2021.5.21

<第1話>要員計画の新しい手法「PSI&R」

ロジの素 PSI&Rを活用した予測行動型の要員計画

 

要員計画の新しい手法「PSI&R」

 

PSI&Rとは

「第3回 ロジスティクスPSIとは」 でお話した「PSI」は、日本では製造在庫計画とも言われる在庫管理手法です。


PSIとは、プロダクション(Production:生産)、セールス(Sales:販売計画)、インベントリー(Inventory:在庫)の3つの情報を活用して、製品・原材料の生産・販売・在庫の計画を調整する業務手法です。 これは、生産管理の手法として培われ、生産や発注の意思決定に用いられる管理概念となっています。
今回ご紹介するPSI&R は、このPSIの考え方を基本に、在庫(Inventory:インベントリー)に要員(Resource:リソース)の要素を加えて、要員の業務量を予測して未来の要員計画を最適化する手法です(図1)。
当社は、この手法をビジネス・プロセス・アウトソーシングサービス(以下、BPOサービス)の中核であるマネジメントセンターに適用しています。

psi_and_r_image1.png

(図1 PSI&R)

 

セイノー情報サービスのマネジメントセンターのご紹介

当社のマネジメントセンターは、物流のプランニング・コスト管理・品質管理・進捗管理・コールセンターと、これらの活動から生じるKPIをベースにしたPDCA管理の6つのBPOサービスを提供しています(図2)。
マネジメント規模は90ユーザー、業務数100業務、1日の取り扱い件数は20,000件、月間運用時間は13,000時間です。

マネジメントセンターでは、PSI&Rを活用して運用時間の短縮、すなわち生産性の向上や費用の適正化にチャレンジしています。

PSR(図2)MGC.png

(図2 マネジメントセンターの概要)

 

PSI&Rを活用した要員計画

PSIはインベントリー(在庫)とリソース(トラックドライバーや倉庫作業員など)を最適化するために、未来在庫(なにを、いつ、いくつ作るか)を予測します。
PSI&R では、未来在庫と未来要員(だれを、いつ、どれだけ割り当てるか)を最適化するために、未来の業務処理件数(以下、処理件数)を予測します。

PSI&Rを活用した要員計画は、図3に示した流れで進めます。

  1. 1. 過去の処理件数と顧客からのイベント情報をもとに、日別の処理件数を予測する
  2. 2. 処理件数について、顧客と調整する
  3. 3. 処理件数に1件当たりの処理時間をかけ、日別の工数を算出する
  4. 4. スキルマップを参照しながら、要員をアサインする
PSR(図3)PSRフロー.png

(図3 PSI&Rを活用した要員計画の流れ)


1. 過去の処理件数と顧客からのイベント情報をもとに、日別の処理件数を予測する

イベント情報とは、「今年はこの時期にキャンペーンを行うため、特別に件数が増える」など、過去の処理件数には表れにくい情報のことです。これらの情報を加味することで、予測の精度を高めます。


2. 処理件数について、顧客と調整する

処理件数を平準化(山崩し・谷埋め)するため、顧客と納期などの調整を行います。
顧客におけるキャンペーンなどのイベントにより、1日の処理件数が過去の平均を大幅に超えることがあります。例えば、顧客と「通常は翌日中に処理するが、今回は翌々日までとする」などの調整を行います。 調整における重要なポイントは、予め顧客との間でサービスレベルを合意しておくことです。


3. 処理件数に1件当たりの処理時間をかけ、日別の工数を算出する

処理時間とは、1件の処理に本来かけるべき時間のことです。
実際の作業時間を測定し、目標とする生産性を達成できる時間に調整します(※1)。


4. スキルマップを参照しながら、日別の要員をアサインする

各要員のスキルと生産性からなる当社独自のスキルマップを用い、日別の予測工数に対して要員をアサインします。これをベースに業務の割り当てを行います。

この流れを毎日繰り返すことで、処理件数の予測やアサイン調整の精度を高めていきます。その結果、処理件数に応じた適切な要員計画が可能となり、結果として生産性の向上が期待できるのです。

当社では実際にPSI&Rを活用した要員計画を行っています。
生産性向上や費用適正化だけではなく、予測処理件数が可視化されることで、計画的な休暇の取得ができるようになるなど、働き方改革にも貢献します。

次回は、当社での活用事例について詳しくご紹介します。



※1 当社では、実際の処理時間を測定するために、ソリューションFLabor(フレイバー)を活用しています。


※作業印管理 FLaborの詳細はこちら

※FLaborを活用した生産性を向上させる取り組みはこちら

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