――トラック輸送における状況に「輸送効率の低下」があり、1回の輸送でトラックが積んでいる物量は、容積にすると50%ぐらいだと聞ききました。これは、どういう要因から生じていることでしょうか。 貨物数が増加する中、輸送効率を示す指標である「ロードファクター*1」は、1990年の58.9%から2017年には40.9%に低下し続けています。 *1:ロードファクター=実車効率(実車走行距離/総走行距離)×実車時積載率(重量ベース) この間、実車率は上昇傾向にあるのに対して、輸送効率は低下傾向にあるのです。 輸送効率低下の要因として、インターネット通販に代表されるECの普及・進展による「貨物輸送の多頻度・小口化」、「時間指定のある貨物の増加」が挙げられています。 輸送効率は、荷主と物流事業者間での車両や貨物の情報共有・連携で高めることができます。 一方、「働き方改革」の流れがある中、就労環境の是正、労務規定の遵守も求められています。 これらの課題解決は、物流事業者単体では解決できません。荷主と物流事業者の協力による商慣習や運送条件の見直し・連携が必須と言えるでしょう。
――輸送効率を高める試み、取り組みはしているのでしょうか。 エアラインやホテルといった旅客事業では、例えば、「1ヶ月前にオーダーしてくれれば料金を安くします」という「早割」施策を採用して、需要を平準化しています。 物流において、日ごとの物量の差をなくし均等にすることは、トラック輸送に必要となるリソース(車両、ドライバー)の活用の平準化につながり、「輸送効率の向上」に貢献するものとして社会的な期待が高いと言えます。 弊社ではダイナミックプライシングという、AIを使って最適化していく試みを行っています。物流の標準化、ひいては、より妥当な運賃を選択できるとか、そういった方向に進められるように、IBMのワトソンを使って取り組んでいます。 Big Data、Robot、それからAI、IoT、Sharingの頭文字をとってBRAIS(ブライス)と呼んでいます。 シェアリングというのは、例えば、輸送効率を上げるために、Aという荷主さんの貨物と、Bという荷主さんの貨物を抱き合わせて相乗りにするといったことです。 次に、BRAISの詳細な取り組み例についてお話しします