導入ソリューション
- 配車計画
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- 企業名
- 三菱ケミカル物流株式会社
- カテゴリ
- 輸配送管理
- 企業規模
- 1,492名(2022年3月期)
- 業種
- 運輸・倉庫業
- 売上高
- 883億円(2022年3月期)
お客様の概要
三菱ケミカル物流株式会社様は、3PLサービスをはじめ、陸上輸送(陸運)、海上輸送(海運)、国際物流、包装・資材といった幅広い事業を展開しています。 オーダーメイド物流ソリューションのサービスプロバイダーとしてワンストップの物流体制を構築し、付加価値のあるロジスティクス(KAITEKI物流)の実現で荷主企業から高い評価を獲得。 そのソリューションサービスにおいては、 ①最新効率化手法を駆使した物流改革案の提案、②国内外一貫物流のスケールメリットを活かした幹線・ネットワークシステムによる多様な物流ニーズへの対応、 といった圧倒的なパフォーマンスで荷主企業および社会の発展に貢献されています。
システム検討にいたる経緯
これまでのシステムは手組でプログラミングされたものですでにレガシー化しており、基幹システム更新のタイミングも相まって新規システムに切り替えることになりました。 陸運事業は貨物利用運送事業が主体であり、この事業は配車業務のノウハウに競争力の源泉があります。 現行システムでは委託先運送事業者の選定に止まり、車両選定については委託先運送事業者に任せているケースが多く、車両ごとの細かい収支が不明でブラックボックス化していました。 そのため積載率向上によるコスト削減も自社での取組としては限界がありました。 その一方、システム面については、固定されたフォーマット通りの手順で委託先を選定しなければならず、その手順が煩雑だったため、配車業務の効率化も課題でした。 また、業務を支援するアプリケーションを各担当社員のパソコンにインストールしなければならないため、個別にIDやパスワードを管理させており、異動の際のシステム削除などの確認が徹底できておらず、管理統制面での課題も認識されていました。
- 課題
- ・積載率向上によるコスト削減と過積載の防止
- ・配車手順の煩雑さによる非効率性の解消
- ・レガシーシステムならではの管理・運用面の業務負荷を軽減
- 成果
- ・条件に合わせた並替・絞込機能による配車業務が効率化
- ・車両ごとに積載率設定・管理が可能になり、積載率向上を実現
- ・上位システムと連携しつつ、運用・管理面の統制が強化
取り組みテーマ
新システムについては、以下の4点を満たすことが条件でした。
- 1. 最低限、以前のシステムと同じことができること
- 2. 将来的な事業拡大に対応できる拡張性があること
- 3. 既存の基幹のシステムと連携ができること
- 4. システムベンダーが同社のシステムを熟知し、維持・運用に配慮できる対応力を持つこと
また、陸運・海運事業者が導入しているような専門的なシステムではなく、貨物運送利用事業者の立場に適した機能性が必要十分に備わっていること、更に機能によってはカスタマイズも視野に入れて検討することを望まれていました。 そのうえで、システムベンダーには、
- 1. 貨物運送利用事業者として発注全体を管理する立場であること
- 2. 複数拠点(支社)で使用すること
- 3. 委託先運送事業者が数多くある(1支社で50~60社程度)こと
以上の3点を踏まえ、自動配車精度や配送コストなどについてシミュレーションを依頼したほか、要件定義(トラック輸送のほか、鉄道輸送を利用する場合などで) に基づいたオーダー対応が可能かどうかなど、モデルとなる拠点を決めて検討を詰めていきました。 机上の計算を現場にそのまま適用するのではなく、実際にシステムを使う現場の声を反映させることで拠点ごとの業務の進め方の差異を埋め、標準化に近づけることで利便性を高めるほか、 将来的な集中配車につながるシステムの基礎を固める方向で検討を進めることにしました。以上のテーマで三菱ケミカルシステム社に相談、複数のシステムベンダーに提案を依頼した結果、 セイノー情報サービスの対応力と「ASSORT」の優位性から採用を決定しました。 特に「ASSORT」については、多数の委託先運送事業者、車両の中からオーダーに適した事業者、車両を選定する際の手順、登録データをカスタマイズできる柔軟性を高く評価しました。
ASSORTを活用した配車業務へ
「ASSORT」導入後の業務の流れは次の通りとてもシンプルなものです。
まず契約荷主からEDI(一部FAX発注もある)で依頼された発注内容を基幹システムで受け、データ化して「ASSORT」に送り込みます。
配車担当は荷主別あるいは輸送手段別に担当者がおり、あらかじめ「ASSORT」で各担当別の条件設定をしておくことで、自分の欲しいデータのみを画面に表示させ配車業務に入ることができます。
例えば、担当荷主、該当出荷日のオーダーだけを表示したり、重量○t以下のオーダーだけを受け取る、といった具合です。そして、それぞれの条件、順番に合わせた車両に対し荷物を紐づけていきます。
これらの業務はドラッグアンドドロップで作業が可能です。委託先運送事業者への依頼データが「ASSORT」から基幹システムに送られ、作業指示書や運行指示書を出力し、その指示書とともに運送会社へ委託されることになります。
世の中には「完全自動配車」システムもありますが、物流は変化の激しいため荷主企業の目線で、あくまでこれまで培ったノウハウとシステムを融合させた業務設計を採用されています。
車両ベースで委託先運送事業者を選定
「ASSORT」は、車両ベースでボードを組むことができ、ロットに合わせて区域、あるいは路線ごとに必要な委託先運送事業者をあらかじめ選定し、その車両を登録することができるため、配車業務効率が大幅に向上しました。 また、抽出条件、表示順、オーダーの並び順、出荷日ベース、納入日ベース、あるいは輸送手段別など、配車担当者、管理者それぞれが見やすいように表示をカスタマイズできるため、データ処理業務の効率化も図れました。
車両ごとの積載率をリアルタイムに可視化
車両選定の際、車両ごとに積載率をキロ単位レベルで細かく設定・管理することできるため、積載率が向上し、コスト削減にも寄与しています。 また配車時に積載重量をオーバーした場合はリアルタイムに警告表示されます。過積載を未然防止できるため、コンプライアンス遵守・安全運行面での担当者の精神的負荷軽減のメリットも大きいと思われます。
キャンセル案件の管理
以前は荷主からキャンセルの連絡がなければ、案件データがシステム消去されてしまうだけだったため、担当者が見過ごしてしまい、運送事業者への委託が無駄になってしまうケースがありました。 「ASSORT」にはキャンセル案件を赤字表示する機能が搭載されているため、見過ごしにより委託先運送事業者との信頼関係が損なわれるリスクは低下しました。
導入の効果
01 残業時間の削減と全体の生産性向上
委託先運送事業者ごとに行っていた配車業務の手間が大幅に減り、効率化により残業時間の削減につながりました。 以前は配車業務に他部門の人員を動員せざるを得ない時もありましたが、「ASSORT」導入による業務効率化でその必要もなくなり、 配車担当者もより付加価値のある業務に取り組めるようになり、全体として生産性の向上にも結びつけることができました。
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02 配車業務精度の向上
従来の固定されたフォーマットに従った配車ではなく、貨物や納品条件に適した委託先運送事業者・車両が簡単に選択できるようになりました。 オーダー・運送事業者・車両の選び方・探し方を柔軟に変更できる点が特に大きなメリットで、全体的に配車業務もスピードアップし、且つ的確な配車ができるようになりました。
03 積載率の向上と過積載防止
車両ごとに細かく積載率を設定できるため、工夫して積載率を引き上げる取り組みを進めることができました。
またオーダーを車両に紐付けたタイミングで、リアルタイムに積載率が表示されます。重量オーバーの警告表示機能により過積載も防止できています。04 配車業務の標準化
配送業務効率化に向け、担当別に車両や届け先などに関する条件をマスタ登録する手間は必要です。 しかしこれを丁寧に精度高くすることで、後の配車業務を誰でも同じ条件で行えるようになり、業務の標準化と属人性の排除を達成することができました。 今では配車担当者全員が、ベテランの担当者と同様の配車ができるようになっています。
今後の展望
将来的には、支社の枠組みを超えた配車業務の集中管理や、さらなる業務の効率化を目指されています。
2023年4月での導入を目指し、さまざまな変化への対応を計画されています。
- ・地図ソフトの導入と連携(運行距離や到着時間を推定する)
- ・パレット積載管理(オーダーから必要なパレット枚数を論理計算し車両と照合)
- ・当日出荷・当日納期案件の可視化や指定協力会社変更に対する警告表示
- ・同一出荷、納入先案件の「口割れ(荷割れ)」に対する配車見直し
- ・前回配車実績の表示
これら以外にも、オーダー受付業務の簡素化や往復便の復路車両の空き状況の確認なども検討されております。
今後もお客様の競争力向上並びに社会の発展に貢献するため、歩みを止めることなく常に先を見据えた取り組みを継続されています。
お客様の声
「ASSORT」導入により実務効率化や管理面の強化を図ることができましたが、 配車担当部署からはさらなる改善要望(復荷配車、受付業務簡素化、バース予約など)もでており、また弊社DX戦略の一つとしてTMS強化の必要性も感じております。 今後の機能追加について、これからも柔軟な提案を期待しております。
陸運事業本部 企画管理部
吉田亮二氏
「ASSORT」導入に際しては、前システムの機能をカバーしつつ、新たな機能を追加するというお願いをしましたが、弊社の業務要件を理解して頂き、迅速に対応して頂きました。 今後、物流ニーズに合わせたシステム機能の追加・変更は発生しますので、スピード感ある対応と提案をお願いします。
技術本部 情報システム部
湯村恭司氏