2019.7.23

<第3話>ロボット・AI

ロジの素 物流課題の解決に向けた最新技術「BRAIS」の取り組み

――BRAISという取組みの詳細について、お聞かせください。

BRAISという言葉は、2017年11月の弊社ユーザーフォーラムで発表しました。

BRAISの「B」はBigDataです。BigDataはデータの塊です。物流で取り扱うデータは、例えば「どこからどこへ」「何をいくつ」「どのような荷姿で運ぶか」等です。
物流の高度化のためには、これらのデータを集積し、情報化、更に知識化していく取り組みが必要です。この取り組みでは、お客様に対して「これまでのやり方を変え、こういう物流をやると、サービス向上につながる」とか、「今までの運び方を見直し、それとは違う運び方をすれば、コスト優位になる」といった提言に結びつくことを狙っています。

弊社では、これまで業務で発生するデータは一定の保存期間を経て廃棄していました。現在ではデータの蓄積コストは飛躍的に安くなっており、2018年からは廃棄しない方針に転換しています。


――次に、ロボットについてお聞かせください。

人間が行なっている作業は、物流ロボットや事務ロボット(RPA)に代替させ、省人化します。
弊社はロボットを作っているわけではありません。ロボットを物流現場のオペレーションに適応させるためのマネジメントシステム(以下、RMS(ロボットマネジメントシステム))の構築に力を入れています。

RMSは複数のロボットを管理するソフトウェアです。具体的には、倉庫管理システムとロボットを連携するAPIを使って、「どこから、どこへ何を運びなさい」といった指示を、複数のロボットに与え、複合的に管理するものです。
倉庫内作業を例にすると、ピッキングリストには、指定された商品のロケーション情報が記載されています。ロボットは自らのポジションを認識して、指定された商品のロケーションまで走行します。走行は「右に回れ」「左に回れ」といったコマンド命令によって車輪が駆動することで実現します。

今後、RMSとの連携が実証済みのロボット(デバイス)を増やしていこうと考えています。
現在、西濃運輸グループでもロボット活用の検証を行なっています。最終的に、ロボットが人間と同じことをできるようになったとき、人の時給より安くロボットを導入できるようになります。

RMSのビジネスは2つあります。ひとつは、お客様にRMSを販売するビジネスです。もうひとつは、RMSを取り入れた業務クラウドのビジネスです。


Robot5.jpg

        図3 RMSイメージ



――次に、AIについてお聞かせください。

AIは、トラック貨物輸送における「画像認識を使った貨物情報の取得」や「ダイナミックプライシング」への活用が見込まれます。
まず、画像認識を使った貨物情報の取得のためにトラックの荷台の内側に360度カメラを設置して積載状態を撮影します。次に、撮影した400~500枚ほどの写真をAIにディープラーニングさせます。
その結果、「この画像の場合は積載率25%」とか「これなら積載率100%」ということが判断できるようになります。25~100%まで4つの分類器をつくることで、運送依頼を受付たとき、対象となるトラックの輸送効率を見て、「まだ積み増しできる」「大阪発の東京行きのトラック輸送効率は75%だから、名古屋で25%を積み増しできる」といった即時判断ができます。

弊社は、2018年のIBMユーザーシンポジウム広島大会で、これらのWatsonを活用した取り組みを論じた論文を発表し、IBMソリューション賞と金賞、銀賞を受賞し、翌年の沖縄大会では銅賞を獲得しています。
また、「Watson Build2018」では、日本チャンピオンになり、世界大会(サンフランシスコ開催)にも参加し、ダイナミックプライシングについて発表しています。

政府は「物流生産性革命」を掲げ、経済産業省では、「スマート物流サービス」のプロジェクトが立ち上がっています。
物流は、買い手と売り手の間で商取引が行われることにより発生します。物流で取り扱う貨物(商品)は、買い手から売り手への発注により売り手が受注することで決まります。従って、物流は買い手の発注情報を物流事業者にも提供できれば車両や作業員の事前計画が可能となり、効率化されます。
これらの業務プロセスへのAIの活用が期待されます。具体的には、輸送料金について閑散期は安く、需要期は高く設定するなど、ダイナミックプライシングを起爆剤に、物流の平準化(山崩し)ができないか模索しています。
ダイナミックプライシングは参加者が多ければ多いほど成り立つわけですが、参加者が少ないと成り立ちません。ですから、一民間企業がやるような話ではないとも言えるわけです。
いま天気予報は、1時間ごとに変わっています。同じように運賃が変動する中で、例えば西濃運輸という物流事業者が、荷主が持つ販売・生産・出荷計画を共有できれば、サプライチェーン全体の効率性を高められます。荷主から物流事業者への物流予約情報の発信(内示)により、物流事業者は、荷主が作成する出荷計画を早期に共有化でき、物量の平準化によるリソース(車両、ドライバー)の活用の平準化が実現できます。荷主は、物流事業者へ物流予約情報を発信することで、輸送料金が安く抑えられるというインセンティブが得られます。

記事一覧に戻る

メルマガ登録

導入事例や新しいソリューション情報など、メルマガ会員限定で先行案内しています。

登録はこちら
CONTACT

お問い合わせ

サービスに関するご相談、資料請求は
以下よりお気軽にお問い合わせください