2017.8.31
  • 物流改善

<第14話>生産性向上は、「計画」と「実績」の可視化から

ロジスティクス改善コラム ロジの素

  生産性向上は、「計画」と「実績」の可視化から
 

1. 岐阜県トラック協会 経営改善セミナーで

一般社団法人岐阜県トラック協会/同協会青年部会主催の経営改善セミナーが2017年8月22日、岐阜市にあるOKBふれあい会館で開催されました。筆者は、このセミナーの講師に招かれ、「IT活用による物流業務の可視化~生産性向上/労働時間短縮の取り組み~」と題した講演を行いました。今回はその中から、生産性向上における「計画」と「実績」の可視化の重要性について説明します。

 

2.生産性向上は、「計画」と「実績」の可視化から

 

2-1.サービス業における生産性向上の取り組み

サービス業における生産性向上は、政府の成長戦略の一環として取り組まれています。また、国土交通省や全日本トラック協会でも、生産性向上に向けた以下の取り組みを推進しています。

 ① 荷主との協力体制の推進
 ② 運賃水準の引上げに直結する方策の検討
 ③ 高速道路料金/大口・多頻度割引の恒久化

このように、国や政府機関などが一体となって生産性向上を推進しているわけですが、物流事業者各社における労働時間の短縮(運行/待機/荷役/点呼・点検)や労働条件の改善は、若年ドライバーの確保が困難となる中、また、改善基準告示をクリアするという点で、ますます重要になっています。

 

2-2.「時間当たり」という尺度・係数の取り入れ

このように政策主導/改善の枠組みは、整備できつつあるとはいえ市場原理という意味からも、やはり、生産性向上は各物流事業者の日々の取り組みが重要であることは間違いないのではないでしょうか。また、生産性向上に取り組む場合、「計画」と「実績」の可視化が必須であることに異論はないでしょう。 ここで再確認し、共有していきたいことは、「労働時間短縮という前に、まず、生産性向上ではないか?」いう点です。というのも、運送事業者の経営は長時間労働を前提に成り立ってきた事実があります。これを解決するためには、生産性向上における「計画」と「実績」の可視化に、「時間当たり」という尺度・係数を取りいれる必要があると言えます。

 

3.KPI管理とPDCA

 

3-1.KPI(Key Performance Indicator)とは

KPIは、聞き慣れた言葉にはなってきましたが、その本質や用途については、まだ、確立されていない物流事業者も多いと考えられます。KPIとは、目標達成に向けた具体的な業務プロセスの進捗を測るために設定する主要業績評価指標を言います。図1は、物流KPIの概念を示していますが、本社・管理部門と運送・倉庫(現場)では、指標・管理サイクルが異なります。また、運送・倉庫(現場)では、KPIをリアルタイムに評価することも必要になります。

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図1.KPI管理とPDCA

 

3-2.KPI管理の目的・メリット

KPIは、物流リーダーが関係者とコミュニケーションする場合の共通言語です。KPIを用いることで、数値による可視化・会話・判断ができるようになります。KPIは、社内・社外を含めた全ての関係者との共通言語であり、①問題の可視化、②コミュニケーションの向上、③合理的で公正な評価には欠かせない指標となります。また、改善の進め方とKPIの活用方法経営改善・業務改善において、KPIは必要不可欠です。

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図2.物流リーダーを取り巻く関係者                図3.KPIは共通言語

 

3-3.基本KPIと詳細KPI

KPIには、目標設定・問題検知・改善評価する「基本KPI」と、問題を検知した際に、課題を抽出するための「詳細KPI」があります。まず、現状分析における基本KPIには、目標KPIに対する実績KPIの2つがあります。これにより、それぞれのKPIのギャップを問題として検知します。その上で、基本KPIを構成する詳細KPIを分析し、課題を抽出します。また、基本KPIは、改善活動の結果、目表値に近づいたかを評価するためにも重要になります。

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図4.現状分析・改善活動における基本KPIと詳細KPIの活用


次回は、基本KPIと詳細KPIの使い方について、詳しく説明したいと思います。

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