「この前も説明したのに、また同じことを聞かれた……」
そんながっかりするような経験、一度や二度じゃないですよね。
丁寧に教えたつもりなのに、翌日にはすっかり忘れられている。
物流現場で指導する立場になると、この「また聞かれる問題」は地味に疲れます。
「メモを取ってください」が言えない、通じない悩み
物流現場で働くパートさんやアルバイトさんは、年齢も経験もバラバラです。
若手社員の立場からは、「忘れるならメモを取ってほしい」と思うのが本音ですが、実際には「メモを取る場所がない」「手が塞がっている」「そもそもメモを取る習慣がない」といった理由で、なかなか浸透しないのが現実ではないでしょうか。
上司からは「もっと教育を徹底してミスを減らせ」と発破をかけられる一方で、現場の皆さんは何度も同じことを教えなければならず、自分の教え方が悪いのかなと悩んでしまうこともあるでしょう。
「メモさえ取ってくれていれば……」と、つい相手の記憶に頼りたくなりますが、実はここに、物流現場ならではの問題が隠されています。
なぜメモを取っても解決しないのか
物流の現場は、常に動き回る「動」の空間です。デスクワークのようにじっくりメモを見返す時間はほとんどありませんし、軍手をしていたりハンディターミナルを持っていたりすると、小さなメモ帳を取り出すこと自体に無理があります。
さらに自発的にメモを確認しなければならない運用は、ミスを誘発する「属人化」した業務と言えます。
つまり、教えてもすぐ忘れてしまうのは教えられる側のやる気や能力の問題ではなく、現場の環境が「覚えること」を前提にしているからなのです。
記憶に頼らない「目に飛び込む改善」のすすめ
この問題を解決するためには、まず「相手がメモを取る」という期待を一度手放し、現場そのものを「メモ代わり」にする工夫から始めてみましょう。
最も効果的なのは、作業者の視線の先に写真やイラストを多用した「一目でわかる掲示物」を貼ることです。
文字ばかりのマニュアルではいけません。
例えば「バンド1束=1個」といった直感的に判断できる写真と案内を商品棚に大きく掲示するだけで、ミスや質問の回数は減ります。
また、皆さんのメモを集めてひとつにまとめ、「みんなのカンペ」をそれぞれの作業場に貼るのも有効な手段です。
さらに、ハンディターミナルの画面に注意喚起を表示するなど、ITの力を少しずつ借りることで、誰もが「考えなくても間違えない」環境を作ることができます。
教育とは、相手に覚えさせることではなく、相手が迷わずに済む環境を整えることだと捉え直すと、現場の空気は驚くほど軽やかになります。
「教える」から「支える」へと視点を変えるだけで、あなた自身の負担もぐっと減り、現場の皆さんとの絆も深まっていくはずです。
小さな掲示ひとつから始まる改善が、いつか大きな効率化へとつながる第一歩になります。
まずは隣のベテランさんと一緒に「どこに貼れば見やすいかな?」と相談することから始めてみませんか。



