2017.12.19

<第15話>基本KPIと詳細KPIの使い方

ロジスティクス改善コラム ロジの素

基本KPIと詳細KPIの使い方

1.基本KPIと詳細KPI(前回の再掲)

前回は、KPI管理とPDCAについて説明しました。その中で、そもそも「KPIとは」、「KPIの目的とメリット」について触れるとともに、基本KPIと詳細KPIについて、概念図(図1)を示しました。

  (1) 基本KPIの設定
     ・問題の有無や大小などに関わらず、定期的にウォッチするKPIを設定

  (2) 詳細KPIの設定
     ・基本KPIレベルで、目標と現状にギャップがあった場合に詳細KPIを設定
     ・詳細KPIを測定し原因を調査した上で、具体的な対策を実行
     ・その後、現状分析に立ち戻り、基本KPIを確認し、目標に近づいたかを評価

今回は、KPIの使い方について説明します。

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図1.現状分析・改善活動における基本KPIと詳細KPIの活用

2.物流KPIの種類

例えば、物流センター業務や輸配送業務に関するにKPIには、表1のようなものがあります。 その種類は、品質・サービス、効率、コスト、リードタイム・納期遵守など、多岐に渡ります。 当社では、物流KPIを物流センター業務/輸配送/在庫管理の観点で分け、さらに運用管理/運営管理で分類しています。そこから、品質・サービス/効率/コストなどの観点で、測定対象となるKPIを細分化することで、漏れやダブりをなくしています。


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表1.物流KPI指標例(抜粋)

3.KPIの活用を具体的な改善事例で学ぼう

それでは、物流KPIを活用した改善活動について、当社が「ITサプライ用品を販売するお客様」に提供している3PLサービス事例を通じて紹介します。

本事例で当社は、前述した「基本KPI」をいくつか設定していました。「当日入荷・当日出荷比率(スルー比率)」というKPIがその一つです。ある月にその目標値である「2%未満」を満たさない数値を検知しました。そのため、詳細KPIである「商品別の出荷頻度」や「商品別の出荷数量」、「アイテム別スルー比率」を調査した結果、一部の汎用品について、売上が増加していたにもかかわらず、受注発注品という取扱いのままになっており、当日入荷・当日出荷が頻繁に発生していることが判明しました。

この問題を解決するため、当社は、お客様と「出荷動向に合わせた在庫マネジメント」を共同で実施し、具体的には、当社の在庫適正化ソリューションを活用、商品別の需要動向を分析、可視化しました。その結果に基づき、売上が増加した商品については、受注発注品から在庫品に切り替え、基準在庫数を高く設定しました。

逆に、売上が減少した商品は、在庫品から受注発注品へ切り替え、基準在庫数を減らす改善を行い、商品の売れ行きの変化に応じた柔軟な在庫方針および基準在庫が設定できるように見直しました。 これらのチェック活動を継続することで、「当日入荷・当日出荷比率」について、異常な数値が検知されることがなくなりました。

このように、基本KPIを定期的にチェックし、問題を発見した際には速やかに詳細KPIを確認し、原因を究明することが重要になります。また原因の対策を立案・実行するだけでなく、基本KPIが目標を満たしているかに立ち戻り、確認することが大切です。

4.KPI管理を継続するために

KPI管理は、継続的に行っていくことが最も重要です。そこで、効果的なKPI管理をおこなうための手順や取組みのポイントを例示します。

 ①まず、KPIを算出するための基礎的な数値は必ず、蓄積する
 ②確認するKPIは、欲張らず、基本KPIに絞り込んだ上で、基本KPIに関連する
  詳細KPIを決める
 ③基本KPIについて、問題を検知するための閾値を決める
 ④確認した基本KPIが問題ない数値であれば、「問題はない」ときっぱり判断する

(問題がある場合は、問題の原因を探るため、詳細KPIを調査)

読者の皆様には、KPI管理というものが大変面倒なものであると感じる方もいらっしゃると思います。しかし、これまで述べた手順や考え方で取り組めば、長続きできます。まずは、自社の物流センターに合わせた基本KPIの洗い出しから始められてはいかがでしょうか。

 

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