり、現場の業務実行と管理を支援するためのシステムです。
上半分にある、本社物流部が行う管理にも力を入れたい企業は、「点在する情報の一元管理」に特化したLMS(エルエムエス)というシステムをWMSと合わせて導入します。
当社の 物流マネージメントシステム「LMS(エルエムエス)」の詳細はこちら

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第1回でご紹介した大手企業ではこの構成を採用いただいているため、これが一つの「あるべき管理体制」だと考えています。

次回は事例をベースに、本社物流部の役割についてご紹介します。

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