2023.3.28

物流ロボットとは?マテハンとの違いや種類を紹介

基礎から解説~物流ロボット~

 

こんにちは。ロボット活用を促進するWES(倉庫運用管理システム)「RMS」を提供するセイノー情報サービスです。
物流ロボットへの関心が年々高まっていますが、多くの企業は知識や経験、人材不足に悩んでいます。
そこで当コラムでは物流ロボットとはなにか、活用のメリット・デメリットはどのようなものがあるかなど基礎的なことから、 ロボットの種類まで幅広く解説します。

 

目次

  1. 1. 物流ロボットが必要とされる背景

  2. 2. 物流ロボットとは

  3. 3. 物流ロボットを活用するメリット

  4. 4. 物流ロボットを活用するデメリット

  5. 5. 物流ロボットの種類

  6. 6. セイノー情報サービスの物流DXに向けた取り組み

  7. 7. まとめ

 

物流ロボットが必要とされる背景 

物流ロボットを活用している、もしくは導入を検討している企業が増えています。
その実態と背景について解説します。

 

物流ロボティクス市場は拡大傾向

株式会社矢野経済研究所は日本の物流ロボティクス市場を調査し、2022年度は約300億、2025年には2倍の600億円まで成長すると推計しています。 当社でもご提案の機会をいただくことが増えています。

日本の物流ロボティクス市場の規模推移・予測

出典 株式会社矢野経済研究所 プレスリリース 『物流ロボティクス市場に関する調査を実施(2022年)』

 

人海戦術からの脱却

国立社会保障・人口問題研究所は、15~64歳までの生産年齢人口は2010年から2060年までに3,765万人、毎日2,058人減少すると推計しています。 多くの企業が労働力の確保に頭を悩ませ始めており、物流現場も例外ではありません。 そしてこれとは逆行するかのように、物量は右肩上がりに増えています。
背景には、EC市場の発展や出荷の多品種小ロット化などが挙げられます。顧客の要望に応えるために商品ラインナップを充実させたり、 小ロットで高頻度な出荷が増えています。物流現場では作業量の増加と複雑化への対応に迫られています。


人海戦術に頼ってきた物流現場も、より少ない人数で今以上の作業量に対応できるよう変わらなければなりません。
そこで注目されているのが物流ロボットです。
物流現場の慢性的な人手不足を改善するため、物流の自動化・効率化・省人化・省力化をキーワードとして多くの企業が期待を寄せています。


 

物流ロボットとは 

当コラムでの物流ロボットは、「物流センターや工場の構内物流を人と協働しながら作業するロボット」と定義しますが、 同じように作業の自動化を目的とした機器として「マテハン」があります。

 

物流ロボットとマテハンの違い

「マテハン」とはマテリアルハンドリングの略称で、モノの保管や出荷、移動で使用される機器です。
代表例である自動倉庫は、ロボットの登場よりかなり前から用いられてきましたが「可変性」という点が物流ロボットと大きく異なります。 可変性とは「変更できるという性質、またはその度合い」のことです。

自動化を目的としたマテハンの多くは固定設備として備え付けるタイプのものが殆どです。
倉庫を建てるのと同じで、一度設置したら動かしません。対してロボットは、移設できるものが多く見られます。 賃貸倉庫の場合は工事が不要なタイプを選択したり、移転やレイアウト変更の際は新しい環境でも同じように活用する、といったことが可能です。
また、ロボットはレンタルやサブスクリプションサービスという形態での利用が可能です。 最新型に入れ替えたり、ロボットの種類や台数を柔軟に変更することもできます。
変化が激しく先行が不透明な現代では、可変性という点では物流ロボットの方が時代に合っていると言えます。 しかし、処理能力の観点では、物流ロボットはマテハンにはまだまだ敵わないでしょう。
ロボットとマテハン、それぞれの特長(優れている点)を理解し、業務に適しているものを選択することが重要です。

※サブスクリプションサービスとは
「定額料金を支払い、製品やサービスを一定期間利用する」というサービス形態 「Apple Music」や「Netflix」のように音楽や動画を配信するサービスや、服や家具を貸し出すサービスも存在

物流ロボットとマテハンの違い

 

物流ロボットを活用するメリット

物流ロボットの活用には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
主なものを2つ紹介します。

 

作業の自動化による省人化・省力化

ロボットを活用して作業を自動化することで、物流現場の省人化、省力化が進みます。
モノの移動や仕分けをロボットが人の代わりに作業することで、少ない人数でより多くの作業をこなすことができます。 また、モノを探す・移動させるために物流センター内を歩き回ることがなくなり、作業負荷が軽減するとともに生産性が向上します。

 

平準化:「誰でもできる」ようになる

ロボットのサポートを受けることで人の作業がシンプルになり業務が平準化されます。
このメリットが特に強く感じられるのが棚搬送型ロボットのGTPやAMRです。 どのロケーションから何を何個取るのか教えてくれるため、商品や保管場所などの知識は必要ありません。 弊社お客様の物流センターでは新人教育に1週間かかっていましたが、GTP導入後は約2時間の説明で作業できるようになりました。


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物流ロボットを活用するデメリット

ロボット活用はメリットがある一方、デメリットがないわけではありません。

 

初期投資が必要

ロボット自体のコストや、工事・メンテナンスにコストが必要となります。
当社が行ったアンケートでも「ロボット活用の課題」で1位になったのは「導入コスト」でした。コストが高く投資対効果が見えにくいと導入に足踏みしてしまう企業も多いようです。
しかし、労働力の確保は年々難しくなっています。人手不足が原因で商品の出荷ができなければ売上となりません。 ロボット導入に踏み切る企業の多くは、ロボット活用のコストを「投資対効果が出る改善」ではなく「将来への投資、リスク対策」とみています。

物流ロボット導入の課題(調査結果)
 

環境を整える手間と時間が必要

ロボットの導入にはさまざまな準備が必要です。
例えば専用エリアを作るためのレイアウト変更や、床の補強・ロボット本体の設置工事を伴う場合があります。
また、人の動きや作業場所の変更や、作業工程間のバランスを見直すなど「業務の再設計」も必要です。
これらの準備を怠ると、ロボットを導入した後に様々なトラブルが起こり対応に追われることとなります。導入効果をより早く・確実に出すためにも、環境を整える手間と時間を惜しんではいけません。


 

物流ロボットの種類と特長

物流ロボットには様々な種類があります。
主なロボットの種類とその特長について解説します。

 

搬送系ロボット

人の代わりにモノを搬送するロボットで、一番多く活用されています。

AGV

  • ・無人搬送車のことでAutomated Guided Vehicleの頭文字をとった略称
  • ・床に配置したQRコードや磁気テープの上を走行
  • ・ピッキングしたモノを出荷エリアへ運ぶなど工程間の搬送に活用

AGF

物流ロボットAGFのイメージ図
  • ・無人フォークリフトのことでAutomated Guided Forkliftの略称
  • ・AGVと同じく工程間の搬送に活用されることが多い
  • ・パレットごと格納できる商品の場合、搬送に加えて格納作業の自動化も可能

GTP

物流ロボットGTPのイメージ図
  • ・Goods to personの略称で、「棚搬送型ロボット」「棚流動型ロボット」と呼ばれる
  • ・作業者のところへ商品を棚ごと搬送
  • ・ピッキングや入庫作業に活用

AMR

  • ・Autonomous Mobile Robotの略称で、「自立走行搬送ロボット」「協働型搬送ロボット」と呼ばれる
  • ・カメラやセンサー情報を頼りに棚や障害物を検知し、目的の場所まで自律移動
  • ・比較的小さくて軽い商品の搬送に活用
 

ケースピッキングロボット

robot-basic_one_06.png
  • ・オリコンや段ボール箱など、決められたケースに保管された商品のピッキング・搬送に活用
  • ・棚の増設や移設についての可変性が高い


 

仕分けロボット

  • ・その名の通り人の代わりに仕分け作業をするロボット
  • ・店舗仕分けのように、同じ商品を複数の届け先に出荷する現場でよく活用される
  • ・届け先ごとのオリコンへ仕分けするソーター型・搬送型や、商品を掴んで仕分けするアーム型など幅広い
 

ピースピッキング(アーム型)ロボット

  • ・ロボットアームで商品を持ち上げてピッキングや仕分け作業するロボット
  • ・搬送系ロボットほど汎用性が高くないため、物流現場で定着するのはもう少し先と考えられる

関連コラム
物流ロボットの種類と特長を詳しく紹介:各物流ロボットの詳細を知りたい方向け
業務シーン別でみる物流ロボットの選び方・使い分け方:物流ロボットの選び方・使い分けを知りたい方向け


 

セイノー情報サービスの物流DXに向けた取り組み

近年、最も注目されている技術「BRAIS:Big Data、Robot、AI、IoT、Sharing」をロジスティクス分野で活用することで、限りある資源の有効活用と共同化への変革が進むと期待されています。 当社でも専門部署を設立し、既に実用化して効果を挙げているものを含め、多くの経験を蓄積しています。

取り組み概要

  • ・120件を超えるBRAISプロジェクト実績
  • ・2016年から基礎研究を開始し、様々なデジタル技術のコンテストで受賞
  • ・長年の現場改善ノウハウをもとにお客様に最適なDXをご提案

関連情報
・物流DXに欠かせないWES:ロボットマネジメントシステム「RMS」の詳細
セイノー情報サービスの物流DXに関する詳細


 

まとめ

物流センターや工場の構内物流を人と協働しながら作業する「物流ロボット」は、慢性的な人手不足に悩む物流現場にとって必要不可欠です。 物流ロボットを導入することで、自動化による省人化・省力化、平準化 (誰でもできる)といったメリットが得られます。

物流ロボットには多種多様な種類があります。
どのシーンでどのロボットを活用すべきか、それぞれの特長を理解し最適なものを選びましょう。

  • ・工程をまたぐ搬送:AGV・AGF
  • ・ピッキングなどの出荷作業:GTP・AMR・ケースピッキングロボット
  • ・仕分け作業:自動仕分けロボット(ソーター型・搬送型・アーム型 等)
  • ・細かい単位のピッキング:アーム型ロボット


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このコラムの監修者
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セイノー情報サービスは400社以上へのWMS導入を通して培った物流ノウハウをもとに、お客様の戦略立案や物流改善をご支援しています。
当コラムは、経験豊富なコンサルタントやロジスティクス経営士物流技術管理士などの資格を持った社員が監修しています。
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