2021.11.30

<第4話>地域物流の効果検証(改善効果)

ロジの素 物流クライシスを乗り越えるスマート物流サービス

 

地域物流の効果検証(改善効果)

当社では、物流業界の課題を解決するため、「業界の壁を超える共同輸配送(地域物流)」を検討しています。
検討にあたり、当社を含めた6社を対象に想定している運用が成り立つか、どの程度の効果が得られるのかを確認するため、実際に運用を行い検証しました。

  • ・運用が成り立つか:プロトタイプの運用テスト
  • ・どの程度効果が得られるか:効果の測定

今回は「効果の測定(結果検証をどのように行ったか、どういう結果が出たか)」について解説します。

検証時の条件・運用などの詳細は、第3話を参照ください。

 

運用実績

以下の通り検証しました。
 

集荷先と配達先

  • ・集荷先:検証に参画した岐阜県内の荷送人企業2社(A社・B社)
  • ・配達先:A社・B社の得意先の拠点(関東地域)
 

スケジュール、輸配送回数

  • ・実施期間:2020年5月~7月
  • ・輸配送回数:6回
 

検証した輸配送モデル

現行モデルと、共同輸配送を活用した新たな輸配送モデル、それぞれの実績を数値化し比較検証しました。
各モデルの詳細は、第3話を参照ください。

    ・現行モデル
  • ‐トラックの積載率に関わらず、貸切で車両を仕立てて輸送したと仮定
  • ‐算出方法:「輸送していたとしたらどうなるか」を過去実績から試算
    ・新モデル:集荷地域の集約拠点を活用した輸配送モデル
  • ‐全区間(集荷・幹線・配達)を共同輸配送
    集荷地域と配達地域、それぞれに集約拠点を設置し、届け先ごとに集約して輸配送
  • ‐算出方法:実際の輸配送から得た実績値を計測
    注意:検証対象となる貨物だけでなく、「運送事業者が独自に集荷した貨物」も実績値に含む
sip4_image1.2_3.jpg

 

効果の検証

 

算出方法

算出された数値項目と方法は、以下の通りです。
なお、検証数値は全て幹線輸送を対象としています(集荷、配達は対象外)。

  • ・パレット枚数、積載重量:今回検証時の実績値を使用
  • ・走行距離
    ‐現行モデル:地図アプリを使用し計測
    ‐新モデル:今回の検証で得た実績値を使用
  • ・走拘束時間:トラックに乗車している時間のほか、待機や休憩時間も含む
  • ・車両台数
    ‐現行モデル:受注1件につき、大型車1台(13tまたは14t)とする
    ‐新モデル:今回の検証で得た実績値を使用

輸配送結果(1回目)

図3は、6月末に実行された1回目の輸配送結果です。

    注意:パレット枚数、積載重量
  • ‐新モデル:検証対象となる貨物だけでなく、「運送事業者が独自に集荷した貨物」も含む
  • ‐現行モデル:新モデルと条件を合わせるため、「独自集荷分」の貨物量を加えて試算
   sip4_image3.gif
        
  1. 1. 積載率
    ‐パレット換算・重量換算ともに、新モデルの方が向上
    ‐特にパレット換算の場合、新モデルは積載率87.5%と満車に近い状態
  2.     
  3. 2. 拘束時間
    ‐1回の輸配送で済むため、新モデルの方が19時間10分短縮
  4.     
  5. 3. 車両台数、ドライバー人数
    ‐現行モデル(合計):3回の輸配送が発生するため、それぞれに車両とドライバーが必要
    ‐新モデル:必要リソースは1台・1名のみ

輸配送結果(全検証6回分の平均値)

図4は、全検証(輸配送6回分)の平均値です。

    注意:パレット枚数、積載重量
  • ‐新モデル:検証対象となる貨物だけでなく、「運送事業者が独自に集荷した貨物」も含む
  • ‐現行モデル:検証対象となる貨物のみで試算
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  1. 1. 積載率
    ‐新モデルの方が、パレット換算で54.5ポイント、重量換算で34.7ポイント向上
    ‐現在の国内平均(重量換算:約40%)と比べても、新モデル(重量換算)の方が約12ポイント向上
  2.     
  3. 2. 拘束時間
    ‐新モデルの方が、1時間53分短縮(効果:-18.2%)

 

考察:期待できる効果と課題

・幹線輸送の積載率向上
‐積載率を勘案した計画、及び共同輸配送により積載率が向上
‐但し、貨物の「上積み条件」などで変化するため、運用を通じた更なる検証が必要
・幹線輸送ドライバーの拘束時間の抑制
‐集荷・幹線・配達に分割することで、幹線輸送ドライバーの拘束時間を抑制
‐労働環境が改善されることで、ドライバー不足の解消に貢献
・必要なリソース(車両、ドライバー)の適正化
‐輸配送結果(1回目)の通り、輸送方面が同じであれば、必要リソース(車両、ドライバー)の抑制が可能
‐トラック輸送における需給ギャップが解消され、荷主企業における輸送力の安定確保に貢献
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まとめ

今回の検証を通じて、共同輸配送(地域物流)による2つの期待効果が認められました。

  • ・低迷が続く積載率の向上(効果:重量換算で4,573kg増、34.7ポイント改善)
  • ・幹線輸送ドライバーの拘束時間を抑制(効果:-1時間53分抑制、18.2ポイント改善)

共同輸配送(地域物流)の取り組みにより、以下の物流課題を解決することも可能です。

  • ・リソース(車両、ドライバー)の適正化により、トラック輸送の需給ギャップを解消
  • ・労働環境の改善により、ドライバー不足を解消

しかし、共同輸配送による課題解決は、より多くの企業に受け入れられて初めて達成できます。
今回検証したモデル=「プロトタイプ」が多数の企業で適用可能か、また共同輸配送のニーズがどの程度あるか、
が成功に向けての重要なポイントです。
次回は、プロトタイプの運用テスト結果と、アンケート調査の結果について解説します。
共同輸配送への参画に興味をお持ちの方は、ぜひご一読ください。


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