2015.12.21

<第3話>人時生産性の可視化のニーズと手段

ロジスティクス改善コラム ロジの素

前回は、物流現場における物量の変動と人時生産性の可視化の基本的なことを述べました。今回は、本社物流部門、物流現場、労務管理者という立場ごとの、人時生産性の可視化や改善のニーズを整理します。

人時生産性の可視化のニーズ

管理者は、「いつ(日・時)」、「誰が(能力・所属・職種)」、「どこで(どの工程で)」、「どのくらいの時間」で作業をしているか、作業したのかを可視化したいというニーズを持っています。

管理者の立場を大別すれば、例えば、「本社物流管理(あるいは、経営層)」、「物流現場管理」、「労務管理」の3つになるでしょう。

人時生産性を可視化したいというニーズは、これら3つの立場から見ると、さらに個別のニーズに展開できます。

  1. (1) 本社物流管理者(あるいは、経営者)のニーズ
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    すべての物流現場における人時生産性がわかり、物流現場に対し、適切な改善指示や運営評価をしたい。
    • ・物流現場の改善指示・コスト削減
      人時生産性の改善余地から、物流現場に対し要員数の改善を指示、コストを削減する
    • ・物流現場の運営評価・能力向上
      人時生産性の視点で各物流現場を評価し、モチベーションを高めて、ベストプラクティスに近づける
  2. (2) 物流現場管理者(物流センター長など)のニーズ
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    人時生産性のベンチマークを持ち、適切な作業員数になるようコントロールしたい。
    • ・作業員の適切な手配
      人時生産性のベンチマークより、翌日の物量に必要な作業の要員を手配する
    • ・作業員の再配置
      予定外の物量による作業の遅延が生じないように、リアルタイムに人時生産性を把握し、工程ごとに作業員を再配置する

  3. (3) 労務管理者のニーズ
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    手作業による作業時間の収集、転記、分析の負担を軽減したい。
    • ・労務管理システムとの連携
      把握した作業員別の作業時間を給与計算の基礎情報として利用することで、タイムカードを代替する
    • ・労務情報の一元管理
      点在する労務管理ドキュメント(エクセルなど)を廃止・集約することで、管理レベルを高め、人時生産性に応じた賃金への見直しを促進する

日報(紙)による記録の限界

それぞれの立場のニーズを満たし、物流現場における人時生産性を平準化するためには、まず、正しい作業時間・作業量の収集が必要です。そのために、以下の3つを実施します。

  1. 1. 収集する作業を定義する(入荷・出荷・検品・梱包・加工・5S...)
  2. 2. 定義した作業の時間を取得する
  3. 3. 定義した作業の作業量を取得する(受注件数、出荷明細数...)

このように、正しい作業時間・作業量を収集するためには、日報の記録を用いた作業時間・作業量の収集だけでは限界があることは明らかです。

人時生産性の可視化

人時生産性が「作業員1人の1時間あたりの生産能力」であることは、「物量の変動」と戦う(1)「人時生産性の可視化」で述べました。人時生産性は、ピッキング作業であれば、「物量(出荷行数)÷人時(延べピッキング作業時間)」で算出できます。これにより、物流現場における基準となる作業員数が可視化できます。

ただし、人時生産性は、一度算出すればよいというものではありません。物量は日々変動するため、人時生産性を「毎日」求め、可視化しておく必要があります。また、人時生産性は、物流現場で取り扱う物量や時間帯でもばらつくため、時間ごと、工程ごと全てを可視化する必要があります。

客観的かつ正確な作業時間の収集

可視化と改善が重要と一言でいっても、物量の正確な把握、作業時間の収集および物量の変動に応じた作業員の配置は、管理者の能力に依存し、属人化してしまうという現状があります。

作業員の人時生産性を客観的かつ正確に管理するためには、物流現場のすべての作業について

  1. 1. 誰が(どの作業員が)
  2. 2. 何を(どの作業項目を)
  3. 3. いつ(作業時間)
  4. 4. どれだけ(作業行数)

これらの実績を数値化する必要があります。休憩時間は作業外時間とし、その他の作業項目のうち、休憩時間以外の掃除などは、新たな作業項目として対象とした上でその時間を収集します。

この結果、対象とした作業項目以外の時間は、必然的に「休憩時間」または「空き(待ち)時間」となります。「空き(待ち)時間」は、定義した休憩時間を除くことで、明確に求まります。

作業実績の収集は、最小限の手間で

作業時間の収集や集計が、作業員への過度な負担となってしまっては本末転倒です。また、作業員に複雑な操作を要求するようなシステムでは、作業時間の収集や集計が定着しません。

そのため、作業者に負担を与えず作業時間が収集・集計できる仕組みが最適です。加えて、その仕組みで使う機器が、物流現場に容易に設置できればなおよいです。

例えば、セイノー情報サービスのFLabor(フレイバー)は、誰でも直感的に操作でき、容易に設置できるタブレットを用いて作業時間を収集します。

four_flabor.gif

作業時間を収集・管理する手順は、以下の通りです。

  1. 1. 作業の開始時に、作業員がICカードをタブレットにタッチ
  2. 2. 作業の終了時に、作業員がICカードをタブレットにタッチ

このように、物流現場における人時生産性の平準化は、市販の「タブレット」や「IC(NFC)カード」などで簡単に時間を収集できる仕組みが有効です。



次回は、FLabor(フレイバー)を実際に導入した物流現場の取組み事例を説明します。

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