2020.6.18
  • 物流改善

物流現場の残業をゼロにする方法とは

即実践できる! 物流センターの改善方法

 

これまでマネジメントで重要な要素QCD(Quality:品質 Cost:コスト Deliver:納期)に沿ってお話をしてきましたが、今回は納期についてです。物流において納期の調整は難易度が高く、即実践というテーマにはマッチしないため時間をテーマにお話しします。

作業時間の改善、特に残業時間に注目すると、これはなかなか難しい課題です。確かに出荷作業は指示書が発行される時間が決まっており、運送事業者が集荷する時間も大よそ決まっています。しかしその半面、物量=作業量の予測が難しい上に、制約条件も多いのです。

 

出荷作業が上手く予測できず、また残業が発生・・・
これには、入荷作業にも課題がある?

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物流現場では、遅れる可能性のある出荷作業の大半はケアされているでしょう。
出荷量が増加した際のリスクを回避するために、実際に必要な作業人員よりも多くの人数を用意している現場もあります。また、人数を固定的して、出荷の物量が増加した際は残業でカバーしている現場もあります。このような対応は、出荷作業単体でコストをとらえるとコスト高になっている物流現場が実は多いのです。これを改善するために、いかに物量を予測して適切な要員数を用意するかに重要な改善ポイントです。

ここで見落としがちなのが、入荷作業に対する予定情報の入手とそれに対する要員手配です。出荷作業に対して入荷作業は、作業時間に比較的余裕があり固定的な人数で運用するケースが多いようです。しかし、実際には入荷作業は物流現場の要です。入荷作業の遅延は出荷作業の遅延を招き、入荷作業の精度は出荷作業の精度に直結します。このように、入荷作業は物流の基本であり、出荷作業と同様に時間を意識した改善が必要です。

改善ポイントは、入荷予定情報の入手と入荷作業の平準化です。
まず、入荷は出荷と異なり、社内または社外のどこかに精度の高い予定情報があるので、それを共有できるようにします。次に、入荷作業量の平準化するために、日々の入荷量を調整して分散することが第一にあげられます。どうしても入荷量が集中してしまう場合には、事前に調整して作業時間を確保しましょう。

 

残業時間の改善には進捗状況を把握しよう

まず要員計画に基づく作業の予定と実績とのズレをリアルタイムに監視しながら、各作業の要員を調整する事が必要です。夕方にやっと作業の遅れに気付いて残業でカバーするというケースをよく耳にしますが、現場責任者が作業進捗を把握し、人の移動や応援など適切に対処できていれば問題は防げたかもしれません。

作業進捗管理の例

この写真は作業進捗管理の例ですが、必ずしもシステム的な精度の高い管理である必要はありません。まずは、現場リーダーが進捗状況を定期的に現場責任者に報告してもいいでしょう。現場責任者が作業状況を把握できる環境や運用が必要なのです。

 

標準作業時間を把握して適切な要員計画を進めよう

次にステップとして重要なことは、入荷・出荷を問わず、予定されている作業量に対して何人の作業者が必要であるかを把握することです。必要な人数は「人数=物量÷与えられた時間÷一人当たりの作業量」で求められます。業務が標準化されていて、各作業の物量あたりの標準作業時間が把握することができれば精度が上がり、物量に応じた要員の準備が可能になります。実際には作業が早い人と遅い人がいてシフトが組まれるとばらつきが出るため、一人一人の時間当たりの作業量が把握することが理想です。

しかし、これを把握するために作業員が作業の都度記録を付け、事務員がそれをエクセルに入力して集計するにはかなりの時間がかかるため、WMSなどのシステムに残された実績情報をうまく活用することをお勧めします。WMSだけでは足りない情報もあるため、その情報だけを別に取るようにすれば効率が上がります。逆に手間が掛かり過ぎると1度やってそこで頓挫してしまうため注意が必要です。

このように作業進捗管理の基となる標準作業時間を把握できている物流現場は、毎日の作業生産性を把握できています。これにより、作業標準時間と実績とのギャップがわかり、新たな課題を発見できます。そして、次の改善活動に繋げることができるのです。

なお最適な要員で業務を運用するために、弊社ではAIを使った物量予測と最適要員計画のサービス提供を進めています。近々、人の勘と経験に頼らない運用が可能になるでしょうが標準時間を把握することはここでも同じです。今から状況を可視化する取り組みを始めてはいかがでしょう。

次回は、物流現場で目指すCS向上のためのポイントについてお話しします。

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