2023.6.20
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WMS「SLIMS」を全国の拠点へ水平展開!
システム統合により業務標準化とコスト削減を実現

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導入ソリューション

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企業名
株式会社明治
カテゴリ
倉庫管理
企業規模
10,464名(2022年3月31日)
業種
食品 製造業
売上高
8,260億80百万円(2022年3月期)
事業内容    牛乳・乳製品、菓子、食品の製造販売等

お客様の概要

株式会社明治様は、食品と医薬品の提供を通じて消費者の健やかな生活を支えてきた明治グループにおいて食品事業を担っておられます。 現在は、赤ちゃんからお年寄りまであらゆる世代の消費者に向けて、粉ミルク、牛乳・乳製品、菓子、スポーツ栄養、流動食など幅広い商品を提供されています。 「食と健康のプロフェッショナル」として「食のおいしさ・楽しさ」に加え、「心身両面での健康価値」の提供を通じ、消費者の豊かで充実した生活の実現に貢献されていることはご存知の通りです。 また、その事業展開は日本だけにとどまらず中国やシンガポール、インドネシア、タイ、ベトナム、米国、オランダ、オーストラリア、ニュージーランドなどの現地法人を通じて世界中に商品を提供されており、 「meijiブランド」は広く世界の消費者に愛され、「信頼のブランド」となっています。
今回は、グループ内での企業・事業再編に伴ってかねてからの課題である倉庫管理システムの統合と物流業務の生産性向上を目的として、弊社WMS「SLIMS」(明治様社内呼称:MeTEO)を導入しました。


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業務課題とシステム検討までの経緯

明治様は2009年に設立された共同持株会社「明治ホールディングス株式会社」のもと、明治製菓と明治乳業の経営統合により誕生しました。 その生産品目はドライ、チルド、フローズン の3温度帯にまたがり、温度帯に応じて保管・配送業務が異なります。 保管・配送業務の管理を効率的に進め、更に企業統合のシナジー効果を高めるためにもシステムの再構築が有効であると判断し、新倉庫稼働を機にシステム統合を検討しました。
統合以前は、明治製菓は菓子に特化したWMS(パッケージをカスタマイズしてマテハン連携を主としたもの)を、明治乳業は乳製品に特化したWMS(完全なスクラッチ開発)をそれぞれ導入していたため、これらを改修して一本化するには莫大なコストがかかります。 また、明治グループの物流会社である明治ロジテック株式会社も独自でWMSを導入しており、それぞれが個別に保持するWMSをできる限り統合し、作業を標準化することでより大きな効果が享受できると考えました。 加えてサーバーなど機器の老朽化が進んでいたこともあり、2016年にシステムの刷新を決定しました。


課題
  • ・製品特性が異なるがゆえにWMSが複数存在し、それぞれに管理コストを要していた
    (温度帯、出荷単位、期限管理方法、運用方法の違い、など)
  • ・またその特性の強さゆえにシステム統合を視野にいれた場合、改修に多大な時間とコストを要した
  • ・システム機器(サーバー等)の老朽化が進んでおり、保守メンテナンスコストも増大していた
  • ・物流機能の変化や周辺システムとの連携に対してスピーディな対応ができなかった

成果
  • ・製品特性 の違いによりブラックボックス化していた運用のオープン化を実現
  • ・複数存在したWMSを統合化することで保守コストを削減
  • ・システム(WMS)の統合により、明治および明治ロジテックの業務標準化を実現

新システムの選定と導入までの過程

システム選定に向けての基本スタンスは、あるべき姿の業務運用から求めるシステム機能を有しているかという点でした。 具体的には、製品保管・配送における業務運用のダブルスタンダードを解消し、作業の標準化を達成するほか、統合システムでの一貫したトレース(同じレイアウトで同じ粒度の情報を保持)による物流品質向上を期待されました。 新システムを検討した2016年から2017年は、AGFやAMRなどの先端自動化技術の導入が目立ち始めた時期でもあり、将来的な新技術への対応という点も考慮されています。
システム選考にあたっては複数のITベンダーから情報を収集し入念な検討を行いました。 検討過程においては、まずスクラッチ開発を除外し、産業界の変化に柔軟かつスピーディに対応できるパッケージシステムを念頭に情報収集を行い、その中の4社から具体的なシステム提案を受けました。 一次選考では、①見やすさ使いやすさ(シンプルであることを重視)、②導入実績、③明治様の業務理解度(事業内容や物流運用、システムに対する情報・認識レベル)に重点を置き、二次選考ではさらに④コスト、 ⑤開発体制、⑥障害対応などのサポート体制、⑦デジタル技術への対応をポイントに置いて選考されました。 パッケージシステムそのものについては、ある程度のカスタマイズは必要になるという前提で、明治様が事前に考えていた業務フローや業務運用にシステムがフィットし、カスタマイズがより少ないかどうかが評価ポイントになりました。 このようにWMSシステムベンダーの業務面とパッケージ機能の両面からポイントを集計し、結果セイノー情報サービス(以下、SIS)ならびに「SLIMS」の総合的な優位性を認めていただき導入決定となりました。
上記①~⑦の総合得点の中でも、特に評価をいただいた点は以下の3点です。 1つ目は、同じ食品製造業で「SLIMS」を導入されている実際の稼働現場をご案内できたこと、2つ目は、今回のような大規模(数十拠点のWMS順次展開)プロジェクトの成功実績があること、そして3つ目には、現場業務を1日たりとも止めることなくシステムの移行ができる点でした。 拠点により、生産・物流の現場の作業が断続して行われているため、作業を長時間 止めることなく安定して新システム「SLIMS」へ導くことができた当社のノウハウや対応力も高く評価くださいました。


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SLIMSを活用した倉庫業務へ

「SLIMS」は2019年2月に西日本MDC(Mother Distribution Center)を皮切りにスタートしました。 同年6月には東日本MDCで、同年10月には倉敷工場で「SLIMS」を活用した運用を開始しています。 その後も順次、導入・稼働拠点が増加しており、現時点(2023年5月)では、明治様の拠点で全国10拠点以上、海外含むグループ会社も5拠点以上 で利用されています。 「SLIMS」の導入は最終的には30拠点以上を予定しており、残る拠点もお客様およびプロジェクトチームが連携して順次展開しています。
「SLIMS」導入・稼働後の業務で大きく変化した点は以下の通りです。
まず、人手に頼りブラックボックス化していた現場業務のオープン化を実現しました。 製品によって異なる出荷管理や日付管理、拠点間のトレース情報の一元化などがそれにあたります。 ユニットラベルと呼ばれるパレット毎の管理方法を展開 し、新旧のシステムが平行稼働した場合でもトレースが可能としました。 また、グループ内企業で「SLIMS」を活用したことにより 、異なる運用方法を統一化できた点も大きな成果として挙げられています。


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現場の運用がブラックボックスになっていたがために、設計の段階では見えていなかった業務やそれに関連する機能要件も後々になって散見されました。 しかし、このシステム統合をチャンスと捉え、業務の可視化と 標準化へもつながっています。 また、一部機能の処理速度についても導入当初は見込みレベルに達していませんでしたが、専属のサポート体制のもと、直ちに問題解決と対策・修正を行い、見込みレベルに引き上げたことで業務に支障のない業務処理を実現しています。


導入効果

  1. 01 システム保守の工数削減とこれに関わるコスト削減

    温度帯別やグループ各社で複数存在していたWMSを統合したことで、システム保守の工数が大幅に削減できました。Q&Aなどの問合せ先も一本化されたので作業効率も向上しています。また、かねてから懸念されていたサーバー類の老朽化も同時に対策できました。

  2. 02 デジタル技術への対応力アップにより現場の省力化・省人化が進展

    無人フォークリフトやトラックローダー(積付け用のマテハン)、自動倉庫をはじめとした自動化機器とWMSとの連携が強化されたため、現場の省力化・省人化が進展しました。今後も様々な自動化機器やデジタル技術との連携を計画しています。

  3. 03 明治グループにおけるシステムのスタンダード化

    システムのスタンダード化が図れ、物流を含むサプライチェーンの変革に伴うシステム改修の際も、時間をかけずに水平展開できるようになりました。 現在は中国のグループ会社でも「SLIMS」を導入しており、システムのスタンダード化はグローバルに及んでいます。 このスタンダード化は明治グループにおけるトレーサビリティ確保につながるもので、食品会社としての重要課題である「安全・安心」な製品供給体制の源であるといえます。

今後の展望

物流に限らず労働力不足がますます深刻化することを念頭に置き、自動化機器(AGVやAMRなどの物流ロボット)やAIなどの新技術を積極的に取り入れ、業務を省力化・省人化する検討を更に進められています。 加えてグループで統合化したWMSに蓄積されるデータは膨大で非常に重要であるという認識を強く持たれており、このビッグデータをAIとも連携した予測業務などへも活用し、業務改善に役立てていきたいと言われています。
また、明治様では現在バース予約システムの導入も検討されており、「SLIMS」と周辺システムとの親和性を強化しています。 倉庫内や輸配送それぞれ単独の効率化を追求しつつ、その一歩先である倉庫とドライバーの連携を実現し、待機時間の削減や適切なトラックバースへの誘導など、物流全体の合理化を目指しています。
WMSプロジェクトはまだ道半ばです 。最後までやりきることはもちろん、新たな物流プラットフォーム構築についてもすでに歩みを始められています。

お客様の声

物流は競争分野ではなく業界全体で協力していかねばなりません。現在は倉庫の共有や共同配送などハードの部分は先行して進められていると感じますが、情報システムや業務の標準化はこれから重点的に取り組む必要があると考えております。 「SLIMS」はそのキーポイントとなるWMSであり、同業他社へも「SLIMS」が浸透していくことでシステムや業務の標準化が進んでいくことを望んでいます。 私たち自身、今後の物流問題の解決のために業界全体への協力を惜しみませんし、SISさんにもさまざまな面で協力や革新的な提案を期待しています 。

生産物流プロセス戦略本部 生産部 IT戦略グループ長
今田卓宏 氏


SISさんの担当者とSEは速やかな障害対応をモットーとされており、時には厳しいお願いもしましたが、フットワークが軽く対応力がとても素晴らしかったです。 SISさんをパートナーに選んで良かったと心から思っています。 WMS以外でも様々な提案をしてくれていますが、その中には当たり前だと思って気づかなかった点もあり、大変ありがたいことだと感謝しています。 今後もその対応力と提案力を発揮し、当社のパートナーとして末永くお付き合いいただきたく思います。

生産物流プロセス戦略本部 生産部 IT戦略グループ
髙橋祐一 氏



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今田 卓宏氏(左)と髙橋 祐一氏(右)
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