物流現場で長年働くシニアスタッフは、経験に裏打ちされた“勘とノウハウ”を持っています。倉庫内の効率的な回し方、トラブル時の臨機応変な対応、荷物の扱い方のちょっとしたコツ…。若手には理解しづらい、でも現場運営に欠かせない知識です。
しかし、この知識や技術は紙やマニュアルにはほとんど残っておらず、口頭で伝えられるだけでは、退職や異動であっという間に消えてしまいます。
「このままではいざというとき困る…」と感じつつも、日々の運用に追われて改善まで手が回らないのがマネージャーの現実です。
そこで今回は、シニア層のノウハウを残し、現場改善につなげる方法を考えてみましょう。
シニア層の勘とノウハウは宝の山
長年働くスタッフには、効率アップやトラブル回避の知恵が詰まっています。
たとえば、特定の荷主の季節的な荷物量の変動に応じてピッキング順序や作業手順を調整するコツや、梱包形態の違いに応じた扱い方の工夫など。
こうした知恵は日常的に自然と溜めるため、本人も気づかないまま現場を支えています。マネージャーとしては「なぜこの手順が効率的なのか」「なぜこの作業を優先しているのか」を理解することが、改善策を考える第一歩です。
経験値のあるスタッフの言動を観察し、ノウハウの核を押さえることが大切です。
見える化の工夫で知恵の共有を進める
口頭だけで伝えられる知識は、どうしても属人的になりがちです。
そこで、写真や動画で作業手順を記録したり、チェックリストや手順書にまとめたりすることで、誰でも再現できる形にすることが重要です。
たとえば、荷物のピッキング順序を短い動画で残しておくだけでも、作業効率が劇的に変わることがあります。
また、トラブル発生時の対応手順や、荷崩れ防止のちょっとした工夫も記録しておくと、若手スタッフが安心して作業に臨めます。
「言わなくてもできる」状態を作ることが、現場全体の安定運用につながります。
若手と組ませて自然に継承する
シニアのノウハウを残すだけでなく、若手スタッフとペアで作業することも効果的です。単なる手順書では伝わらない感覚や判断基準まで、実際の作業の中で教えることができます。
また、ペア作業の中で若手が質問することで、シニア自身も自分の作業を振り返るきっかけになります。このプロセスを繰り返すことで、見えていなかった技術が自然に可視化され、チーム全体の知識として広がります。また、シニアにとっても、自分の経験が組織に残ることでモチベーションの維持につながります。
小さな改善の積み重ねが現場の安心につながる
現場改善は一度に大きく進める必要はありません。まずは、シニアの知識を整理し、見える化して共有することから始めましょう!
長年培われた経験を「残す」「活かす」ことが、マネージャーにとって最も大きな現場改善の一歩なのです。




