社内のIT部門にいると、毎日のように耳にするフレーズがあります。
「画面がフリーズした」
「ネットワークにつながらない」
「プリンターが動かない」
「電源が入らない」
電話を取ったが最後、「ついでにこの設定も…」と話が広がって、気づけば午前中が終わっていることもしばしば。
気づけばなんでも屋。頼られすぎるIT担当の日常
「ネットワークにつながらない」と言われて駆けつけてみたら、原因はLANケーブルの抜け。
「印刷できない」と呼ばれて確認したら、印刷ジョブが溜まっていただけ。
そんなあるあるが日常茶飯事です。
それでも、相手は焦っているし、こちらも放っておけません。
「今どんな状態ですか?」
「画面キャプチャを送ってもらえますか?」
優しく対応しているうちに、本来の業務はどんどん後回し。
気づけば、トラブル処理専門チームのような毎日です。
それでも最後には、「大丈夫ですか?」「今開けそうですか?」と声をかけてしまう…
困っている人を助けたい気持ちは、IT部門の性(さが)ですね。
IT担当の本来の仕事を取り戻すために
本来、IT部門の仕事はシステム企画やセキュリティ強化、業務効率化など、もっと上流の領域です。
パスワードリセットの対応ばかりしていると、「私、何のためにここにいるんだろう」と思う瞬間もあります。
でも見方を変えれば、それだけ多くの人がITを使って仕事している証拠。
裏方として「業務が止まらない環境」を支えているのも、ちゃんとした価値提供なんですよね。
とはいえ、できることならパスワード係は卒業したい。
毎回同じ質問に答えるより、「そもそも困らない仕組み」を作りたいんです。
社員がIT部門に問い合わせる前に、自分で解決できる仕組みを整えることが大切です。
たとえば、マニュアルやFAQをもっと使いやすく整え、それを仕組みとして自動化すれば、よくある質問は自然に解決できます。
「Excelがフリーズした!」→タスクマネージャーで強制終了してください
「タスクマネージャーって何?」→ Ctrl+Alt+Deleteを押すと出ます
そんな具体的な手順を分かりやすく示すだけでも、問い合わせの多くは減らせます。IT部門の時間を奪う定番トラブルこそ、自動化や仕組み化のチャンスなんです。
今日も鳴る、内線電話
そうはいっても、今日もまた電話が鳴ります。
「すみません、パスワード3回間違えてしまって…」
聞き慣れたフレーズに、ひとつ深呼吸。そして笑顔で答えるのです。
「大丈夫ですよ、すぐリセットしますね」
心の中では、そっと祈りながら。
「このやり取り、早く自動化されますように」



