2023.10.13

<第1話>配送計画とは?荷主企業における重要性や2024年問題の影響を解説

基礎から解説~輸配送管理~

 

配送計画は、輸送や納期などの物流品質や配送コストを維持・向上させるために大変重要です。
当コラムでは、配送計画の定義や課題といった基礎知識、2024年問題の影響、解決の方向性などを網羅的に分かりやすく解説します。
「配送計画業務に課題は感じていない」という方も、今後起こりうる課題(2024年問題)への対策として今回ご紹介する方法を検討されてはいかがでしょうか。

 

目次

  1. 1. 効率的なトラック輸送を支える「配送計画」

  2. 2. 配送計画はコスト適正化、物流品質向上のキーポイント

  3. 3. 配送計画の課題

  4. 4. 2024年問題で今の物流品質・コストが維持しづらくなる

  5. 5. 解決の方向性:システム化、アウトソーシング

  6. 6. まとめ

 

コラムのポイント

  • ・今さら聞けない「配送計画」の基礎知識
  • ・配送計画業務と配車業務の違い
  • ・2024年問題の対策にもなる「アウトソーシング」という新たな可能性
 

効率的なトラック輸送を支える「配送計画」

配送計画とはモノの運び方に関する計画です。
具体的には「どの荷物を、どこに、どの輸送モードで、どの事業者に依頼して運ぶか」を決めます。受注した商品を顧客に納品する時はもちろん、拠点間の在庫移動など企業がモノを輸送する時にも行われています。

モノを運ぶには、多くの「条件」が発生します。 例えば温度帯など輸送するモノに紐づく条件、軒先(のきさき)条件や周辺の道路状況など集荷・配達先に紐づく条件などがあります。
配送計画の担当者には、複雑に絡み合う多くの条件が可能な限り満たされるよう、輸送モードや委託する輸送事業者を選定することが求められており、非常に高度なスキルを必要とする業務であると言えます。

※輸送モード
モノを輸送する際の輸送手段のこと
一般的に活用されているのはトラック輸送、鉄道輸送、航空輸送、船舶輸送の4種類

※軒先条件
集荷・配達時の場所や時間、車両制限、荷物の取扱い方法や荷役に関する細かな取り決め

 

配送計画業務と配車業務の違い

配車業務とはトラックで荷物を輸送する場合に行われる業務で、「どの車両で、どの荷物を運ぶか」を決めることです。 担当者は「配車係」と呼ばれており、運送会社はもちろん、その他の業種でも自社でトラックを所有し配送を行っている企業では行われています。

「配車」は、「配送計画」の後に行う業務です。
配送計画が作成され、その中で「トラック輸送」となった分について「配車」が行われます。
配送を委託しているのであれば荷主企業が配送計画を立て、配送を請け負った運送事業者が配車を行います。

このように2つの業務は厳密に言うと異なる業務ですが、配車を含めて「配送計画」と言われることもあります。

配送計画業務と配車業務の違い


 

配送計画はコスト適正化、物流品質向上のキーポイント

配送計画が目指すのは、数々の「条件」を満たしつつもムダなコストが発生しないよう、条件とコストのバランスが保たれている状態です。

「条件」は受け取り側(顧客)との「約束」

輸送に際して発生する条件のうち、納品条件や軒先条件の一部は発送側と受け取り側(顧客)の「約束」とも言えます。 この約束は契約書に記載されているものから現場で暗黙のルールとなっているものまで様々ありますが、どれも守るべきものであり、 顧客にとっては「商品・サービスの一環」です。 「約束」を確実に守り続けると顧客満足度が向上し、取引の維持・拡大に貢献できます。

 

配送上のムダを無くしコストを適正化

しかし「条件」を満たせればどう運んでも良い、というわけではありません。コストの観点も必要です。
例えば配達先の場所が近い荷物を積み合わせて輸送することでムダな走行が抑制され、配送コストの適正化につながります。営業部門など顧客に近い立場だとどうしても「条件」を最優先にしたくなりますが、企業が利益を確保するという観点では、配送コスト(経費)を意識して運び方を考えることは必要不可欠です。



 

配送計画の課題

顧客満足度の向上やコスト適正化といった観点から、配送計画は企業にとって大変重要です。
多くの企業が最適化を望む一方、2つの大きな課題に悩まされてもいます。

配送計画業務の課題

最適解を出すのが難しい

「納品リードタイムが大変短いため、航空輸送するしかない」
「納品日の指定が無ければ、積み合わせ貸切や共同配送を利用してコストが抑制できるのに…」
どの企業でも少なからず、「条件」を優先するが故に最適解(コストとのバランスを取る)ことができない場合もあります。

また最適化を目指す以前に、条件の多さや複雑さから計画すること自体が大変難しいという課題もあります。
高度なスキルが必要となるため長年にわたって同じ人が配送計画業務を担当することも多いようですが、そういった状況では「属人化」という新たな課題を生んでしまいます。


属人化しやすい

配送計画業務は属人化しやすい傾向にあります。
彼ら(熟練担当者)は彼らなりの経験やルールに基づいて運び方を決めます。 そのルールや計画時のコツは彼らの頭の中にしかないため、代わりがききません。 急な配送でも依頼できる運送事業者を知っている・交渉力がある、という点でも熟練者を頼りがちです。

しかし属人化していると様々な問題が発生してしまうため、熟練担当者に頼れるうちに解消しておくべき課題です。

  • ・適正な評価や改善活動が行いづらい
  • ・熟練者の持つ情報や経験値を会社としてノウハウ化しづらい
  • ・代理対応が難しく担当者の負荷が増大
  • ・後継者を育成しづらい


 

2024年問題で今の物流品質・コストが維持しづらくなる

配送計画の最適化を妨げるのは、先の2つの課題だけではありません。
2024年問題によっても大きな影響を受け、物流品質やコストを現状のまま維持できない可能性があります。

2024年問題とは、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(通称、働き方改革関連法)」によって労働時間が規制されることで発生する諸問題の総称です。法改正によって時間外労働に上限が設けられ、勤務間インターバル制度が導入されます。それらの影響によって1日に走行可能な距離が短くなり、取り扱える物量が減ることから、納品リードタイムが長期化し、運送会社の人件費や運営コストが増加して運賃が値上がりする可能性を秘めています。

今まで物流品質や配送コストは熟練担当者の人脈やノウハウによる精度の高い配送計画に支えられてきました。しかし上記の通り2024年問題の影響から品質低下、コスト上昇が懸念されます。今後、配送計画は品質・コストを維持するのにより重要な業務になってくると考えられます。

関連コラム: 物流の2024年問題とは?荷主企業への影響をやさしく解説

2024年問題が配送に及ぼす影響


 

解決の方向性:システム化、アウトソース

配送計画に関わるこれら諸問題を解決するための方向性は、大きくは2つに分けられます。

  • ・システムを活用し、より精度の高い配送計画を誰でも作成できるようにする
  • ・配送計画業務をアウトソースし、プロの知見を取り入れつつ最適化を図る

 

システムの活用

精度向上、属人化の解消にはシステム化が大変有効です。


配送計画業務のシステム化

配車業務におけるシステム活用はよく聞きますが、前工程である配送計画にもシステムを活用することで、 配送計画業務全体が最適化できます。

配送計画を作成するためのシステムでは「いつ・どの拠点から出荷するのか、どの輸送モードで運ぶか・どの事業者に依頼するか」を決めていきます。納品日など様々な条件を加味しながらコストをミニマムにする計画を立てるには、計画作成機能だけではなく、各種条件を含めた情報を一元管理できる機能も必要です。従来、輸送にかかる条件や周辺の交通状況に関する知識の多くは担当者の頭の中にありました。しかしシステム化を通して情報が整理され、参照できるようになることで誰でも一定の精度で計画できるようになります。

また情報が一元化されることで、配送計画とコスト情報を比較的簡単に紐づけられます。
計画段階や、日次レベルで配送コストが可視化され、請求書を待たずともコスト状況が把握できることで 「いつもより高い」など問題が起こっても早期に発見でき、早々に(月内に)対策を打つことも可能になります。
点在する物流情報を一元的に管理できる 統合物流管理「LMS」の詳細はこちら

配車業務のシステム化

配車業務には、配車システムや配車機能をもった輸配送管理システム(TMS)が活用されます。
配車業務用のシステムでは「どの車両で・どの荷物を運ぶか」「どのルートで・どの道を通るか」など、より具体的に運び方を決めていきます。
配車業務では荷物や集荷・配達先などに紐づく様々な条件を考慮しつつ、トラックの空き状況を複合して計画が立てられます。 AIなどを活用した自動配車、自動積み付け機能を搭載するものもあり、これらを活用することでより最適な運行ルートを導き出せます。
配車計画「ASSORT」の詳細はこちら

進捗管理のシステム化

配送が計画通りに行われているのか進捗状況を管理するのにもシステムが活用できます。
スマートフォンなどのGPSを活用して位置情報を取得し、車両や配送予定情報をつきあわせることで 「今どこにいるのか・いつ到着できそうか」など配送の進捗状況を把握できます。
輸配送管理「ASPITS」の詳細はこちら

 

アウトソーシングの可能性

アウトソーシングとは、社内業務の一部を外部の専門業者に委託することです。
業務をアウトソースすることでヒトやモノなど社内のリソースを本業への集中させる、プロの知見を業務に取り入れる、 といったメリットが生まれます。
物流アウトソーシングに関する詳しい解説はこちら

物流においても多くの荷主企業がアウトソーシングサービスを活用しています。
輸送や倉庫内作業においての活用が一般的ですが、昨今では配送計画のアウトソースも行われるようになってきました。 3PL事業者が倉庫内作業とともに請け負ったり、トラック輸送のマッチングプラットフォームを運営する企業が「場」の提供に留まらず ノンアセットの物流事業者として業務請負を行ったりしています。

配送計画業務をアウトソースするメリット

配送計画をアウトソースすると、配送計画の立案だけではなく実行業者の手配も依頼することができます。
実際に運送手配を担当している方は、緊急の出荷依頼が入ったり、「鉄道が止まった」などいつものインフラに支障が出たりと、 急に別の実行業者を手配しなければいけないという経験はないでしょうか。
配送計画業務をアウトソースしていれば、平時から緊急時まで手配業務に手間をかけることが無くなります。 専門業者ですので、取引する実行業者が多く探しやすいという観点からBCP対策にもなります。

アウトソースする業務範囲も選べますので、自社にあった形で活用されることをお勧めします。

  • ・案(1)計画業務全般をアウトソースし、社内では管理や改善活動に専念する
  • ・案(2)定型の計画業務のみアウトソースし、イレギュラー出荷など詳しい知識や高度な判断が伴うものは社内で行うよう役割分担

「配送計画サービス」の詳細はこちら

配送計画業務のアウトソース例
配送計画業務のアウトソース例


まとめ

配送計画とはモノの運び方に関する計画です。
具体的には「どの荷物を、どこに、どの輸送モードで、どの事業者に依頼して運ぶのか」を決めます。
配送計画には軒先条件や集配先の道路状況など、輸送に関する条件や制約(顧客との約束)を可能な限り考慮することと、 ムダな走行を抑制することが求められます。 つまり、約束を守りつつコストとのバランスを保つことが最適化された状態と言えます。

しかし考慮すべき条件や制約は意外に多く複雑に絡み合っているため、最適化するのは大変難しく属人化しやすい傾向にあります。 そういった場合、課題解決には2つの方法が考えられます。

  • ・システムを活用し、より精度の高い配送計画を誰でも作成できるようにする
  • ・配送計画業務をアウトソースし、プロの知見を取り入れつつ最適化を図る
今後は2024年問題によって物流品質や配送コストの維持が難しくなると見られています。 「配送計画業務に課題は感じていない」という方も、今後起こりうる課題(2024年問題)への対策として2つの方法を検討されてはいかがでしょうか。

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