2026.1.15

物流法改正とは?目的や背景、荷主のメリットを解説

知らないと困る物流法改正

 

物流業界では、ドライバー不足や高齢化、輸送コストの上昇など、荷主企業にも影響する課題が顕在化しています。特に、働き方改革関連法による長時間労働の上限規制が適用される「2024年問題」への対応も、規模を問わず急務となっています。
この記事では、荷主企業の視点から現状課題と、それに対応する物流法改正の目的・背景、さらに荷主企業が得られる効果について整理します。物流やサプライチェーンの管理を担当する方は、今後の対応の参考にしてください。

 

目次

  1. 1. 物流業界を取り巻く現状の課題

  2. 2. 物流法改正の目的・狙いと課題解決への対応

  3. 3. 物流法改正の背景

  4. 4. 物流法改正による荷主企業への期待・効果

  5. 5. まとめ


 

物流業界を取り巻く現状の課題

物流は私たちの生活や経済活動を支える重要な社会インフラであり、商品の安定供給や消費者サービスの維持に欠かせません。しかし現在、輸送力の不足やドライバーの高齢化・人手不足、労働時間規制の強化、環境負荷の増大など、物流業界でさまざまな課題が表面化しています。これらの課題は、企業の納期管理や商品の安定供給に影響を及ぼす可能性があります。ここでは、押さえておきたい物流業界の5つの主要課題について解説します。

2024年問題による労働時間規制と輸送力への影響

「2024年問題」とは、働き方改革関連法に伴う労働基準法の改正により、トラックドライバーにも時間外労働の上限規制が適用されることで、現場の運行体制や輸送力に影響が生じることが懸念される状況を指します。
長時間労働の是正や適正な労務管理が求められる一方で、従来の運行体制では必要な輸送量を確保することが難しくなり、輸送力不足や配送計画の見直しが避けられないケースもあります。

労働時間規制


トラックドライバーの高齢化と人手不足

物流現場ではトラックドライバーの高齢化と人手不足が深刻です。負荷の高い業務や就業希望者の減少、女性ドライバーの少なさ、少子化による免許取得者の減少などが人材確保の障壁となっています。また、普通免許で運転可能な車両区分の変更や高齢ドライバーの引退増も影響しています。

燃料費・人件費上昇による輸送コストの増大

燃料費や人件費の上昇は、運送事業者だけでなく荷主企業にも影響します。燃料価格は国際情勢や産油国の動向によって高止まりする傾向があり、加えて、働き方改革に伴う労働時間規制への対応によってドライバーの人件費が増加しています。さらに、車両維持費や保険料の上昇も重なり、多くの運送事業者は運賃の見直しを余儀なくされています。その結果、物流コスト全体が上昇し、荷主企業の支払い負担や消費者への価格にも影響が及ぶことがあります。

脱炭素化に向けた環境対応の強化

脱炭素社会の実現に向け、物流業界でも環境負荷低減の取り組みが求められています。特にトラック輸送はCO₂排出量が多く、EV(電気自動車)・FCV(燃料電池車)トラックの導入や鉄道・船舶へのモーダルシフト、積載効率の改善など、計画的な対応が必要です。こうした取り組みは、環境規制への対応だけでなく、物流コスト削減や企業競争力の維持にもつながります。

自然災害による物流網寸断リスクとBCPの重要性

地震、台風、豪雨などの自然災害は、道路・鉄道・港湾などの物流インフラに被害を与え、物流網を寸断する可能性があります。しかし、事前に事業継続計画(BCP)を策定し、代替ルートや代替拠点の確保、在庫配置の見直しなどの対策を講じることで、被害の影響を最小限に抑えることが可能です。

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物流法改正の目的・狙いと課題解決への対応

物流法改正は、物流業界が直面する課題に対応するため、荷主企業と物流事業者の役割を明確化し取引の透明化や業務効率化、働きやすい環境整備を進めることを目的としています。これにより、業界全体の安定運営や輸送力不足への対応が期待されます。主に以下の法律が改正されています。



物流効率化法(流通業務総合効率化法)


国土交通省が中心となり、荷主企業や物流事業者から寄せられた現場の課題を踏まえて改正されました。
主な内容:

  • 取引慣行の是正:荷主企業と物流事業者間の不合理な慣行を改善

  • 物流効率の向上:荷待ち・荷役時間の短縮や積載効率の改善により輸送力不足を緩和

  • コスト適正化:適正運賃へのシフトで物流労働力の安定的な確保


道路運送法(貨物自動車運送事業法、貨物利用運送事業法)


国土交通省が中心となり、運送事業者の管理体制強化と契約の透明化を目的として改正されました。
主な内容:

  • 契約・運行体制の透明化:契約内容の書面化や再委託管理の徹底

  • 働きやすい環境の整備:ドライバーの過重労働を抑制し、安全な運行を確保

  • 安定した輸送サービスの確保:荷主企業が長期的に安定した物流サービスを利用できる体制を整備


補足:下請代金支払遅延等防止法(下請法)


下請法は物流法ではありませんが、元請企業による下請事業者への不当な代金減額や支払遅延を防止する法律です。物流においても、荷主企業と運送事業者の間で適正な契約・支払管理を行うことが求められるため、物流法改正と併せて理解しておくと、効率的かつ公正な取引環境の構築に役立ちます。


 

物流法改正の背景

物流法改正は、単なる法制度の更新ではなく、長年続く物流業界の構造的課題や社会的要請に対応するために行われました。主な背景は以下の通りです。

  • 慢性的な輸送力不足と労働環境の課題
    トラックドライバーの高齢化や人手不足、労働時間規制の強化により、必要な輸送力の確保が難しくなっています。その結果、荷待ちや過重労働が発生しやすく、現場の効率化や働きやすい環境の整備が急務となっています。

  • 不合理な取引慣行と物流コストの増加
    長年の商慣行として、荷主企業が運賃を低く抑える一方で、運送事業者が過剰な荷待ちや荷役作業を強いられるケースが見られました。こうした慣行は、物流効率を低下させるだけでなく、事業者の経営や労働環境にも悪影響を及ぼしていました。

  • 社会的要請と安全・環境への対応
    輸送事故や違法運行、過重労働は社会的信頼の低下につながります。また、脱炭素化や環境規制への対応も求められており、自然災害による物流網寸断リスクへの備えやBCPの重要性も高まっています。


これらの状況を踏まえ、国土交通省は荷主企業と運送事業者双方の役割を明確化し、取引の透明性と物流効率の向上を図ることを目的に改正を実施しました。


 

物流法改正による荷主企業への期待・効果

物流法改正により、荷主企業は物流効率化とリスク低減の両面での効果が期待されます。主なポイントは以下の通りです。

  • 荷待ち・荷役時間の短縮による効率化
    契約書面化や委託管理の強化により、運送事業者に過剰な荷待ちや荷役が減少します。その結果、納期遵守率が向上し、在庫過不足リスクを抑えつつ、物流コストの最適化が可能となります。

  • 安定した輸送サービスの確保
    契約の透明化と適正運賃の確保により、長期的に安定した輸送サービスを利用できるようになります。調達・生産・販売計画の精度向上や顧客満足度向上にもつながります。

  • 取引の透明化によるリスク低減
    書面契約や再委託管理を徹底することで、運送事業者の体制や実績・実態が明確になり、過重労働や違法運行による事故リスクを低減できます。また、信頼できる取引先との物流体制を構築することも可能です。

  • 持続可能な物流体制への対応
    積載効率の改善や配送計画の最適化により、環境負荷を低減できます。また、災害時の代替ルートの確保やBCP策定も促進され、社会的責任を果たしながら物流網の安定性を高めることが可能です。


 

まとめ

物流法改正は、ドライバー不足や過重労働、物流コストの増大といった物流業界の課題に対し、荷主企業と運送事業者の役割を明確化し、契約の透明化や適正化を進める仕組みです。これにより、荷待ちや荷役時間の短縮、納期遵守率の向上、在庫過不足リスクの低減といった実務面の改善が期待されます。また、安定した輸送サービスの確保、信頼性の高い取引先との物流体制構築、環境負荷の低減や災害時のリスク対策など、社会的側面での効果も得られます。荷主企業が法改正の内容を積極的に活用することで、効率的かつ持続可能な物流体制を構築できるでしょう。

物流改善について何かお困りごとなどありましたら、お気軽にお問い合わせください。


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このコラムの監修者
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セイノー情報サービスは400社以上へのWMS導入を通して培った物流ノウハウをもとに、お客様の戦略立案や物流改善をご支援しています。
当コラムは、経験豊富なコンサルタントやロジスティクス経営士物流技術管理士などの資格を持った社員が監修しています。
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